『夫のトリセツ』作者語る夫の操縦術「たまには大げさに騒いで」


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「今回のコロナ禍や政府の推奨する働き方改革により、現在リモートワークで働く人が増加しています。夫婦が一緒に過ごす時間がこれまでより長くなり、ストレスを抱くようになっている妻が増えているのです」

そう言うのは、著書『夫のトリセツ』(講談社+α新書)などで人気の脳科学・人工知能研究者の黒川伊保子さん。「夫が家にいるようになって、イライラする!」という妻の不平不満、実は自然の摂理だと黒川さんは言う。

そもそも人類の脳は、男は外へ狩りに出るため、女は子どもを育てるために進化したので、同じ場所で一緒に過ごすようには作られていない。長時間一緒にいること自体が不自然なのだ。

「男性脳と女性脳では、とっさにとる行動が真逆にデザインされています。そのおかげで、お互い不得意なことを補い合えるし、助け合えるのですが、その一方で、ひとつの空間に閉じ込められていると、お互いにストレスを感じてしまうもの。だから、コミュニケーションをとる以前に、すでに夫の態度に腹を立てている妻が多いのです」(黒川さん・以下同)

それでは、むやみに夫にムカついたり、無駄な夫婦ゲンカをしたりしないようにするには、どうしたらいいのかーー。黒川さんには男女の脳の違いを踏まえて、その対策を教えてもらった。

【1】「家事のリーダーは私」だと腹をくくる

妻が忙しくしていても、「昼食はどうするの?」「夕食は?」とうるさい夫にイライラ……。

「そもそもリーダーが2人いる組織は成り立ちません。家庭において、夫は妻を家事のリーダーとしているから、単純に『どうすればいい?』と聞いているだけ。会社で上司に指示を仰ぐのと同じことなのです。冷蔵庫のストックの管理と食費をやりくりするのは、ほとんどが妻なので、家事のリーダーは自分なのだと腹をくくりましょう」

【2】夫には決まった役割を与える

夫は基本的に脱ぎっぱなし、置きっぱなし、やりっぱなしで不満が募ることは多々あるがーー。

「本来外で狩りをしてきた男性は“目的志向型”といって、目標物しか見えていません。だから、目の前に脱いだTシャツがあっても、お風呂に入ると決めたら、Tシャツをまたぎ越してお風呂に行ってしまう。一方、女性は半径3メートル以内をくまなく見回せるので、一つの行動に対して、ついでにいくつも用事を済ませられるのですが」

そうした夫には、お風呂洗い、水回りのカビを取る、お米をとぐなど、単純作業の決まった役割を与えるのがオススメだ。

「夫がその役割を納得して請け負えば、その役割だけは誠実に全うしようとするものです。『いろいろなことに気がついて家事を手伝ってよ』と腹を立てるより、決まった役割を必ず遂行してもらうほうが妻のストレスも軽くなります」

【3】夫に頼むときはパニックになるか、泣くかすると効果アリ

夫に頼むときにもコツがある。

「『あと5分で家を出るのに、あれもこれもしなきゃいけないし、洗濯物が干せない!』などと大げさに騒ぐと、夫が『俺が干しておくよ』と言ってくれることも。それを3回くらい繰り返すと、洗濯物を干すのは、夫の役割に(笑)。ここで大切なのは、『あなたのために私が全部やってあげたいのに、できない』というニュアンスを出すこと。夫がやってくれたときには必ず『ありがとう』と声をかけるように心がけましょう」

【4】いかに自分が忙しいかキャンペーンをする

自分のすることなすことすべてを夫に逐一伝えていくのも、夫に家事を手伝わせるのに効果的だ。

「これから洗濯するね、料理作るねなどと、とにかく夫に向けて次にやることをべらべらと言いまくる。すると、妻がこんなに多くの家事をやっているのだと夫が認知するので、『ゴミ捨ててきて』と頼むと、素直に捨ててきてくれるように。妻が黙ってすべての家事をやってしまうと、『俺、今テレビ見てるもん』などと言い訳をして、何も手伝ってくれません。だから、自分からアピールするのは大切なのです」

このポイントをゲームだと思って楽しんで実践すれば、ダメ夫ほどいい展開があるそうだ。夫婦が一緒に過ごす時間も、ストレス軽減できるはず!

「女性自身」2020年9月15日 掲載

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