コロナ禍で持続可能な雇い方・働き方をする方法 【持続可能な働き方を求めて@沖縄】

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「働き方改革@沖縄」は「持続可能な働き方を求めて@沖縄」にタイトルを一新しました!
AIの発達や人口減少などの従来の変化の波に加え、新型コロナウイルス感染拡大など、地球規模の出来事が一人一人の「働き方」にも大きな影響を与えています。
激変する環境の中で、企業も労働者も「持続可能(サステナブル)」な働き方を実現するためには―。沖縄の経営者、労働者、学生たちと日々向き合っている専門家3人がリレー形式で「働く」をめぐる課題と解決へのヒントをお届けします。執筆者は変わりません。



6月に入り、朝夕の交通渋滞も通常通りに戻ってきた今日この頃、皆さんの変化はいかがでしょうか?働く環境がガラリと変わった人、今まで通りの日常が続いている人、このコロナ禍の影響は、人によってさまざまでしょう。

さて、沖縄県の4月の有効求人倍率は0.91倍。ついに1.0倍を割り込みました。これを簡単に説明すると、仕事を探している人が100人いたら、お仕事の数が91しかないという状況です。沖縄県労働局によると、新規求人数が減少して、宿泊業、飲食サービス業を中心に厳しさが見られるとのことです。

つい数カ月前まで人材不足に悩んでいた企業が、今は採用どころか現スタッフの雇用の維持で精いっぱい。とても先の事なんて考えられない…。という事態に陥ってきました。
それでも廃業はせずに前向きに事業を営んでいこうという企業、自分や自分の家族を守るため前向きに働いていこうというビジネスパーソンは、どう変化していけばいいのでしょうか?それぞれの立場によって大変な状況ではあると思いますが、今回は前を向いている人はもちろん、そうでない人にもヒントとなるような記事をお届けします。



◇執筆者プロフィル 

小宮 仁至(こみや ひとし) ファンシップ株式会社 代表取締役

広告会社やWEBマーケティング会社を経て、2015年にファンシップ(株)を創業。2016年より「レンアイ型採用メソッド」を提唱し、企業へのセミナーや求職者への採用支援を実施している。
1979年生まれ 熊本県出身。うちな〜婿歴11年の2児の父。



コロナ前から起こっていた変化、忘れていませんか?



目の前のコロナ禍やこれからの不確定な未来にばかり目がいって、それ以前の前提を忘れてはいけません。日本の人口減少に歯止めがかかることはありませんし、人生100年時代と言われる超高齢化社会が続くことも変わりがありません。つまり終身雇用の維持が困難になり、新卒一括採用の利便性も失われていることも変わりがないでしょう。

私は、これまで主に中小企業の採用に関わってきました。新型コロナによって中小企業の雇用環境に何か大きな変化が起こるというより、むしろ徐々に起こっていた変化が加速度的に進むということを予測しています。



ここでは、コロナ以前からの前提をもとに、企業側と働く人側の視点に立ってこれからの時代に持続可能な働き方(2020年6月現在)の考え方をお伝えしたいと思います。もちろんコロナの第2波が来ることや、さらに予測不能な出来事が起こることも想定されるので、あくまで現時点での話であることをご了承いただけると幸いです。



労働の対価=給料だけではない



まずは企業側。雇う側の変化について。
前提として、経団連の中西会長やトヨタ自動車の豊田社長も終身雇用の維持が困難な状況にきていると発言されたのは2019年です。この長期的な予測が立てにくい状況下において、さらに終身雇用というメンバーシップ型の雇用契約の維持は、難しくなってくると思います。メンバーシップ型の採用というのは、ざっくり言うとポテンシャルに期待した採用です。とりあえず、会社に一員になってもらって数年かけて成長してもらい、その後に活躍・貢献してくれればいいという考え方。どう考えても、予測可能な未来を前提にした働き方なんですね。

これに対して欧米ではジョブ型採用という働き方が主流です。雇用契約をする際に、ジョブディスクリプション(職務記述書)を明示して、「これこれ、こういう仕事をやってね」という契約の結び方。もちろん、採用する人はその仕事が最初からできる人を採用するわけです。



私は何でもかんでも、欧米に倣えばいいとは思いません。だからといって、日本の一部の大企業だけが持続可能なメンバーシップ型の終身雇用をうたっていても、求職者や働く側には見透かされてしまいます。2020年以降は、企業ごと企業ごとに、働く従業員に与えられる価値を明確に伝えていく必要があると考えます。

「従業員に与えられる価値?それは給料で払っているだろ?」
こう思ってしまった経営者の方は危険です。

私は、これまで働く人500人以上にインタビューをしてきましたが、従業員の方たちは、必ずしも労働の対価をお給料だけで測っているわけではありません。

・そこそこ待遇がいいから、多少嫌なこともあるが我慢して働いている人
・やればやるほどインセンティブがつく仕事だから、それが好きで働いている人
・給料は低いが毎日が楽しく職場に行くことが苦痛ではないから働いている人
・取りたい資格があってその実務経験を積みながら働ける環境だから働いている人
・アフター5に人生の喜びがあり、仕事はそれをするための時間だと割り切っている人
・この人のもとで働きたいとほれ込んだ人のために貢献したい思いで働いている人
・お金を払ってでもやりたい事をやらせてもらっているので、給料をもらえるだけありがたいと思って働いている人

