「ウェルテル効果」に引っ張られない モバプリの知っ得![115]


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7月18日、人気俳優の三浦春馬さんが亡くなりました。直後からメディアではこの件を連日報道し、見ていて気分が落ち込んだ人も多いかもしれません。
こうした報道を見て、自分自身も生きることが辛くなることを「ウェルテル効果」と呼びます。あなただけ特別にそうした気持ちが出てくるのではなく、昔から存在する現象となっています。

気分が落ち込んでいる時は、そうしたニュースやSNSから距離を取るのも一つの解決策です。また、辛すぎて一人ではどうしようもない時には、LINEで相談できる窓口もありますので、まずは使ってみましょう。

問われるメディアの報道姿勢

自死の報道によって、自死が連鎖する現象を「ウェルテル効果」と呼びます。特に若者が影響を受けやすいと言われています。
そうした効果があることから、WHO(世界保健機関)はメディア向けに資料を作っています。
純粋に勉強になるので、メディア関係者以外も読んで損はしないでしょう。

厚生労働省-メディア関係者に向けた自殺対策推進のための手引き
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/who_tebiki.html

WHOなどが呼びかけているにも関わらず、センセーショナルに報じるメディアは後を絶ちません。それは「数字」が取れるからでしょうか。私たちはそうしたメディアを意識して見ないことで、ネガティブな影響を避けて、数字にも貢献しないという二つの役割を得られます。

また、センセーショナルに報じる記事をSNSでシェアしたり、友人に送りつけるようなことをすると、今度は自分が他の人にダメージを与えることになるため、取り扱いには注意しましょう。

SNSで抱える孤独感

こうした自死報道に限らず、SNSを見ていると、孤独感・劣等感を抱くことがあります。自分が呼ばれていない楽しそうなパーティーの写真、友人に集まる大量のいいね!やコメントを見て、嫉妬やネガティブな感情を抱いた経験はないでしょうか?誰でも一度はあると思います。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

本来は自分と同じ、良いことばかりの人生ではない友人たちも、良いことだけをインスタに載せる。そうすると良いことだけしか可視化されず、みんな隣の芝が青く見えてしまいますね。
自分が幸せに満ちているタイミングであれば、友人の幸せも素直に祝えるのかもしれませんが、落ちている時に見ると、そうした幸せな投稿が自分に突き刺さってきて余計に落ち込みますね。幸せそうな友人にトゲトゲしいコメントをしてしまい、また自分が嫌になる…とネガティブなスパイラルに陥ることもあると思います。

そうした時は思い切ってSNSのアプリを削除し、しばらく見ないということも有効的です。今の若い人たちは、これからの長い人生、SNSやネット、スマホと適切な距離感で付き合うことも大事です。24時間オンラインで誰かとつながり、チャットをしている状態がしんどい時には、勇気を出して距離をとってみましょう。

マインドフルネスアプリのオススメ

スマホでの落ち込みを、スマホで解決する方法もあります。それは「マインドフルネス」アプリの活用です。
マインドフルネスとは、瞑想のように「今この瞬間」に集中しリラックスするアクション、あるいは、リラックスして満ち足りた状態を指す言葉です。

スマートフォンのアプリストアで「マインドフルネス」と検索すると、たくさんのアプリが出てきます。好みもあると思うので、いつくか試しながら自分に合うのを選んでみてください。

私が好きなマインドフルネスアプリは、「リラックスメロディー」という自然音や環境音を自分好みで作ることができるアプリです。仕事の合間にアプリから出てきた音楽をイヤホンで聴き、目を瞑って深呼吸するのです。5分くらいでだいぶリフレッシュできます。

こうした方法を試してみても生きるのが辛くなった時には、厚生労働省がまとめているSNS相談窓口団体につながってみてはいかがでしょうか。電話だけでなく、LINEでの相談もできるようになっています。

厚生労働省-SNS相談
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_sns.html

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」4月19日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/