地域の交通安全を見守る、ちょっとおとぼけ顔の”おまわりさん人形”が気になる!【島ネタCHOSA班】


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読谷小学校のそばに、ちょっととぼけた顔がユニークなお巡りさんの像があります。友人は、これに似た像を「八重瀬町社会福祉協議会で2体、名城ビーチ近くでも1体見た」と話していたので、とても気になっています。

(北谷町 こまわりちゃん)

読谷小学校のそばにあるお巡りさんの像なら「おまわりさん人形」のことですね? 確か昨年、東風平北交差点付近におまわりさん人形を設置したというニュースがあり、それが読谷の像と姿形がそっくりだったので調査員も気になっていました。まずは八重瀬町社会福祉協議会へ行ってみたいと思います!

八重瀬と糸満で確認

取れかけたマスクを着け直してくれた新垣さん(糸満市)

到着しました~。あれ? おまわりさん人形はどこにも見当たりませんよ。職員に尋ねると、1体は東風平北交差点近くに移動したとのこと。あ~、ニュースで見たのはもともとここに設置されていたものだったんですね。

真喜志康徳さん

そして、もう1体は宜次公民館に引き取られたというので行ってみると、小ぶりのおまわりさん人形がたたずんでいました。宜次自治会長の嘉数義昭さんは「区長会でおまわりさん人形をもらわないかという話があったので、区民が交通事故に注意するよう意識してくれたらと思い、ここに設置することにしました。これは一番古いおまわりさん人形です」と話してくれました。地元の少年野球チーム「宜次アトムズ」にちなみ、「宜次安止夢(ぎしあとむ)君」と名付けたそうです。

続いて糸満市の名城ビーチ方面へ向かうと…。県道3号線の同ビーチ入り口で発見! おや? おまわりさん人形の右耳あたりからマスクがぶら下がってヒラヒラ~と風に揺れています。よく見るとガムテープでくっつけてあり、片方だけ剥がれた模様。なんとかマスクを着け直してあげたいと調査員が試行錯誤していると、通りすがりの同市在住・新垣さんという方が自分の車からひもを探してきて、マスクを着け直してくれました!

交通安全を願って

ここで調査員は、おまわりさん人形にまつわる記事を探そうと過去の新聞などをチェック。すると、なんとまぁ1988年3月11日付週刊レキオに表紙から3面にかけて特集が組まれているではありませんか! 32年前に調査員の先輩たちが汗水流して奔走していた…。なんだか胸が熱くなりました!

その記事によると、最初のおまわりさん人形は1969年に誕生。制作者は旧東風平村出身の故・中村信彦さんで、きっかけはラジオから聞こえてくる子どもの交通事故のニュースでした。中村さんは交通安全を願い、無償で約6年の間になんと120体以上を制作。ほとんどが県内各地の団体や警察署からの依頼でした。

宜次公民館に立つ「宜次安止夢君」と自治会長の嘉数義昭さん(八重瀬町)
東風平北交差点近くで監視活動中。名前は「東風(こち)君」(八重瀬町)

88年6月10日付レキオの表紙には、壊されて放置されたおまわりさん人形を篤志家・真喜志康徳さんが修復作業をする様子も掲載されていました。現在81歳の真喜志さんを訪ねると、「あちこちで修復作業をしたよ」と懐かしそうに振り返り、「交通安全のため、おまわりさん人形を残してほしい」と話していました。

今回調査員は八重瀬町(6体)、糸満市(2体)、南風原町(2体)、読谷村(1体)、金武町(1体)で計12体のおまわりさん人形を確認。真喜志さんによると13年前には20体残っていたそうです。調査員は引き続き確認作業をしていきたいと思います!

柵越しに子どもたちを見守る(南風原町)
(左)金武町の嘉芸小学校前。マスクは校長先生が着けた(右)読谷小学校のそば

(2020年6月18日 週刊レキオ掲載)