沖縄のお笑いチャンピオンは誰だ!?「Oー1グランプリ2020」レポート

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沖縄お笑い界のナンバーワンを決める新年のコンテスト、といえば「O-1グランプリ」。2007年にスタートし今年14回目を迎えたこのコンテストは沖縄テレビ主催で、生放送による完全視聴者投票での勝者選出が特徴です。初笑いを招くお正月の風物詩で、コントも漫才も沖縄テイストがいっぱい。県内の芸人さんを知る機会にもなるということで、「O-1グランプリ2020」の予選と本戦を取材してきました。「会場もお茶の間も沸かせること」が勝敗のポイント! 「優勝賞金100万円」の魅力で芸人さんたちのボルテージも上がっていましたよ! そんな様子を振り返ります。

(執筆:フリーライター・饒波貴子)



2回勝って本戦進出!

毎年年末に行われる予選ですが、今年は芸人約70組がエントリー。厳しい予選を2回勝ち抜いた8組と敗者復活枠1組、計9組が本戦に出場できるファイナリストになります。

まず審査員による審査で、一次予選から最終予選に進出できる23組の芸人が絞られました。
続いて2019年12月8日、沖縄テレビ内スタジオで行われた最終予選も審査員がファイナリストを選びます。本戦へと進むためにしのぎを削る沖縄お笑い界の猛者たち。控室では談笑したり、ネタ合わせをするコンビなどさまざまだったようですが、やはりどこか緊張感が漂っていたそうです。決勝進出の常連組から決勝未経験のコンビまで、それぞれの思いを胸に最終予選がスタートしました!

審査員は沖縄お笑い界の重鎮、「ゆうりきや〜」の2人。オジーとオバーのキャラクターでおなじみですね。そして放送作家のキャンヒロユキさんと番組プロデューサーが務めました。歴代のチャンピオンやファイナリストは、県内のお笑い界を先導する存在になっていますから、時代を担う旗手を発掘すべく厳正な審査が行われました。

ブラッシュアップを重ねたネタで手応えを感じた表情の芸人さん、納得のいかない様子で控え室に戻る芸人さん・・・それぞれでしたが、会場はシビアな雰囲気でした。全組のネタ終了後、芸人さんたちは集合。結果を待つ間の張り詰めた空気が伝わってきました。


緊張感が漂う予選会場

そしていよいよ「ゆうりきや~」の城間祐司さんが、予選通過順に本戦進出者を発表! ファイナリストの座を勝ち取ったのは、「1位:初恋クロマニヨン」。決勝常連の実力派トリオですね。続いて「2位:ありんくりん」は、前年度のチャンピオン。ホッとした喜びの笑顔であふれていました。「3位:リップサービス」は、本コンテストの初優勝を狙います。通過者の名前が発表される度に歓喜の声が上がり、4位以下は「Kジャージ」、「カシスオレンジ」、「わさび」、「ピーチキャッスル」、「すっとこどっこい」。本戦への進出はこの8組に決まりました。
また後日、人気情報番組『ひーぷー☆ホップ』で敗者復活戦が行われ、最後の1枠を「プロパン7」が勝ち取り、9組目のファイナリストが出そろいました。

これまでの「O-1グランプリ」は、常連組が勝ち上がっていく順当レースという印象がありました。ですが今年は「カシスオレンジ」、「ピーチキャッスル」、「すっとこどっこい」といった初進出組が多く、若手の台頭に新しい時代を感じ期待が高まりました。

新顔と常連がバトル! ファーストラウンド

1月2日、沖縄テレビで生放送された本戦は、激しい予選を勝ち抜いたメンバーが勢ぞろい。ファーストラウンドは3ブロックに分けて行われますが、予選上位3組は自らブロックを選ぶことができ、4〜9位はくじ引きで出場順を決めました。この出場順が、命運を握っているといえそうです。
司会はおなじみの「ひーぷー」こと真栄平仁さんと、美しい振袖姿の沖縄テレビアナウンサーの小林美沙希さんが担当しました。



いよいよ本番スタート。今年のトップバッターを飾ったのは、Aブロックのピーチキャッスルです。「かわいらしく活動したい」という桃原さんの提案で始まり、カッコよくやりたいマッチョな真栄城さんとハチャメチャな料理番組を進行します。抜群のコンビネーションで演じ切った漫才で、初出場らしく元気いっぱい会場を盛り上げました。



