ナチュラル漫才が魅力のピュア青年!<カシスオレンジ 仲村駿稀さん>◇沖縄芸人ナビFILE.22

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高校時代は野球部に所属。学校行事での漫才披露が初舞台という、カシスオレンジの「仲村駿稀さん」。3歳年上のお姉さんが有名人で、「弟だから面白い!」というレッテルがすでに貼られていたそうです。ナビゲーター役の「初恋クロマニヨン・松田正(まつだ・しょう)」さんは、仲村さんの漫才へのこだわりが気になっていたようですよ。

※この取材は3月13日に行いました。

(執筆:フリーライター・饒波貴子)




「沖縄芸人ナビ」は「週刊レキオ」(毎週木曜発行)と連動中。毎月第1週のレキオに関連記事を掲載していますのでご覧ください。




仲村駿稀さん(左)とナビ芸人の松田正さん。(2人とも「よしもとエンタテインメント沖縄」所属/http://yoshimoto-entertainment-okinawa.jp/)。事務所の先輩・後輩の仲ですが、自他共に認めるおしゃべりな仲村さんは、普段から先輩の松田ナビとよく話しているそうです。


素のキャラ生かし日常会話で漫才


松田ナビ:カシスオレンジの漫才の面白さは沖縄県内トップレベルと思い、尊敬しています。ネタを書いている仲村は漫才にこだわっているけれど、なぜそんなに漫才が好き!?

仲村:子どものころから漫才を見て来たのもあり、友達とのおしゃべりも漫才みたいな感じだったんですよ。その掛け合いが好きでお笑いを始めたので、コントは合わないと気付きました。それから「コントは弱くても漫才は強い」というコンビ像を心掛けています。しゃべることが好きなんですよね。

松田ナビ:確かにしゃべるの好きだよな! 実際にいろんな人としゃべっているのを見るけど、それは人が好きってことなのかな?

仲村:人が好きです。そしてしゃべっていたらネタが作りやすい。ボケをかましてウケたらネタにしてみよう、とか考えています。

松田ナビ:情報やキャラクターを入れ込んで、日常会話からヒントを得てネタにすると。

仲村:そうです。実話が元になっているんですよ。

松田ナビ:カシスオレンジの漫才はファンタジー要素がなく、日常にありそうな相方との会話劇。そういう方式だから、普段の会話を落とし込みやすいんですね。では視聴者として好きな芸人さんは?


コンビ結成7年目の「カシスオレンジ」。相方の仲本新さんは保育園からの幼なじみ。

仲村:親に見せられたダウンタウンさんの漫才が好きでした。僕が小学生のころはもうダウンタウンさんは漫才していなくて、音楽番組「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」のMCとしての掛け合いが漫才みたいでした。これはすごいと好きになり、友達との会話もそんな風になりました。

松田ナビ:「HEY!HEY!HEY!」のトークは最高でした! 漫才を日常会話として捉えている仲村の感覚はうらやましい。漫才は人柄を出さないといけないというのは昔から言われているけれど、僕は「関係ないやし!」って無視しながらやって来た。でも「やっぱり漫才の中に人となりを入れないとウケないんだ」という感覚に最近なりました。気付くのが早い仲村は漫才に対する嗅覚が鋭い。

仲村:松田さんが書く初恋クロマニヨンさんの漫才は、ファンタジー要素も入るのでめちゃくちゃすごい! 僕にはそれは作れないんですよ。

松田ナビ:あれは夢物語(笑)。たくさん笑いが取れたら最高だろうけど難しい。日常会話からの漫才はガシガシ笑いをとってイベントでもウケる。若い人から年配の方まで笑わせられるのが漫才の理想形だと思っているので、やっぱり仲村はすごいです。カシスオレンジと漫才で勝負する時は、正攻法では勝てないから角度を変えて戦うしかないと思っています。野暮な質問かもしれないけれど、ネタを書いている仲村は元々ボケで、相方の仲本がツッコミ。でも最近は役割が逆になることがあるので、考え方に変化があった?

