地域の魅力がぎゅっと詰まった「ご当地ウエア」で暑い夏を快適に!


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地方部記者が担当地域のイチオシを紹介する「J(地元)☆1グランプリ」。今回のテーマは「地域独自のかりゆしウエア・Tシャツ」。夏のビジネスウエアとして定着しているかりゆしウエア、そして日常着のTシャツには、地元の商工会や地域の人などが販売する作品があります。地域の特色を盛り込んだ個性豊かな1枚に注目しました。あなたの周りの人が着ているウエア、目を凝らして見てみませんか。なぜその図柄? 色にも意味がある? 意外な発見があるかもしれませんよ。

本部ウエア ★ 本部町商工会

「黄色は派手だから、着るのに勇気がいる」と笑う松田泰昭商工会長(左)と田場誠事務局長=6日、本部町商工会

プレビュー カツオ柄で特産PR

カラフルさで目を引くのは本部町商工会が製作したかりゆしウエア、その名も「本部ウエア」だ。商工会をはじめとする各種団体、役場、海洋博公園や金融機関など転勤族も着用する、町民公認のウエアだ。

太陽と海と緑、サクラをイメージした黄(太陽)、青(海)、緑(緑)、ピンク(桜)の4色。図柄は水揚げされるカツオ、八重岳のサクラ、特産品のアセローラ、タンカン、パイン。背中に文武両道の町民性を表す「武本部(ぶーむとぅぶ)」の言葉がさりげなく縫い込まれている。

本部町商工会青年部が「着る広告で、特産品PRを」と製作したのが2002年。15年にリニューアルした。「涼しくて着やすいですよ」と商工会の田場誠事務局長。

ひときわ目立つのが跳ね踊るカツオの図柄だ。「本部と言えばカツオ」と言われたほどかつて町の代名詞だったカツオ漁。松田泰昭商工会長は「1975年の海洋博を契機に観光の町に生まれ変わる前は、家々からかつお節を作る香りがした」と懐かしむ。

漁獲量が減った現在も、かつお節は中南部から訪れる人々から「本場の品」と人気の特産品だ。ウエアには、カツオ文化継承の思いも込められている。

本部ウエアの問い合わせは本部町商工会(電話)0980(47)2749。

(岩切美穂)

嘉手納のポロゆし ★ 嘉手納町商工会女性部

嘉手納町役場職員も愛用する色とりどりのポロゆし=6日、嘉手納町役場

プレビュー 町の魅力ぎゅっと

着ているだけで、何だかウキウキ気分になる-。そんなかりゆしウエアならぬポロシャツかりゆしの“ポロゆし”を手掛けるのは、嘉手納町商工会女性部(新垣房枝部長)のメンバーら。2014年に創部30周年を記念して作ったウエアが好評だったことから「町内のみんなにも着てもらいたい」という思いが高まった。発起人で元女性部長の當山みゆきさんは、着やすさを追求したらポロゆしにたどり着いたと言い「デザインはとにかく、町の特産品のイモにこだわった」と胸を張る。

町花のハイビスカスと、甘藷(かんしょ)をモチーフにした町のイメージキャラクター「いもっち」が施され、嘉手納の魅力がぎゅっと詰まったデザインだ。発売当初は3色だったが、今では5色展開に。デザインもボタンダウンか前開きか選べ、年々進化している。新垣部長によると制服にしている会社もあると言い「着ることで嘉手納への愛着がどんどん増していくよ」と笑顔を見せる。

生まれも育ちも嘉手納町で、通勤時に愛用する産業環境課の幸地順係長も「アイロンも必要ないし、着心地が抜群にいい。全種類集めたい」と太鼓判を押す。

ボタンダウンは5千円、前開きは5500円。サイズはXS~4L。問い合わせは嘉手納町商工会(電話)098(956)2810。

(当銘千絵)

綱武士オリジナルTシャツ ★ 与那原町商工会青年部

2020年モデルの「綱武士オリジナルTシャツ」。カラーは黒とアイボリーの2色=6日、与那原町商工会

プレビュー 大綱曳への愛たっぷり

与那原町が誇る与那原大綱曳。長さ90メートル、重さ5トンの大綱を引くため、毎年会場には2千人超の“綱武士”が集結し、熱戦を繰り広げる。その綱引き好きな綱武士の与那原大綱曳に対する愛と気合いが込められているのが「綱武士オリジナルTシャツ」だ。

毎年同町商工会青年部がデザインを提案して製作している。与那原大綱曳は440年余の歴史を持つが、ステージイベントなども開催するようになった「与那原大綱曳まつり」が始まったのは三十数年前から。Tシャツは祭り開催に合わせて作られるようになった。

「会場に集まる綱武士、町民全員が同じTシャツを着て、一緒に綱を引き合うのが夢」と笑顔で話したのは青年部長の伊是名雅道さん(39)。爽やかににっこりと笑って見せたが、その本気度はすさまじい。なんと赤ちゃん用のロンパースまで用意されているのだ。聞けば女性陣から要望があり、何年も前から販売しているという。サイズはロンパース以外にも子供用(YS~YL)、大人用(S~XL)など幅広く、価格は千円(税込み)。アイボリー色は1300円。町内複数の店舗で販売されている。

今年のTシャツは、東西の旗頭の上部にあるチジンドゥールーがモチーフになっている。問い合わせは与那原町商工会Tシャツ担当(電話)080-7195-2328。

(嘉数陽)

針突Tシャツ ★ 針突デザインズ

宮古島文様と沖縄本島文様をあしらった針突Tシャツを持つ砂川健次さん=6日、宮古島市

プレビュー 幸福願う文様あしらう

かつて沖縄で広く行われていた風習、「針突」。沖縄本島ではハジチ、宮古島ではピーツキ(ピヅツキ)と呼ばれ、成人儀礼として女性の手の甲に入れ墨が施された。宮古島市の「針突デザインズ」代表の砂川健次さん(66)はことし6月から魔よけや多産、長寿などを願って入れられた文様をTシャツにデザインし、販売する。「土産物として残すことで、針突の文化的意義を広く知ってもらいたかった」と話した。

針突は1899年に明治政府による入れ墨禁止令が出されるまで琉球列島で受け継がれてきた。砂川さんは約25年前に当時、大阪樟蔭女子大学助教授の市川重治さんの針突調査に同行し、針突に興味を持った。「私は直接、見ることができた最後の世代。以来、消えていく文化をなんとか形にして残せないかと考え続けてきた」と語る。

25年かけて完成させたTシャツは面で構成された本島文様と、線で描かれた宮古島文様の2種類。砂川さんは「文様一つ一つに意味と願いが込められている。入れ墨と忌み嫌うのではなく、少女たちの幸福を願う祈りだと知ってほしい」と話した。

Tシャツは税込み3500円(S~XL)でカラーバリエーションは5種。

問い合わせは砂川さんが経営するペンションプルシャンブルー(電話)0980(76)2468。

(佐野真慈)


共通する「地元愛」

今回登場した、かりゆしウエアやポロゆし、オリジナルTシャツの全てに共通するのは「地元愛」。「針突」に関しては、地元というよりも「沖縄愛」さえ感じます。

デザインに地元ならではのモチーフが登場するだけでなく男性用、女性用など細かいサイズ展開にも、作り手の「愛」と、購入する側への気配りが見られます。

市販のかりゆしウエアは、他の人とデザインがかぶる心配がありますが、みんなと同じデザインの「ご当地ウエア」であれば、逆に安心かもしれません。あなたが住む地域のオリジナルウエア、探してみませんか?

(亜)

(2020年7月12日 琉球新報掲載)