するっとおいしい!沖縄のなが~い夏に欠かせない “手延べそうめん”


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チャンプルーでも冷やしでも

沖縄製粉の乾麺製造課の工場にて、手延べそうめん「龍頭(りゅうとう)」が製造される様子。生地の調合から始まるそうめん作り、約180㌢の長さになるまで段階的に引き伸ばし、乾燥させることでコシのある食感に仕上がる。写真・村山 望

暑い時季になると食べたくなり、何かと重宝する「そうめん」。実は県内にも製造を手掛ける企業があることをご存知だろうか。沖縄製粉乾麺製造課の工場は、県内で唯一手延べそうめんの製造を行っている。1994年より続くそうめん製造の様子と県民向けに開発された商品「龍頭」の魅力を聞いた。

八重瀬町富盛にある沖縄製粉乾麺製造課の工場。その日の早朝4時に始まった手延べそうめん作りは、正午ごろ「大引き」という工程に差し掛かっていた。

4本の棒に通された麺の束を人の手で伸ばしていく作業。そうめんはこの段階で150~160㌢の長さになるという。機械で細かく裁断する「機械めん」に対し、人の手でそうめんを引き伸ばす工程を踏まえたものが、「手延べそうめん」と呼ぶことができる。

隣り合ったそうめん同士がくっつかないように、金属製の菜箸で「箸入れ」という作業も行う。単純な作業に見えるが、干されているそうめんに対して垂直に箸を入れ、上下させる技術は習得に時間を要し、出来を左右するという。

そうめん作りの工程

県内で唯一手延べそうめんを生産する同工場。通年で稼働し、日に最大400㌕を生産している。

1回のそうめん作りの工程は約2日。配合した生地を休ませながら、徐々に麺を細く、均等にしていく。生地を伸ばす際には麺に「縒り」(より、ねじり)を掛けながら伸ばす。麺は約180㌢になるまで段階的に伸ばし、乾燥させるまでが初日の工程。

2日目は、乾燥させた麺を裁断し、不良品などを選別する。これがそうめん作りの大まかな流れだ。この後そうめんは、4カ月の熟成期間を置いたのち、出荷される。作業工程は一部機械化されながらも、品質に関わる重要な部分には人の手が入っている。

工場で出荷前のそうめんの選別作業を行う従業員。手に余るほどのそうめんの束から、成形不良や長さが足りないそうめんを見分けるのは熟練の技だそう

「県外の昔からのそうめん生産者には『土三寒六常五杯』(どさんかんろくじょうごはい)という言葉が残っています。めんの生地に配合する塩と水の割合を季節ごとに表し、覚えるためのものです。季節ごとに適した配合で生地を作ることがなかなか難しいんですよ」

そう話すのは、沖縄製粉製造部の照屋武司さん。生地作りから麺の乾燥まで、工場内の気温や湿度管理には常に気を使うのだと教えてくれた。

沖縄製粉製造部の竹内和仁さん(右)と照屋武司さん

県民の生活にぴったり

同工場の手延べそうめんは「龍頭」と銘打たれ、消費者の元に届く。製品としての特徴はどこにあるのだろう。沖縄製粉製造部の竹内和仁さんに尋ねると「『龍頭』はそうめんチャンプルーに向いたそうめん、というコンセプトで作っています!」との答えが返ってきた。

県民は経験がある方も多いと思うが、そうめんチャンプルーを上手に作るのはなかなか難しい。油で炒めたそうめんがだんご状にくっついてしまうことが多いからだ。「龍頭」は、一般的なそうめんと異なり、炒めた際の油のなじみの良さも際の考慮されているため、完成したそうめんチャンプルーが「するっと」持ち上がるそうだ。

「龍頭」を使ったそうめんチャンプルー(提供写真)

もちろん、冷やしそうめんでもおいしい「龍頭」。太めに作られているため、コシが強く、歯ごたえが良いのも魅力だ。ゆでてからしばらくたっても、麺が伸びにくく、おいしく食べることができる。

冷やしそうめんやチャンプルーだけでなく、台風時の保存食、お中元・お歳暮のギフトとしても選ばれているという「龍頭」。一般的なそうめんと異なる食感は沖縄のお土産としてもおすすめだと竹内さんは話す。沖縄の暑くて長い夏は、県産品のそうめんをお供に乗り切ってみてはいかがだろう。

(津波 典泰)

1994年から製造の始まった手延べそうめん「龍頭」

沖縄製粉株式会社
【住所】那覇市通堂町1-1 (マップはこちら
【電話】 0120-84-4157
【インスタグラム】@okinawa_seifun
【ホームページ】https://www.okifun.com/

 プレビュー

(2020年6月17日付 週刊レキオ掲載)