仲村:僕がボケ役の時「日常生活では仲本にツッコんでいるのにな」と嘘をついているような感覚になり、仲本自身に自分が言いそうな言葉でボケを考えてもらいました。僕が提案したネタを合わせる時に穴埋め式にして、仲本にボケさせて良かったら採用する感じに変えたところウケたので、これでやっていくことになりました。元々ボケ役だった僕は「バン!」とツッコむタイプじゃないので、ちょこちょこボケるところを入れながら違和感がないネタを作っています。

松田ナビ:ある意味、仲本を生かす作業で素晴らしい! 仲村は勘がいいんだな。僕が直面している壁かもしれない。僕が書いた台本で相方2人とネタ合わせすると、「え、なんか違う!?」って思うことがある訳。相方がやりやすい言い回しがあるか確認してはいるけれど、「漫才のツッコミはこういうものだ」というような固定概念があるんだよね。仲村はツッコまなかったり、包み込むような優しいフレーズを使ったりしているよね。やわらかくツッコむこともあるけれど、自分のキャラクターはどうやって決めた!?

仲村:強くツッコんだ時、自分には合っていないと感じました。なのでいったん相方を泳がせたり、普通はツッコむところを「分かるよ」と言ったり。そっちの方が合うと思ったんですよ。

松田ナビ:自分に合っているのをしっかり考え、落とし込んだんだ!

仲村:仲本にも「お前に合っていない」と言われたんですよ。

松田ナビ:仲本も嗅覚がある! いいコンビだな〜。

仲村:でも完璧なネタを作ったと思っていたのに、いざ合わせてみたら「なんでこうなるば〜」って残念な時もありますよ。



松田ナビ:気持ちがなえるよな(笑)。完全パッケージのネタを持って来たから骨子の擦り合わせでいいのかな〜と思っていたのに、裏切られてしまうと(笑)。まぁ僕も、人が作ったネタができるかっていわれたらできないけどね。そういう意味では、コントへの苦手意識があったりする?

仲村:あります。見るのは好きですけどね。賞レースの「お笑いバイアスロン」も、僕たちはコントで落ちているんじゃないかなと思っているんです。「コントなのに漫才だ」と言われるのも嫌ですから、今は漫才ベースでできるコントを作っています。

松田ナビ:演技して会話を繰り広げるのがコントだから、素の自分でしゃべるのとは違ってきて難しい。でも結局・・・結果論だけどウケたら何も言われない(笑)。お笑いの大会を見ていると、あまりウケていない人が批評されていると思うんだよね。そういう意味では、漫才とコントのすみ分けも難しい。音楽もやっている仲村は、音楽がコントになったりしない?

仲村:歌でコント作ってみればと仲本に言われます。それで算数の文章問題にして作ってみたんですが、ツッコんでほしい時にタイミングが過ぎているなどズレがあり、難しかったです。歌ネタする人はマジですごいと思っているんですよ。

「なんとなく」・・・バンド活動!?

松田ナビ:カシスオレンジに合っているのは日常会話形式! カチっとしたネタになってくると、ストレスがたまっていくんだな。

仲村:僕らカチっと決めたらしゃべれなくなるので、台本がありません。音楽は「なんとなく」というバンドで活動していますが、ドラムが後輩芸人のヤンバルナゴン玉城淳也(たましろ・じゅんや)で、 ベースとギターはプロのミュージシャン。僕はボーカルとギターです。中高時代のバンドではボーカルをやっていましたが、ギターは2年くらい前に始めてちょっとずつ弾けるようになりました。

松田ナビ:音楽もとても詳しいけれど、お笑いと同じくらい好き?

仲村:好きです。バンドスタイルが好き。最近より昔のバンドが好きです。


バンド「なんとなく」で音楽活動中。

松田ナビ:僕はお笑い以外で人前に立った事がないから分からないけれど、歌で人前に立つのはまた何か違う?

