「アンチコメント」が自分への呪いに モバプリの知っ得![105]


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SNSでは、人の投稿欄に自由にコメントを残すことができます。
コメントの投稿時は第三者の「チェック」が入らないため、自分の意思だけでコメントを残すことができます。こうして自由に書き込めるが故に、「消えろ」「可愛くない」などの誹謗中傷コメント、いわゆるアンチコメントを書き込むこともできます。

しかし、そうしたコメントは「名誉毀損」「侮辱」行為で犯罪になる可能性があります。

さらには、「呪い」として自分自身に跳ね返ってくるのです。

「批判」と「誹謗中傷」は違う

コメントを投稿する時に注意すべきは、「指摘」や「批判」、そして「誹謗中傷」の違いです。

例えば、「その情報は古くて、今は◯◯になっていますよ」と、事実を説明するのは「指摘」。
さらには、「あなたの意見に同意できない。本当は◯◯だと思う。」は、「批判」です。
どちらも相手が「ムッ」となることはあるかもしれませんが、言論・表現の範囲内です。

しかし、「クソつまらない」「消えろ」「死ねばいいのに」は、指摘でも批判でもなく、ただの誹謗中傷です。
こうした言葉は「名誉毀損」「侮辱」などの違法行為と認定されることもあります。
またそうした言葉が「SNSの利用規約に違反」と判断されると、アカウントが凍結させられる事も珍しくありません。

まずは、「誹謗中傷のアンチコメントは違法である」と認識してみましょう。

人気の有名人も・・・

多くの人の反応を集める有名人・インフルエンサーに対して、「褒めている人が多いから、自分だけならアンチコメント書いてもいいかな」と思う方もいるかもしれません。

しかしながら、どれだけ褒められていても傷つく言葉は傷つきます。
遠い存在に思えるような有名人も、私たちと同じ感情を持った人間です。

カレーのお鍋にタバコの吸殻が1本入ったら食べられなくなるように…大量の「ファンコメント」も、1つの「アンチコメント」で台無しになる場合があります。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

有名であるがゆえに、悪いことに巻き込まれる事を「有名税」と呼ぶことがあります。

「アンチコメントなんて、有名税みたいなもんだよ」と軽く考える人もいます。

しかし、この「有名税」という言葉は、有名人本人が心のダメージを軽くするために「自分だけじゃないさ」と使うならともかく、第三者、ましてやアンチコメントを書き込む当事者が「有名税」と、勝手に収税していいわけではありませんので注意しましょう。

昨年11月、タレントの春名風花さんの母親をツイッターで誹謗中傷した投稿者に対し、プロバイダーが「情報開示」を行うよう東京地裁が命じました。

https://this.kiji.is/562900364535530593

https://www.bengo4.com/c_23/n_10611/

春名さんの母親を誹謗中傷した投稿者も、「こいつになら何を言ってもいい」という気持ちで投稿したのかもしれません。

しかし、裁判所が「名誉毀損」と認めたことで社会的な責任を負うことになるでしょう。

自分に跳ね返ってくる

このように、人を誹謗中傷するコメントは、他人を傷つけるだけでなく、自分にもマイナスの効果が出てきます。

SNSやインターネットでは、誰でも自由に情報発信ができます。
違う見方をすると、自分の夢を実現させる可能性も秘めているのです。

しかし、アンチコメントを書く・書いてきた人が、「自分も発信側になろう」と夢や目標を見つけ挑戦しようとしても・・・「死ねって書かれたらどうしよう」「かわいくないと言われたら・・・」と、自分自身にそうした視点があるだけに怖くなってくると思います。

あるいは、強い言葉で人を非難していた人は、「こいつは口が悪いからこのくらい書いても大丈夫だろう」と汚い言葉の応酬になります。コメント欄の治安が悪くなるんですね。

因果応報。回り回って他人だけでなく、自分を傷つけたり、自分の挑戦を否定する。
アンチコメントにはそうした「呪い」の効果もあると言えるのではないでしょうか。

スマートフォンで「夢」を実現する人もいれば、アンチコメントで呪われる人もいる。
どちらが理想的な活用方法なのか、一目瞭然ですね。

コメントを書き込むことは簡単です。
しかし、書き込んだ事でどう影響が出るのかを予想することは簡単ではありません。

そうした仕組みを常に意識しながら、SNSは使いましょう。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」1月5日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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