SNSだけでその人は分からない モバプリの知っ得![106]


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2019年12月、カジノを含む統合型リゾート(IR)をめぐり、企業が政治家にお金を渡すなどの贈収賄容疑で、政治家を含む4人が逮捕される事件が発生しました。逮捕されたうち1人の男性は、日頃から派手なパーティーの写真をSNSへ投稿。今回の事件で政治家に金を渡したとされる前日にも、大量の札束を持った写真をSNSに投稿していました。

SNSだけを見ると「すごい実業家」に見えたかもしれませんが、結局は逮捕されています。改めて、「SNSだけでその人は分からない」と痛感する事件でした。

「分かるけど分からない」

今回の事件は以下のようなものです。

“東京地検特捜部は12月25日、日本でのカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業への参入を目指していた中国企業側から、現金300万円や約70万円相当の利益供与を受けたとして、収賄容疑で衆院議員の秋元司容疑者(48)=自民、東京15区=を逮捕した。秋元容疑者は2017年8月から18年10月まで内閣府副大臣でIRを担当し、観光施策を所管する国土交通副大臣も兼務していた。
秋元容疑者は、これまでの共同通信の取材に中国企業への便宜や現金授受を否定。
特捜部は贈賄容疑で中国企業側の役員や顧問を務めていた男(48)、男(37)、仲里勝憲(47)の3容疑者も逮捕した。”

https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-1047945.html

中国企業の役員を務めていた48歳の男性は、札束や派手なパーティーの写真をたびたびSNSに投稿をしていました。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

決して「派手なパーティーの写真を載せることが悪い」ということではないのですが、お金を渡して逮捕された報道のあとに男性のSNSを見ると、派手なパーティーの写真の受け止め方が大きく変わってくると思います。

2017年には、神奈川県座間市で自殺願望のある女性をSNSで誘いだし殺害する事件が発生しました。犯人の男は、SNSで優しく話を聞き、安心させて誘い出していました。

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-616620.html

SNSへの些細な投稿は、積み重なることで「その人の考え方や姿勢」が浮かび上がってきます。「人となり」が分かるということです。

反面、最初から計画的に何かを偽装するようにSNSを運用している人、あるいは「良いことしか投稿しない!」と決めている人などは、本当の「人となり」が分かりにくくもなります。

つまり、SNSを「素」の状態で投稿していると、個人を特定できるような情報が簡単に出る。その一方、「何かを偽装すること」も簡単にできるという少し矛盾するような二つの要素があるということです。

自分もまた「見られている」

これからの時代、SNSで知り合った人と仕事に発展するということも増えてくるでしょう。そうした中で、付き合う人を見極めなければ、自分にも疑いがかけられたり、直接事件に巻き込まれる可能性も出てきます。

たかがSNS、されどSNS。
手軽に楽しめる側面もあれば、しっかり考えないといけないと言うことです。

「SNSで人を見極める」と言うことは、自分もまた人から「見極められ」ます。
そこも意識してSNSは使いましょう。

最後に。
心の中で「あの人は怪しいな」と感じるのは自由ですが、「SNSでパーティー写真ばっかり載せている◯◯さん詐欺師なのかな」と名前を出して投稿すると、名誉毀損になりますので注意しましょう。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」1月12日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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