アラフィフ世代が歌って、はじけて11年 ミャンマーに5基の井戸をプレゼント!「GENNO65(ゲンノーロクゴー)ライブ」


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11月2日に那覇市「TopNote」で開催されたGENNO65ライブの様子。ステージと客席が一体となって盛り上がった。写真:仲程 長治

青春時代に戻れるステージ

浦添高校17期の同級生仲間が中心となり、11年にわたり年に1回のペースで開催を続けるチャリティーライブイベント「GENNO 65(ゲンノーロクゴー)ライブ」。入場料の一部をNPO法人アジアチャイルドサポートに寄付し続けており、これまでミャンマーに5基の井戸を設置した。記者が11月2日に那覇市内で開催されたライブを体験し、主催者を代表して伊藝博さんにイベントにかける思いを聞いた。

「皆さん、バブリーな時代を過ごしてきたと思います。その皆さんを、こよいは昭和の世界に誘いたいと思います」

そんなMCのあとに、肩パットの張ったスーツを身にまとったダンサーが登場。ガールズバンド「R841」が演奏する80年代のヒット曲「ダンシング・ヒーロー」に合わせてノリノリのダンスを披露する―。11月2日に、那覇市久米のライブ&パーティースペース「TopNote」で開催された年1回のチャリティーライブイベント「GENNO65ライブ」の一幕だ。

今年出演したバンドは6組。ロカビリーバンド「BURN」、ガールズバンド「R841」、福島県在住のボーカルを迎え80年代ディスコ曲を演奏した「FUNKY6」、オリジナル曲も披露した夫婦デュオ「D@LL(だぁる)」、ボーカルバンド「AVA」、そしてサザンオールスターズのナンバー9曲を披露した「GENNO65」が個性豊かな演奏やパフォーマンスを繰り広げた。

出演バンドのメンバーは、アラフィフ世代がメイン。ステージは80年代はじめに青春時代を過ごした者なら心が熱くなること間違いなしの曲を中心に構成され、ステージと客席が一体となり、熱い盛り上がりを見せた。

ステージは約3時間。ライブ会場は約120人観客の熱気に包まれた

同級生仲間が企画

ライブ開催のきっかけとなったのは、浦添高校17期の元バンド仲間5人が、約12年前にあらためてバンド「GENNO65」を結成したこと。メンバーの一人、伊藝博さんは「当時40代前半で、そろそろまたバンドをやりたいね、と。最初は忘年会で演奏したのですが、ブランクがあったせいでうまくいかなくて(笑)。それで逆に火が付いて練習に励み、ライブも企画したんです」と振り返る。

伊藝 博さん

初回は同窓会感覚でのスタートで、出演バンドもGENNO65のみ。浦添高校17期の同級生仲間である宮城哲也さんがNPO法人アジアチャイルドサポートの職員だった縁で、入場料の一部をミャンマーの井戸建設のために寄付するチャリティーライブの形式を取ることにしたという。

「最初は何に使われるかもピンと来なかったんですが、2年目で井戸が建ったという告を受け、バンドメンバーも観客もびっくりしました。それで意義を見いだして、ずっと続けていこうということになったんです」(伊藝さん)

その後、回を重ねるごとに、浦添高校の同窓生にとどまらず、さまざまなバンドも出演するようになり、観客の年齢層も広がりを見せるようになっている。

ミャンマーに井戸を

チャリティーライブの寄付金によってミャンマーに設置された井戸。(写真提供:アジアチャイルドサポート)
井戸には「GENNO65」と記されたプレートも設置されている(写真提供:アジアチャイルドサポート)

年1回のペースで開催を続け、今年で11回目を迎えたGENNO65ライブ。これまでの寄付金で、ミャンマーで最も貧しい地域の一つといわれるエーヤワディ地区に5基の井戸を設置した実績を持つ。

井戸の設置を担ったアジアチャイルドサポートの宮城哲也さんは「750~800人の命を支えています。飲み水だけでなく各家庭の菜園にも使われるなど、井戸は命の源。皆さまのおかげでたくさんの命を救うことができ、たくさんの子どもたちに未来を届けることができました」と感謝する。また同ライブは、草の根的な国際交流の場ともなっている、とその意義を強調する。

宮城哲也さん

「それぞれがちゃんと本業もやって、1年に1度集まって演奏を披露する『大人のかくし芸大会』がコンセプト」(伊藝さん)

「同級生仲間がステージで活躍する同ライブは、青春時代に戻り、18歳のエネルギーを充填できる特別な場所」(宮城さん)

次回の開催は2020年11月7日(土)。1年に1度のライブが待ち遠しい。 

(日平勝也)

(2019年12月12日付 週刊レキオ掲載)