仲村:違います。バンドのリハーサルでMCの練習もやるんですけど、「この曲の時は熱いトークがいいよ」などプロのメンバーがアドバイスしてくれます。歌う時は大丈夫ですが、MCの時はめちゃめちゃ恥ずかしいですよ。

松田ナビ:イメージすると確かに恥ずかしい! 音楽ライブのMCは、ある程度道筋があるんだな。

仲村:だからメンバーの意見を無視してボケるんですよ。アーティストの人が熱いこと言ったらかっこいいけれど、僕が言ったら恥ずかしいと思って。

松田ナビ:「なんとなく」の歌はシリアスというか、コミックソングではない真面目な曲。漫才も音楽も最高だ! 親御さんはバンドの曲聞いてくれる?

仲村:はい。バンドライブも見に来ます。でも漫才頑張ってね〜としか言わないですし、バンドはお笑いで売れてからだと思っているはず。漫才も音楽もできていませんからね。

自己プロデュースで良いバランスに

松田ナビ:人とよくしゃべる仲村だけど、陰口を言うイメージがない。攻撃的なネタもないし、コンビ2人が傷付け合わずに完結している。自然にそうなるのかな?

仲村:自然だと思います。陰で相方の文句を言う人の気持ちも分かるんですけど、僕も仲本も直接言えちゃうんですよね。仲本が変なこと言ったら次のネタにしますから、自然にできるんでしょうね(笑)。嫌な空気感は作りたくないですし、怒っても最後は冗談で閉めます。

松田ナビ:いいヤツだな〜仲村は。そしてカシスオレンジのコンビ関係は素晴らしい。漫才は人となりを出そうと思う一方で、作品をつくるという二面性を持つ。その両面がせめぎ合っているけれどバランス取るの難しくない?


気心知れた仲良しコンビ。

仲村:悩んだ事はあります。でも「作品といえる作品はまだないんじゃないかな」というのが、僕らの中にあります。代表作を聞かれても何もなくて。

松田ナビ:漫才として、それがいいのかも。作品ですらないってのは真理に近い気がするし、タイトルのないネタは会話そのもの。ナチュラルにやっているいいコンビだな〜。数年前に「マジでウケたんですけど、コンテストの2回戦に通りませんでした」と言っていたのが印象に残っていて、面白いのに評価されていないというイメージだった。でも最近は「面白い!」って声をよく聞くので、評価が伴ってきたと思う。

仲村:今はわりと手応えを感じます。そしてウケるのは当たり前で、どう目立つかを意識しています。他の芸人と同じくらいウケて比べられた時、キャラクターがあるから選ばれるケースもあると思うので、そこを頑張っているところです。そういう考えから「仲本をボケにしたら自分も生かせる」と思いました。

松田ナビ:カシスオレンジのコンビプロデュースをした感じかな。役割を入れ替えてお互いのキャラクターを際立てさせている。

仲村:今まさにいいバランスになってきたと思っています。漫才する時、前の仲本は控え目でしたが今は面白くできていると思えますから。


お姉さん加入でトリオ結成!?


松田ナビ:仲村は大喜利も面白い。普段はツッコんで言うけれどボケやすかったりするから。「ボケやすい人」なのは才能の一つかもしれないな。

仲村:学生の時はいじるボケが多いと思うんですけど、僕はいじられる方でした。いじる側になるのは少なかったと思えます。

松田ナビ:いじりが当番制だったの(笑)!?

仲村:当番制と思えるくらいでした(笑)。小学生の時の授業中に先生の言い間違いに気付いたら、ぼそっとツッコんでいたんです。そしたら周りがちょっと笑うんですよ。

松田ナビ:イヤ~な感じの、意地悪なツッコミ(笑)。バシッと言えば、クラスのみんな笑うのに。

仲村:でも自分は面白いと思っていなかったのに、みんながボケも面白いって言ってくれたんですよ。だからボケる側に行ったんですけど、今思えばツッコミが合っていたのかもしれません。家族は全員ボケみたいな雰囲気で、家でもよくしゃべっています。

松田ナビ:オンオフのないピュアな青年。家ではおとなしいっていう芸人さんは多いけど、仲村は変わらない。そういえばお姉さん、芸人志望だっけ(笑)?

