もらってうれしい!食べておいしい!地元で愛されるお土産4選


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地方部記者が担当地域のイチオシを紹介する「J(地元)☆1グランプリ」。今回は「お土産」を紹介します。旅先で購入したり、友人から頂いたり、旅に限らず差し入れで届けたり。横の人間関係が濃い沖縄では、何かと贈る機会の多いお土産。新型コロナウイルスの影響で自粛生活が長引きましたが、ようやく最近は人と会う機会も増えてきました。地元で愛されるお土産を手に、久々に会う友人の笑顔を見に行きませんか。

名護桜 ★ 名護・エビス

桜の花びらをかたどった焼き菓子の「名護桜」

 プレビュー 名物桜、焼き菓子に

毎年1月ごろにカンヒザクラが咲き始め、日本の桜前線の出発点となるやんばる。その「日本一早い桜」をモチーフにした焼き菓子「名護桜」(1個税込み180円)を名護市の菓子店「エビス」が販売している。新たな北部名物として、贈答用などで喜ばれている。

国産の高品質バターを使った焦がしバターとアーモンドの香ばしさを楽しめる。桜の季節は期間限定で、名護城のカンヒザクラの花びらから抽出したエキスを使い、香りに花を添える。菓子は「名護の桜をPRできるものができれば」と2013年ごろに比嘉信勝社長(47)らが開発した。

焼き菓子「名護桜」を手にする「エビス」の比嘉信勝社長(右)=9日、名護市宮里の同店

毎年1月に開かれる「名護さくら祭り」に今年初出展し「記念になる」と来場者から好評を博した。

同店は比嘉社長の父・良雄さん(現会長)が市数久田で1971年にみそ店として創業。まんじゅう店に転じ、さらに洋菓子も扱うようになった。比嘉社長は「地元に密着して愛される商品を作っていきたい」と強調した。

「名護桜」は為又店と、道の駅店で購入できる。
為又店(電話)0980(52)2145。年中無休。 

(塚崎昇平)

島ニンジンケーキ、プリン ★ 中城・きなこや

島ニンジンのケーキ「We baked cake」(手前)と琉球プリン

プレビュー 素材にこだわり

中城村特産の島ニンジンを活用したケーキや、卵を使わず豆乳で作った「琉球プリン」などを製造・販売している村泊の菓子屋「きなこや」。2006年から村内で工場併設の直営店を構え、商品は県内外で土産品として親しまれている。

島ニンジンのケーキ「We baked cake」は中城中学校の生徒が18年度に商品開発した。グミ状の島ニンジンがサクサクの生地と合う。コープ沖縄の店舗で購入でき、きなこや直営店で琉球プリンなども予約注文できる。税込みでケーキは1080円、プリンは350円。

島ニンジンのケーキや琉球プリンをPRする「きなこや」の瀬良垣守幸社長=5日、中城村泊

新型コロナウイルス感染拡大の影響で納品が減り、直営店は4月上旬から予約注文を除き休業している。工場は稼働して県内スーパーなどへ納品し続けるが、2~5月の売り上げは昨年同期より3~4割減った。

打撃を受けながらも、きなこや社長の瀬良垣守幸さん(52)は「市場は変わり、順応しないといけない。考え方の方向転換ができたと思う」と前向きだ。観光客は減少し、大人数で菓子を食べる環境は変化しつつある。1人でも食べられる商品開発に取り組んだり、地産地消に努めたりして危機を乗り切る。

営業時間は午前10時~午後5時。日曜定休。(電話)098(895)2050。

(金良孝矢)

手づくりまるごとジャム ★ 八重瀬・しらかわファーム

県産果実100%使用で、香料、保存料、着色料不使用の6種類の手づくりまるごとジャム

プレビュー 県産果実、そのまま

八重瀬町上田原の「しらかわファーム」には八重瀬産の果実を含む県産果実100%使用のジャムがある。その名も「手づくりまるごとジャム」。作り手の大城自子(よりこ)さんが「果実の味そのまま、もぎたての味を」との思いを込めた。マンゴー、グアバ、カーブチー、パッションフルーツ、ドラゴンフルーツ、ハイビスカスローゼルの6種類がある。香料、保存料、着色料は不使用で体に優しい作りとなっている。沖縄の自然の恵みを受けた果実の味を存分に堪能できるジャムだ。

瓶詰めした手づくりまるごとジャムを前に「ぜひ食べて見て」とPRする大城自子さん=1日、八重瀬町上田原の「しらかわファーム」

大城さんは両親がマンゴー農家だったことを機に2000年からジャムを作り始めた。15年には現在のパッケージに変更し、より注目度が増した。

焼きたてのパンに塗るのもよし、クラッカーやヨーグルトに載せて食べるのもお薦めだ。

大城さんは「ぜひ、沖縄の果実を気軽に食べてほしい」と呼び掛けた。

ジャムは「しらかわファーム」をはじめ「南の駅やえせ」や県内の土産店、ホテルなどで販売している。全国に配送もできる。営業・受付は月~土の午前9時~午後1時。問い合わせは(電話)098(998)6829。メールはinfo@shirakawafarm.com

(照屋大哲)

沖夢紫ロールモンブラン ★石垣・島の菓 八重山屋

沖夢紫の濃い紫色が鮮やかな「沖夢紫ロールモンブラン」。1カット(税込み270円)も販売している

プレビュー 上品な紅イモの甘さ

石垣島の空の玄関口・石垣空港にある八重山南風堂の直営店「島の菓 八重山屋」には、石垣島産の紅イモ「沖夢紫(おきゆめむらさき)」を使ったスイーツが並ぶ。その中でも「沖夢紫ロールモンブラン」(税込み1730円)は店の看板商品だ。

生クリームを包みこんだココアパウダーのスポンジ生地の上に、さらに沖夢紫のペーストがたっぷり覆う。紅イモの風味が感じられ、上品な甘さの仕上がりとなっている。

「沖夢紫ロールモンブラン」をPRする島の菓八重山屋の仲原貴之店長=5日、石垣空港

店長の仲原貴之さん(47)は「生産者からも『沖夢紫の良さが出ていておいしい』との声をもらう。甘ったるくないので、お子さまから年配の方まで幅広く人気があって、リピート率も高い」とアピールする。

2013年の石垣空港開港記念で発売されて以来、観光客だけでなく地元の人たちからも親しまれてきた。イモとしての「沖夢紫」のブランド化に貢献したいという地元への思いも込められたロールケーキは、空港と市内ホテルにある直営店のみの販売で、石垣島でしか手に入らない。

新型コロナウイルスの影響で臨時休業していた店は、6月に営業を再開した。

仲原さんは空港ににぎやかさが戻る日を期待しながら、「石垣島に来た思い出として持ち帰ってほしい」と笑顔を見せた。  (大嶺雅俊)


昔ながらのお土産も

一般的に「お土産=(イコール)食べて消費されるもの」が多い。今回登場したお土産も、全て食べ物。3時のおやつにぴったりなスイーツの品々で、「甘い」という点では四つとも共通する。見ているだけで「コーヒーと一緒に食べたい」と思わせるものばかり。

同じように「消費されて無くなるお土産」で、最近定番化しているのが、ご当地ならではの名産を原料にした美容系のフェースシート(顔パック)。全国各地のバージョンがある。沖縄版ではシークヮーサーやアセロラ、月桃の顔パックも。消費されるお土産もいいが、昔ながらの「指ハブ」のような土産品も後世に残ってほしい。

(亜)

(2020年6月14日 琉球新報掲載)