働く人にとって、生きていくためにお給料は非常に大事なものです。ただ、その価値観は人によってさまざまです。みんながみんな100%大満足で働いている職場はないかもしれません。しかし逆に言うと、みんながみんな「安定・将来性・やりがい・その他すべて100点満点な会社」を求めているわけでもありません。



恋愛に例えると、「結婚したい芸能人」と「実際結婚する相手」は、全然違いますよね?(笑)
もしくは真逆の人と結婚している夫婦をよく見かけませんか?

コロナ禍が起ころうが起こるまいが、多くの中小企業は、独自の価値観に基づいて働くスタッフに与えられる価値を明示する必要に迫られることになっていました。これはみんながみんな高待遇で安定した会社だとうたわなくてもいい、とも言えます。

・そもそも3年程度のキャリアを積むためステップに使ってもらう会社
・独立したスキルを身につけるための会社
・フルタイムで働けないけど、能力を持った人に活躍してもらう環境がある会社
・やりがいは薄いかもしれないが安定して安心した環境を約束できる会社

などなど、無理のない脚色をしすぎないスタンスで雇用契約を結んでもいいのです。



誰もが長期的な約束をしにくい時代に、甘えるわけではありませんが、正直に強みだけではなく弱みも見せた上で、本当に相性がいい人材と巡り合える絶好の機会だと捉えていてはいかがでしょう?



「働きながら次の仕事の準備」してみませんか?



それでは逆に働く側の視点でも、コロナ禍の環境の変化を捉えてみましょう。
人生100年時代と言われる昨今。そもそも20代まで勉強して残りの80年間はその蓄積だけで生きていける時代ではなくなりました。少なくともあと2回か3回は自分のキャリアを構築したり、チェンジしたりしなければならない時代です。

つまり、働きながら学び続けないと生きていけない時代なことも、そもそもコロナ禍が起ころうが起こるまいが始まっていたことです。

ただ、ここで私が言う学びとは何も資格をとるとか、学校に通うとか、そういうことばかりではありません。これまで関わりがなかった人たちと「仕事」「キャリア」「経験」について共有してみることも立派な学びにつながると思っています。

これからの時代、ぜひ、「自分には何の才能もない」とか「私には何の取りえもない」なんて卑下するのは止めてください。あなたの経験はきっと身近の誰かにとって、かけがえのない専門性であることを知ってください。

・エステサロンで身につけた手技をデイサービス等の介護福祉施設で生かす
・リゾートホテルで身につけた接遇スキルを地元の金物店に教える
・地域に根を張った営業力を、農家さんの作物販売代行として生かす
・経理事務の経験を生かして、個人店の帳簿の管理を手伝ってあげる
・料理が上手なことを生かして、忙しい家庭のための作り置き専門の家政婦をやる



これまでの仕事は「就職するか独立するか?どちらかしかない!」という概念にとらわれすぎていました。そうではなく、「働きながら次の仕事の準備」をすることや、もし就職している会社から収入がなくなったとしても、「これをやっていれば、とりあえず生きてはいける」という、ワークとライフの中間のような、曖昧な分野での時間をつくってみることをおススメします。

こういう時間や体験を増やしていくと、「自分が気づいていなかった自分の才能」を知ることができます。コロナ禍によって、生活や環境が激変しても、自分ができることをしっかり把握していれば、ある程度落ち着いて対策を練ることができます。

「あの会社がないと、自分の生活が成り立たない。」
「このお店がないと、将来どうしたらいいかわからない。」

この不安から脱するには、そもそも自分に備わっている力やこれまでやってきたことをいつでも発揮できる場所を作っておく。この準備が、あなたの心の安定を生む処方箋になると思っています。



そして、新型コロナの第2波、第3波が来なかったとしても、この動きはみなさんの人生を豊かにするきっかけになるのではないか、そう信じてします。



執筆者プロフィル 小宮 仁至(こみや・ひとし)
ファンシップ株式会社 代表取締役

http://www.funship.jp/

「レンアイ型採用メソッド」「レンアイ型就転職コンサルタント」として、商工会議所など公的機関でのセミナーを随時開催し、2016年以降1000社以上が受講。就・転職者向けセミナーや個別相談300件以上、中小零細企業向けの採用コンサルティングでは個別相談企業300件以上、契約企業で6カ月以内の採用成功率は87%。沖縄県商工会議所連合会エキスパートバンク登録専門家、沖縄県産業振興公社登録専門家。1979年生まれ 熊本県出身 2002年より沖縄移住。うちな〜婿歴11年の2児の父。



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