2番手は唯一のピン芸人、Kジャージさん。「タクシーに乗り結婚式場に向かう男」の設定で、タクシー運転手との支離滅裂なやり取りを抜群の演技力と独特の世界観で炸裂させました。「こんなコントでした、おじぎ!」という潔いオチも印象的でした。



3番手は初恋クロマニヨン。県民なら知っている有名な「上間不動産」のCMを、勝手に感動的に仕上げたコント。受付の女性とお客さんが実は父娘だったという架空の物語は、観客を驚かせ共感もさせて・・・意外性のあるネタで爆発的な笑いを引き起こしました。



Aブロック3組が終了したところで電話とインターネットで視聴者の投票を受け付け、ピーチキャッスル128票、Kジャージ216票、初恋クロマニヨン976票という結果に。圧勝した初恋クロマニヨン・松田さんの「上間不動産さん、徳原清文さんありがとうございました」というコメントは拍手を誘い、決勝進出に弾みをつけました。



Bブロックへと続きます。1番手のわさびは、ぐしけんさんが演じる強烈なお母さんキャラと、しょうへいさんが演じる息子役のコント。分かりやすい動き、「電話では声が変わる」などの母親あるある、マニアックなツッコミなど、芸の幅を感じさせるパワフルなパフォーマンスで笑いを取りました。



2番手はありんくりんで「彼女が欲しい」というクリスさんに、沖縄の言葉でまくしたてるりゅうたさん。「最初のテーマは何だった?」と分からなくなりながらも引き込まれ、笑ってしまいます。沖縄色あふれる畳み掛けるネタで、スピード感あるジェットコースターのような漫才でした。



初の決勝進出となったカシスオレンジが3番手。天然キャラの仲本さんと、おっとりとしながらも的確なツッコミを放つ仲村さんの漫才は、お正月らしく「全ての干支が言えるか」というテーマです。仲本さんのボケを時に厳しく、時に優しいツッコミで包み込む仲村さん。人柄がにじみ出る巧妙な漫才に、笑いと拍手が巻き起こりました。



Bブロック視聴者投票の結果は、わさび351票、ありんくりん877票、カシスオレンジ450票で、ありんくりんが制しました。「やなホリデーマーガリンじょーぐーが良かったですね」と、ネタのフレーズを自画自賛しながら決勝へと進みました。



Cブロックはプロパン7からスタート。けいたりんさん演じる宮古島のヒーロー「仮面ライダー下地さん」と、じゅぴのりさん演じるおじさんを掛け合わせた設定の妙が光り、さすがベテランの安定感。あるあるネタや巧みなフレーズの組み合わせで観客の心をつかみました。



そして2番手は、旅行代理店が舞台になった漫才を繰り広げたリップサービス。金城さんが旅行代理店の店員、榎森さんがお客さんを演じ、やり取りする中で手数の多いボケに無理のない展開、巧みな構成を詰め込みながら沖縄フレーズも入れ込み、さすがの手腕を感じさせました。



ファーストラウンドの最後はすっとこどっこい。「ノリツッコミがやってみたい」とプーキーさんが提案し、巻き込まれたそばしょうさんがノリツッコミ合戦を始めていきます。やり合いを大きく展開する中で小気味良いボケとツッコミが光り、初出場らしいフレッシュさを感じさせました。



さてCブロックはプロパン7が697票、リップサービス459票、すっとこどっこい119票という結果に。敗者復活戦から勝ち上がったプロパン7が、勢いそのままに決勝ラウンドへと進んだのです。宮古島の方言たっぷりのコントを演じていましたが、「豊見城出身で宮古島には行ったことありません」と笑わせ、プロパン7の勢いに拍車がかかりました。



視聴者投票でチャンピオン決定!

3ブロックの代表が出そろい、いよいよ芸人人生の運命を左右するファイナルラウンドです。くじ引きで初恋クロマニヨン、プロパン7、ありんくりんの順になり舞台と客席のボルテージが最高潮に!



