その行い、本当に必要? コロナ禍で気を付けるべき行動 モバプリの知っ得![114]


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新型コロナウィルスの感染拡大が続いています。終わりの見えない自粛ムードに疲れている人も多いのではないでしょうか(私もその一人です)。
そうした中で、感染した人をバッシングしたり、嫌がらせをする事案が発生しています。
そのようなバッシングが許される社会では、体調が悪くても言い出すことができず、結果的に更に感染が広がってしまうことも考えられます。私たちが今何を「行わないべき」なのか、考える必要があるでしょう。

県教育委員会にかかってきた脅迫電話

新型コロナウィルスに感染した人へのバッシングが各地で発生しています。
沖縄県内では3月に、スペイン旅行から帰国後に陽性反応が出た10代の女性に対し、脅迫めいた電話が3件、県教育委員会にかかってきています。

「名前と学校名を教えろ」 検査結果待たずに帰宅の10代女性感染で県教委に「脅迫」電話 危害を加えるような言葉
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1095628.html

また、三重県でも新型コロナウィルス感染者の患者や家族の家に石が投げ込まれたり、壁に落書きされるなど嫌がらせ被害が発生しています。

陰湿極まりない嫌がらせ…感染患者・家族の家に投石や落書き被害 三重県
https://hicbc.com/news/article/?id=0004DA20

似たようなニュースとしては、新型コロナウィルスを理由に「人種差別」が各地で発生しています。

「新型肺炎デマ」と差別意識 モバプリの知っ得![109]
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-1069296.html

日本国内で新型コロナウィルスの感染が拡大する前は、「中国で流行している感染症らしい」とまだまだ他人事で、「中国人お断り」の対応をとる飲食店、あるいはインターネット上のまとめサイトが「中国人が日本の健康保険を悪乗りするために押し寄せる」などといった不正確な情報を拡散していました。

感染が拡大する前の欧米でも、新型コロナウィルスとアジア人を結びつけて差別が横行。暴行事件も発生し、ニューヨーク市長が「差別は違法です。アジア系アメリカ人の皆さんへ。ニューヨークはあなた方の味方です」とコメントを出すまでに至っています。

「新型コロナウィルス」を理由に、人種差別したい人たちがここぞとばかりに差別的な言動を行なっていました。

感染者をバッシングする行為と、人種差別は地続きになっています。
「気がついたら差別主義者になっていた」、あるいは「感染者へのネットリンチ加害者になっていた」という結末を迎える前に、今一度自分の言動を振り返ってみましょう。

「後知恵バイアス」の罠

新型コロナウィルスを巡っては、次に感染する確率が高い「濃厚接触者」を特定するため、感染した人の行動が公表されることがあります。

「◯◯月◯◯日に、飛行機に乗って▲▲へ。◯◯日に帰国後は電車を使い帰宅。翌日から〜」などと、前後の行動が報じられるわけです。

この時に感染者の動きを見て、「そりゃ、この時期に◯◯へ行くと感染するに決まっているでしょ。バカだな」と見下したような意見をSNSで見かけます。(悲しいことに、私の友達たちもこうした投稿を多数行っていました)

重要なことが発生した後では、何だって言うことができます。スポーツでも「あの時のあのプレーはないわー」「あんな采配するくらいだったら俺が監督した方がいいわー」とテレビを見ながら言うのは簡単ですが、素人が実際やってみたら絶対にうまくいかないでしょう。

このように結果が出た後で「自分は知っていたよ」というような態度を、「後知恵バイアス」と呼びます。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

ニュースや報道は「重要なこと」が発生した後のことなので、それらを見ながら「こうなることが分からなかったなんて、バカだな」と見下すことは簡単で、そのような行いは手軽に自分が賢くなったように感じる、中毒性の高い「娯楽」に近いものがあります。
そもそもオープンになっていない個人行動を後から非難することは、全て後知恵バイアスに分類してもいいでしょう。

そもそも感染したくて感染している人は、ほとんどいないでしょう。感染した「被害者」を、ネット上で手軽にバッシングすることは、自分が気持ちよくなることはあっても、感染者の早期回復にはつながらないので、予防を考えると何の意味もありません。

ましてやバッシングが横行する社会では、多少の体調不良も言い出すことができず、結果的に感染を拡大させる可能性もあります。

「手洗いをしっかり行う」「外出を控える」など「するべき」行動を意識すると同時に、「感染者をバッシングしない」「後知恵バイアスで偉そうに意見しない」などの、「しない」行動も意識してみましょう。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」4月19日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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