高校生にまで広がる投資話 オイシイ話に気をつけろ! モバプリの知っ得![103]


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県教育庁は11月26日、県内高校生の間で「ビットコイン」への投資話が広がっているとして注意を呼びかける文書を配布しました。「ビットコイン」は需要と供給で値段が上下する、いわゆる仮想通貨の一種です。ビットコインが安い時に買い、高騰した時に売却すると差額が儲かる仕組みです。しかしながら、購入後に値段が下がり、そのまま売却すると損をする仕組みです。

仮想通貨・ビットコインそのものに問題があるわけではありませんが、「今投資をすると絶対に儲かる」など怪しい情報とセットになることが多いため、注意が必要です。

高校生にまで届く怪しい情報

県内の高校生から届いた相談は以下のようなものです。

“同センターによると、本島南部の男子高校生から「ビットコインを6万円から投資できる」との投資話があるとの相談を受けた。通貨の記録を支える計算作業に協力した人が新仮想通貨をもらえる「マイニング(採掘)」事業への投資を呼び掛けるもので、高校生の間で口コミなどで広がっている可能性があるという。”
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1032395.html

ビットコインなどの仮想通貨は、需要と供給で金額が上下するため、運よく運用できれば「儲かる」可能性もありますが、損をすることもあります。

仮想通貨を売買するためには「仮想通貨の取引所」に登録する必要がありますが、ほとんどの取引所で未成年の登録ができません。

今回広がった「噂」の詳細は分かりませんが、仮に、きちんとした取引所を通さずに「◯◯さんにお金を預けたら仮想通貨を運用して儲かる」というような話であれば、絶対に信じてはいけません。

なぜなら本当に儲かるならその人が自分のお金でじぶんだけにやるからです。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

ターゲットは高校生だけではない

こうした「怪しい投資話」に気をつけるのは、高校生だけではありません。

同時期には、仮想通貨のネットワークビジネス会社「ビットマスター」が破産申請を東京地裁に申請しています。
ビットマスターは全国で会員を募り、「会員の出資金で仮想通貨のATMを作り、取引手数料を還元する」と謳っていましたが、結局破産しました。

個人的な話になりますが、私が普段行なっているシニア向けのスマホ教室の70代の生徒の方がビットマスターの会員になり、私もファストフード店で勧誘を受けたことがあります。
勧誘の前半では「ビットコインは送金手数料がかからないから素晴らしい」と持ち上げる一方、後半になると「ATMの手数料を皆様に還元するから儲けることができますよ」と言い出したために、「手数料かからないから素晴らしいのに手数料で儲けるってどんな論理なんですか」と言い返してしまいました。

結局、私の引き止めの声も届かず、生徒さんは数百万円をビットマスターに預けたのでした。(現在は連絡を取っていないため、最終的な損失がいくらになったのかは分かりませんが)

こうした気をつける「儲け話」は手を変え品を変え、様々な属性の人へ忍び寄ります。

退屈な事実よりも面白いウソに飛びつく

怪しい投資話に飛びつき、借金を作ってしまう失敗は古くからあります。

警察や消費者庁などが「怪しい投資話に気をつけましょう」と、何度呼びかけても被害者がいなくなることはありません(悲しいかな、この記事もそうでしょう)

おそらく、こうした投資話に引っかかる心理としては、「失敗するかもしれないけれど挑戦してみよう」とした心の動きがあるのかもしれません。

こうした記事を読んで、警戒心を高めても収入は1円も増えません。

しかし、どれだけ怪しくても投資話は「儲かる可能性」があるため、挑戦する人が増えるのでしょう。
(現に、マルチビジネスなどは「やらずに後悔するよりも、挑戦してみよう!」と一見するとポジティブなメッセージとセットで訴えてきます)

こうした心理は、「ネット上で知り合った人と会う」ことでも同じなのかもしれません。
人間関係がうまくいかず悩んでいる人は、「ネットで知り合った人と会うのは危険かもしれないけれど、もうこの人しか自分の話を聞いてくれる人はいない」と思えば、リスク覚悟で会いに行ってしまうでしょう。

また、フェイクニュースが広がる過程を見ていても「退屈な真実よりも、面白い不確かな情報」を好む人が多く、フェイクニュースであることを指摘されても「デマでも、面白いからいいじゃん」と受け入れるのです。

どれだけ正しくても、退屈であれば受け入れない。
どれだけリスクがあっても、希望や面白さがあれば受け入れる。

こうした人間の欲望につけ込むような様々な話には最大限の注意が必要です。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」12月8日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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