初恋クロマニヨンはファーストラウンドのCMネタにかぶせ、おなじみの「沖縄食糧版 天気予報」をミュージカル仕立てで披露。キャラクターの擬人化とまさかのストーリー展開で強烈なインパクトを残し、タップダンスにも挑戦する気合い十分のコントでした。



プロパン7はエンジントラブルで緊急着陸を要請する飛行機のパイロットが、管制塔とやり取りするコント。管制官はなんと、シルバー人材センターから派遣されたオバーで、リアリティーのある演技と緊迫した設定のコントラストで、会場が沸きました。



最後のありんくりんは、月面着陸したNASAのパイロットが沖縄のおじさんと月で出会うコント。漫才同様テンポのいいやりとりと、音楽や小道具を生かしたコントならではの魅力もあり、沖縄とアメリカの笑いもしっかりと散りばめていました。



これで全てのネタが終了。ファイナルラウンド、視聴者のみなさんは誰に投票したのでしょうか!?
ピンと張りつめた空気の中で集計結果がまとまり、初恋クロマニヨン364票、プロパン7(セブン)794票、ありんくりん1140票を獲得。2019年に続いて2020年も、ありんくりんが「O-1グランプリ」チャンピオンに輝き、「よっしゃ〜! ありがとう!」と2人の声が響きました。




<二連覇達成!「ありんくりん」優勝コメント>

ひがりゅうたさん
優勝できました! 1か月前から、スマホのスケジュール表に「賞金100万円ゲット(仮)」って入れていたので、気合いが入ったと思います。実は決勝のネタは6年前に初めてO−1に出た時に披露して予選落ちしたネタ。それでもいいネタだと信じ、絶対やりたい思いがかないました。去年は手応えがあったんですが、今年は優勝できないと思っていたんですよ。本戦の録画データを見返して、表情の一つ一つやカメラの動きまで細かく確認しました。だからホッとでき本当にうれしい。次の目標は、琉球新報ホールの単独ライブ「スーパー毎月ありんくりん」を満席にすることなので、よろしくお願いします!

クリスさん
急きょネタを変更してバタバタでした。りゅうたがスケジュール表に「賞金ゲット」と書いていると知らなくてビックリ(笑)。とにかく予選で上位に、という気持ちで臨みました。断捨離せずに残したネタでの優勝はうれしく、出番のくじ引きはラッキー。僕の動画「クリスです!」効果で、投票が集まったといううわさもあります(笑)。防衛成功でちょっと大人になった気分ですが、みんなのレベルが上がったと実感。このコンテストのために全芸人さんは休み返上でネタ合わせをし、何か月もかけてめちゃくちゃ練習します。バトルの中で爪痕を残せないとスタートに戻るので、優勝できて最高! 自信を持つことが大切ですね。


<予選審査員「ゆうりきや〜」コメント>

城間祐司さん
エントリーした約70組のすべてのネタを見ました。沖縄はお笑いの熱が高い島だと再確認しましたし、学生さんから60歳を過ぎた方も応募してきてスゴイ! 面白くてビックリしました。「O−1グランプリ」は沖縄ならではの笑いを表現し、地元のエッセンスがたっぷり。県民に愛されているお笑いコンテストなんです。沖縄はネタの宝庫ですので、まだまだもっとお笑いが楽しめると思っています。

山田力也さん
年々レベルが上がっています。1年かけてネタを作り上げてきている事が伝わってきますし、場数を踏んでいる芸人は強い。優勝したありんくりんは、たくさん舞台に立ってきたでしょうし、営業活動など頑張ってやっているのが分かりました。面白い若手はたくさんいるので、これからもみんなで切磋琢磨してほしい。我々も一緒に頑張りますので、みなさん、お笑い界の応援をお願いします!



出場芸人さんの闘争心と観客のみなさんの爆笑で、熱気あふれる会場でした。「新人時代のネタで再び勝負した」というありんくりんの優勝エピソードは感動的。他にもたくさんの物語が誕生した、沖縄色強めの「O-1グランプリ」。15回目を数える来年の開催が待ち遠しいですし、これからのお笑いシーンにも注目しようと確信できました。

饒波貴子(のは・たかこ)

那覇市出身・在住のフリーライター。学校卒業後OL生活を続けていたが2005年、子どものころから親しんでいた中華芸能関連の記事執筆の依頼を機に、ライターに転身。週刊レキオ編集室勤務などを経て、現在はエンタメ専門ライターを目指し修行中。ライブで見るお笑い・演劇・音楽の楽しさを、多くの人に紹介したい。




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