「制限」だけで防げる?わが子がゲームにハマる理由 モバプリの知っ得![108]


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香川県議会は1月20日、18歳未満のコンピューターゲーム(スマートフォンのゲーム)の利用時間を1日1時間に制限する「ネット・ゲーム依存症対策条例」の素案をまとめました。

18歳未満の利用時間を、1日あたり平日60分、休日90分を上限と決める条例です。まだ正式に決まったわけではありませんが、今後はこうした「スマホ・ゲームの利用制限」に向けた動きが全国に広がるかもしれません。

しかし、「スマホ依存」は18歳未満だけの問題ではありません。「臭い物に蓋」とばかりに禁止をしたところで、適切な使い方を学ばなければ大人になって依存するだけです。

大人もしっかりとスマホやゲームの仕組みを知り、教えて育てなければいけません。

香川県議会は4月の策定を目指す

香川県議会は条例の制定に向け、現在「素案」を策定し、4月の施行を目指しています。

子どものゲームは1日60分まで 香川県の条例素案、親に努力義務
https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-1060244.html

 

罰則規定のない、あくまでも「努力義務」を課す条例ですが、スマホやゲームを直接的に規制する条例は全国でも初となるため、大変注目が集まっています。

また、この条例は「スマホ・ゲーム依存」とはまた別の問題として、政治家が個人の行動に制限をかけることの是非を問う声も出てきています。

香川県が動いたことをキッカケに、全国へ似たような規制の話が広がることも予想されます。「香川県の話だから〜」と地域の問題と捉えるのではなく、自分たちはどうすべきなのか。この「条例」をキッカケに考えてみるのもいいでしょう。

ソーシャルゲームの問題点

昨年6月、WHO(世界保健機構)はゲームをやりすぎて日常生活が困難になる「ゲーム障害」を国際疾病として認定しました。

「ゲーム障害」を新依存症に WHO、疾病分類を承認
https://ryukyushimpo.jp/kyodo/entry-924710.html

ゲーム依存は病気 WHO、国際疾病の新基準
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45280950V20C19A5MM8000/

「政治家が決めた条例が個人の自由を制限する」是非とは別に、こうしたゲーム障害についても考えておかなければいけません。

スマートフォンで若年層に人気のゲームの種類に、「ソーシャルゲーム」があります。
無料でインストールし、強くなるためには「課金」が必要で、ゲーム内でガチャガチャ(以下、ガチャ)を回し、「運に頼る要素」がとても強いのが特徴です。

ソーシャルゲームで強くなるためには、ガチャを回し、強いキャラクターやアイテムを引き当てないといきません。ガチャを回すチケットを多く集めれば有利になれるということです。

ガチャチケットは、お金を支払う「課金」以外にも、ゲームから出される「お題」をクリアするともらえます。しかし、このお題はかなり指示が細かく「3日間限定!◯◯と◯◯と◯◯をやればチケットゲット!」と複数の条件が提示されます。

「お金はあるけど、時間はない」社会人のユーザーは、課金してガチャチケットを入手しますが、「時間はあるけど、お金はない」学生ユーザーは、ゲーム内のお題をコツコツとクリアしなければなりません。
「お金は払わずに、課金ユーザーと同じくらい強くなれる!」と捉えている子供たちもいますが、視点を変えると「ゲーム側に行動をコントロールされている」ということです。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

ゲーム側は、数百万人のユーザーの動きを分析し、「このタイミングでこうしたお題を出せばみんなが乗ってくる」と依存するように作っています。

スマホ・ゲーム依存は、個人の意志で簡単に避けられるようなものでなく、身近なゲームがすでに依存度数の高い、強烈なものであるということを、子供・保護者双方が意識する必要があるでしょう。

改めて考えたいスマホゲームの仕組みと中毒性 モバプリの知っ得![6]
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-499774.html

適切な距離

こうした、依存しやすいスマホやゲームを法律や条例で禁止をすることは、一定の効果があるのかもしれません。

しかしながら、依存の問題は18歳未満だけではありません。大人になって、依存することも十分考えられます。

取り組みが「禁止」一辺倒の、「臭いものに蓋をする」状態なのであれば、結局依存の時期が遅くなるだけで、根本的な解決とは言えないでしょう。

「教育」という字は、「教えて育てる」と書きます。
禁止とはまた別で、スマホやゲームネットの仕組みを知り、使い方を「教えて育てる」必要があります。

そのためには、まずは大人自身が頑張ってスマホやゲームを知ること。そうすることで初めて、適切な使い方を教育することができると思うのです。

この連載でも引き続き役に立つ情報を書いていきますので、一緒に頑張りましょう!

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」1月26日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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