ソーシャル”ネットワーク”ディスタンスを意識してみよう モバプリの知っ得![113]


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新型コロナウィルスの感染が拡大しています。 
SNSでは「感情」が増幅しやすいため、不安や悲しみなどのネガティブな感情が高まってしまっている人も多いのではないでしょうか。 
不安な気持ちが高まると自分が辛くなるだけでなく、その不安を埋めるためにデマや攻撃的な言動に同調してしまう恐れがあります。 
そうした場合は、思いきってアプリを削除するなどして、SNSと適切な距離を取ることをオススメします。 

スターの死去、長期化する自粛ムード

3月29日、タレントの志村けんさんが新型コロナウィルスの感染による肺炎のため東京都内の病院で亡くなりました。日本中に笑いを届けてくれた大スターが亡くなったことで、衝撃を受け、悲しんだ人も多いと思います。

また2月から続く自粛ムードも終わりが見えず、仕事や生活に不安を抱えている人も増えていると思います。

SNSでは、多くの人の「感情」がタイムラインに流れてきます。
通常であれば「うれしい」「たのしい」「これが好き」とポジティブな感情とめぐり合うことが多くても、大災害や大きな事件、あるいは今回のような感染症による大規模な自粛の時には「悲しい」「苦しい」「これが嫌い」とネガティブな感情が出てくることが多いです。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

SNSは「バイアス(偏り)」発生しやすい

SNSは自分の知人・友人、あるいは共通の趣味を持つ人を中心にフォローしがちなので、属性や趣味嗜好が近い人たちが集まる傾向があります。そのため「バイアス(偏り)」が発生しやすくなっています。

SNSで発生する代表的なバイアスは「エコーチェンバー」です。
エコーチェンバーとは日本語に直訳すると「共鳴する小部屋」。SNSで自分と近い人としか交流を行わないことで、意見や感情が増幅して過激化することです。

【関連記事】あなたも陥っていませんか? SNSのエコーチャンバー現象
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-512737.html

例えば、私はスマートフォンが大好きで、SNSでやりとりする人たちもスマートフォン好きが多くなっています。そうなると、新機種の発売日はSNSのタイムラインが購入報告一色になります。
SNSだけを見て「この機種は世の中のほとんどの人が買っている!」と錯覚すると、エコーチェンバーの入り口です。
趣味を趣味と認識して楽しむ分にはいいのですが、「社会全体がこうである」と取り違えると危険であるということです。

エコーチェンバーによって、不安な気持ちなどが増幅されると、その不安を埋めるようにデマや差別、あるいは攻撃的な言動に同調して安心しようとすることがあります。

前述した「この機種はほとんどの人が買っている!」と同じような心理で、「みんなが言っているから、多分そうなんだろう!」と事実確認をせずに曖昧な情報を拡散させてしまう恐れがあると言うことですね。

不安が蔓延する社会では、誤情報がキッカケで暴動が発生したり、時には誰かを傷つけることもあります。

この新型コロナウィルスも、欧州で感染が拡大する前は「アジア人お断り」とした差別と直結しました。
過去を振り返っても、ハンセン病患者を隔離し、人権を奪う「らい予防法」が1996年まで継続しました。

「伝染病と差別」はセットになることが多く、過去から学ぶべき事象がSNSの台頭によって、バイアスで差別が再生産されるのは絶対に避けなければなりません。

「ソーシャル『ネットワーク』ディスタンス」を意識してみる

新型コロナウィルスの感染を防止するため、人と離れて過ごす「ソーシャルディスタンス(社会的な距離)」を確保することが注目されています。

ソーシャルディスタンスを確保することに加え、「ソーシャル『ネットワーク』ディスタンス」を確保、すなわちSNSと適切な距離を置いてみてはいかがでしょうか。

過激で攻撃的な人の投稿をミュートする、あるいは思いきってSNSアプリをスマホから削除する。そして自分の気持ちが落ち着いたら再度インストールするのです。(私は仕事が忙しくなる時などは、スマホからSNS・ゲームアプリを削除します)

これは今回の新型コロナウィルスをキッカケに、継続的に続けてもいいと思います。スマホ、ネット・SNSとの適切な距離を保ち、自身を健全に保つことを意識してみましょう。
 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」4月5日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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