米国衛生研究所の専門医語るコロナ対策は「マスクより手洗い」


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相次いでイベントが中止となり外出禁止ムードが漂うなか、生活するにはどうしても外に出ないといけないことも……。そんなときは次のウイルス対策を守って感染リスクを下げよう——。

安倍晋三首相は2月27日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、3月2日から全国の小中学校・高校・特別支援学校を臨時休校にするよう要請した。各企業も“時差出勤”“飲み会自粛”“テレワークの推進”などを始めている。

「誰が感染しても不思議ではない状況下。しかし、終息するまで家から一歩も出ずに生活する、というのは不可能に近い。だからこそ、飛沫感染や接触感染への対策が必要なのです」

米国国立衛生研究所の病理専門医・峰宗太郎さんはそう警鐘を鳴らす。では、いま出かけるなら「絶対やるべき」ウイルス対策はなんなのだろうか? 峰さんが教えてくれた。

■マスクより“手洗い徹底”。予防効果は5倍以上の違いが

ドラッグストアで品切れ状態が続くほど、外出するなら“マスクは必須”と言う風潮は強い。

「たしかに満員電車などの人ごみの中での着用は、感染者からの大きな飛沫をガードする効果はありますが、マスクと皮膚の間には隙間もありますし、過剰な期待は禁物です」(峰さん・以下同)

医療現場において行われた、さまざまな予防法の効果をまとめた研究によると……。

「マスクの予防効果はたった数%しかないことがわかったのです。いっぽう、同調査で50%ほどの予防効果があったのは手洗い。薬用・抗菌用でなくてもよいので、一般的なせっけんで手の甲や指先も含め洗うのを徹底しましょう」

ショッピング中に触れる商品にもウイルスがついている可能性は否定できない。トイレに入るたび、入念に手を洗うことを心がけるようにしたい。

■アルコール消毒は手洗い時と同じくらい入念に!

「WHO(世界保健機関)が、手洗いと同じ予防対策として推奨するのが、アルコール消毒です」

現在、スーパーやデパートなどの入口には、必ずと言っていいほど消毒用アルコールが設置されている。

「たとえアルコール消毒液が手元にあっても、手のひらにこすりつけるだけで終わらせてしまっている人は多い。手の甲や、指の間まで入念に。手洗いするときと同じくらいしっかりとアルコール消毒をしましょう」

消毒用アルコールは、現在品薄になっている。だからといって、ノンアルコールタイプで代用してもあまり意味がない。アルコールが手元になくても、手洗いをすれば感染リスクを下げることができる。

■コンタクトレンズはリスク高。“ダテ”でもいいので眼鏡を

「感染者から出るくしゃみや咳などの飛沫を目に浴びたり、ウイルスの付いたドアノブなどを触った手で目をこすったりすると、感染リスクが高まることがわかっています。ですから、外的要因から目を守る花粉症用ゴーグルの利用は感染予防になるといえるでしょう」

裸眼の人はついつい目をこすってしまいがちだし、コンタクトレンズをつけている場合は、着脱の際に手が直接目に触れる。

「医療現場では血液ばく露(血液が目に入り感染する)などの予防に、一般的な眼鏡でも一定の効果をもたらすといわれています。ですから、出かけるときは“ダテ”でいいので、眼鏡をかけるのもよいでしょう」

治療薬の開発も待たれるが、「まずはひとりひとりが感染リスクを抑えることが重要です」と峰さんは語る。

外出先では、むやみに顔に触れたりしないのが鉄則。そして服などの陳列商品、食器など、何か手に触れたら、そのつど手洗いあるいはアルコール消毒を忘れないようにしよう。

「女性自身」2020年3月17日号 掲載

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