Go To Eatで懸念される12月危機…政府のずさんさ訴える声も


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10月からGo Toトラベル追加が決定した東京都(写真:時事通信)

9月中下旬以降からの開始が発表された「Go To Eatキャンペーン」。しかし、9月14日現在、東京や福岡、神奈川など大都市では、キャンペーンの食事券発行事業者もまだ決まっていない。

「飲食店にとって、書入れ時は3月、4月と12月です。すでに緊急事態宣言によって、春の収入を逃しているんです。だから、次の12月を逃すことは、飲食店にとって命取りです」(グルメジャーナリスト・東龍さん)

しかし、今回のキャンペーンによって、感染者が拡大するリスクもあると指摘するのは、のぞみクリニックの筋野恵介院長だ。

「クラスターが起きるのは飲食、特に夜の会食が多いといわれています。濃厚接触者が飲食の場で多く出ているなかで『Go To Eat』を開始して今後どうなるか……。飲食店としては、早くやってほしいのはやまやまでしょうが、キャンペーンが始まれば飲食を介した濃厚接触が増えるので、感染を広げる可能性があります」

さらに、これから冬へ向かっていくにつれ、警戒すべき時期になるという。

「いま冬を迎えている南半球のブラジルなどでは、感染者が増え続けています。日本も冬になれば、ウイルスの感染力が強くなる可能性があるので、気の緩みが怖い。よくインフルエンザと比べられますが、新型コロナは肺炎、血栓が重症化を起こします。決して軽くみてはいけません」

感染力が増す冬に、飲食店に人がたくさん集まればクラスター発生の危険性も増大することに——。

帝京大学大学院公衆衛生学研究科の高橋謙造教授は、こう警鐘を鳴らす。

「除外されていた東京都も10月1日から『Go Toトラベル』に追加される見込みですが、人が動けば必ずリスクは高まります。事前の準備はいくらでもできたはずなのに、していない。明らかに政府のずさんな政策といえます。『Go To Eat』開始後に抜き打ちで店の感染防止対策をチェックをすると言っていますが、アピールのため数店舗を訪問するだけで、ほとんどの店舗には手が回らないでしょう。キャンペーンを上手に利用するためには、ご自身の注意は不可欠。マスク、消毒、帰宅後の洗濯・入浴など基本対策を続けることです」

感染を広げる“食えない”キャンペーンにならないよう、監視の目が必要だ——。

「女性自身」2020年9月29日・10月6日合併号 掲載

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