仲村:なりたいな〜って言っていました(笑)。仕事を辞めて、一度しかない人生だから芸人やってみたいな〜って言うので、僕と両親で家族会議して「いいんじゃない」と賛成することにしました。僕とコンビでもいいし、トリオにしてもいいし(笑)。幅が広がりそうですからね。姉は一人で活動しているので、YouTuberでもいいかもしれません。


うわさのお姉さんと2ショット。お姉さんも濃いキャラクターの持ち主!

松田ナビ:仲良し家族! でもお姉さん入れたコンビやトリオはいいのか分からない(笑)。仲村のお姉さん、何回か見たことあるけれど披露宴の余興VTRなど全部映像を通してのみ。実際に見たら「本物だ!」ってなるかもしれない(笑)。おしゃべり家系なのかな?

仲村:俺は静かな方で、姉と両親はもっとしゃべります。

松田ナビ:おしゃべり家系で育ち、両親はダウンタウンさんを見せるくらいお笑い好き。

仲村:家族からはコントもやれってよく言われます。

松田ナビ:息子はこんなに漫才が好きなのに(笑)。「ここは譲れんぞ」というこだわりを教えてください。

仲村:漫才でもコントでも大喜利でも、こだわるのはリアルさ。「本当にありそう、でもない」というギリギリのところで飛びすぎないようにしています。それが自分に合っているとも思えますから。

松田ナビ:いいライン! それを踏まえて自分に合わないことはやらないという潔さがある。

仲村:自分には合わないと感じたら誰かにやってもらいます。5年くらい前に「カレーが大好きだからカレーになりたい」っていうネタをやったんですよ。ウケなかったのでやっていませんが、芸人さんからは評価が高かったのでやりたい後輩にはネタをあげます。

松田ナビ:自分たちに合わないネタをやるくらいなら、使っていいよと誰かに提供。合っているリアリティーのあるネタでやっていく姿勢で進むんだな。同じライブに出る時、エンディングで幕が閉じる直前に「仲村、何かある?」っていう無茶ぶりをよくしています(笑)。必ず応えてくれるから、ただただ感謝しています。ありがとう! 最後に展望を聞かせてください。

仲村:ライブの終わり時間に近付くと松田さんと目を合わせないようにしていましたが、目が合わなくても振ってきますよね(笑)。最近は漫才で声がかかるようになってきたので、全国でウケるネタを作っていきたいです。

松田ナビ:リアリティーのあるカシスオレンジの漫才、期待しています!



※この取材は3月13日に行いました。



【対談を終えて・・・】

☆仲村さん☆
松田さんとはよくおしゃべりしますが、ネタを見ているとは気付きませんでした。めっちゃ見てくれているんですね。ツッコミ方とか細かく見ているいい先輩、他にはいないと思いました。でも時々舞台袖から、いたずらしてくるんですよ(笑)。

☆松田ナビ☆
仲村のこと「職人気質な男」だと思っていました。でも今回話をして、リアリティーを追求していくプロフェッショナルな芸人さん、という見方に変わりました。




【プロフィール】


★仲村 駿稀(なかむら・しゅんき)/カシスオレンジ  
生年月日:1991年1月26日
出身地:宜野座村  
趣味:ダーツ、カラオケ
特技:ボイスパーカッション
Twitter:@shunkimuchi

★松田 正(まつだ しょう)/初恋クロマニヨン
生年月日:1984年8月22日
出身地:読谷村 
趣味:ソフトボール/漫画
特技:野球
Twitter:@hatsukoimatsuda

 



 


【インフォメーション】



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饒波貴子(のは・たかこ)
那覇市出身・在住のフリーライター。学校卒業後OL生活を続けていたが2005年、子どものころから親しんでいた中華芸能関連の記事執筆の依頼を機に、ライターに転身。週刊レキオ編集室勤務などを経て、現在はエンタメ専門ライターを目指し修行中。ライブで見るお笑い・演劇・音楽の楽しさを、多くの人に紹介したい。




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