非常時だからこそ 100cmの視界から―あまはいくまはい―(69)

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私の生活には15人前後のヘルパーさんやボランティアさんに入ってもらっています。その日程調整、関係性作りに、毎日、たくさんの時間と心を割いています。ヘルパーさんが働きやすく、私とのいい関係性があることで、私も安心して生活できるからです。

このヘルパー調整、コーディネートは、私にとって生きるために手を抜くことができない、死活問題となる仕事なのです。
 でも、この非常時。私の講演会の仕事がなくなったり、子どもの生活(幼稚園や習い事)に変更が出てきたりと、いつも以上にヘルパーさんとの調整が必要になってきます。

また品薄なお店では、ヘルパーさんと一緒に行けるタイミングでは品物が売り切れてしまっていることも。

最悪、ヘルパーさんが急にお休みになり、何もできないことも。先が読めない毎日に、頭を悩ませます。


息子が幼稚園を卒園し、小学生になりま

でも、大変だと自覚できる私はまだ大丈夫なのでしょう。だって本当に大変なときには、人は考えることすらできないのだから。

学童に子どもがあふれているという話はよく耳にするけれど、障がいのある子どもたちには行き場すらありません。障がいがあると、毎日を工夫しながらどうにか乗り切っていて、非常時になると一気に回らなくなります。マスクも消毒液も、必要不可欠な人に届かない。それなのに、非常時だから仕方ない、みんな大変なのだから我慢して、と言われることも。

「みんなで乗り切ろう!」という言葉は、ときには正義を振りかざすように恐ろしくも、むなしくも聞こえます。非常時だからこそ、より手厚い支援が必要な人がいるのに。

日ごろからいろいろな人の生きやすさを考えてきた環境は、こういう非常時にこそ、その力を発揮します。リモートワークを取り入れていた会社はすぐに移行できただろうし、通勤時間をずらしたフレックスタイムも推奨されています。

デンマークでは高齢者への買い物ボランティアが2日で5000人集まったそうです。人は一人一人違うのだから、どうやったら生活しやすいのか、それを考えていくことが、長い目で見たときに、何か起こったときに、みんなの幸せにつながるのでしょう。障がいのある人の生活には、非常時を乗り切るヒントが隠されていますよ。大変な時だからこそ、お互いに助け合い、賢く乗り切りたいですね。そして一人一人違うのだから、それぞれに合った支援を求めていきたいですね。



(次回は4月14日)


伊是名夏子

いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2020年3月31日 琉球新報掲載)

 



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