ジョブ型雇用が増えればどうなる!?ポストコロナに訪れる三つのチャンス【持続可能な働き方を求めて@沖縄】

  • 沖縄県全体
このエントリーをはてなブックマークに追加

「働き方改革@沖縄」は「持続可能な働き方を求めて@沖縄」にタイトルを一新しました!
AIの発達や人口減少などの従来の変化の波に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大など、地球規模の出来事が一人一人の「働き方」にも大きな影響を与えています。
激変する環境の中で、企業も労働者も「持続可能(サステナブル)」な働き方を実現するためには―。沖縄の経営者、労働者、学生たちと日々向き合っている専門家3人がリレー形式で「働く」をめぐる課題と解決へのヒントをお届けします。執筆者は変わりません。



気付けば激動の2020年も残り3カ月余り。春や夏という季節は確かにあったはずなのに、「第1波の時はこうだった。第2波の時はこんなだったな…」という思い出し方しかできない今日この頃、みなさまはいかがお過ごしでしょうか?

私の仕事のフィールドである、採用・雇用・働き方に関してだけでも「人手不足・人材不足」という課題のトレンドが一転した激動の季節でした。ただし、全ての企業がすぐにリストラや解雇に動いているかと言えばそうではなく、雇用調整助成金を活用して、何とか雇用の維持に努めている企業もあれば、今こそ、人材採用に力を入れよう!という企業もあり、さまざまです。
まさにVUCA※1な時代は人それぞれ、企業それぞれ。横並びで隣の誰かのまねをするだけでは生き抜けない、自立した選択・決断が必要になることでしょう。
※1 Volatility(不安定性)Uncertainty(不確実性)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)

さて、今回はこんな時代だからこそ、既存の働き方・雇い方にとらわれず、多種多様な働き方ひいては生き方を始めるチャンスに変えていきましょう!というお話です。



◇執筆者プロフィル 

小宮 仁至(こみや ひとし) ファンシップ株式会社 代表取締役

広告会社やWEBマーケティング会社を経て、2015年にファンシップ(株)を創業。2016年より「レンアイ型採用メソッド」を提唱し、企業へのセミナーや求職者への採用支援を実施している。
1979年生まれ 熊本県出身。うちな〜婿歴11年の2児の父。



今の働き方はメンバーシップ雇用orジョブ型雇用どっち?



メンバーシップ雇用とは、一言で言うと旧来の日本型の雇用形態のことです。新卒一括採用をして、ジョブローテーションでいろいろな部署を経験しながら、ゼネラリストを育成し、定年退職するまで1社に勤めあげる。
コロナ禍以前から、この雇用形態の制度疲労は、叫ばれていました。22歳で潜在能力だけで選抜された人材を育成しながら、約40年終身雇用し続けられる企業は、一部の限られた大企業のみ。先が読めない時代において、現在の安定を保証しながら、将来の成長も約束し、かつ個人のキャリアアップもサポートして、やりがいや喜びも与え、社員全員を公正に評価する。企業からすると非常にコストがかかり、リスクもある雇用形態なのです。その代わり、「会社の言うことも聞いてくれ。遠くの支店に転勤になっても、希望とは違う仕事に就いても“家族”なんだから、我慢してね」。これがメンバーシップ雇用です。

それに対して最近、話題なのがジョブ型雇用です。メンバーシップ雇用が「就社」に近い雇用形態とすると、ジョブ型雇用が本当の意味で「就職」に近い雇用形態です。仕事に対して人を割り当てて、雇用するという考え方。欧米で主流の雇用形態なので、外資系コンサルタント会社などが向いていて日本人には向いていない!と思いがちですが、日本でもアルバイトの多くはこのジョブ型雇用に近く、そんなになじみのない働き方ではありません。

例えば、コンビニのアルバイトって「レジと品出しをしてください」とわりとジョブがハッキリしていますよね。その上で「在庫管理や発注業務をよろしく!なんなら利益率も責任を持って!」と店長に言われたら「そこまでさせるなら時給上げてください」と主張することは、そんなに違和感がないですよね?もしくは「やってられねー」と辞めたとしてもおかしくない。このように、あらかじめ決められた仕事に対して、それを全うしてもらうことで賃金が発生して、それ以外・それ以上の仕事が発生した場合は、拒否するか、賃金を上げてもらうことを要求できるという仕組み。これがジョブ型雇用です。



さて、今、みなさんの働きはメンバーシップ雇用、ジョブ型雇用どちらでしょうか?いずれにしても、コロナ禍においてメンバーシップ雇用の企業の多くがジョブ型雇用を取り入れていこう!という流れはやはり加速するものと思われます。半年後が予測できない時代において、終身雇用を保証できる企業が多くないことは、想像に難くありません。

沖縄においては、ただでさえ正規雇用率が全国最下位で、これまでも非正規雇用の比率が全国より10%余り高かった現状がありました。それがさらに加速する…。
「働く私たちの生活はますます不安定になって、どうなってしまうんだ!」
そう考えると、暗い気持ちになってしまいそうですが、私はむしろ企業と働く私たち双方ともにチャンスだと捉えています。


チャンス①【副業・複業が当たり前になる】
アルバイトを掛け持ちすることを禁止する会社はないですよね。アルバイトの人がWワークをする権利は以前から当然のように認められていました。だって、将来に渡る雇用を保証していませんからね。同じ理屈で、正規雇用や終身雇用が約束できない以上、企業は副業を禁止することが難しくなります。コロナ禍以前は、働き方改革という努力目標的な掛け声の中で、副業解禁の動きはありましたが、いよいよこれからは、副業を認めることは避けて通れなくなるでしょう。

例えるならば、「専業主婦(夫)」をさせられるほどの経済力が働く一人にあった時代から、「夫婦共働き」がスタンダードになったような変化と同じです。どちらかが幸せでどちらかが不幸せだ、ということではなく、その環境下でどう生きていくか?人それぞれだということです。働く選択肢が増えるということはチャンスが拡大することではないでしょうか。

チャンス②【雇用が流動化する】
副業・複業をする人の層が増えてくると、当然雇用の流動化も加速するでしょう。今までA社の中では評価されにくかった仕事がB社で副業してみたら、思いのほか評価を受けて、収入もやりがいもB社の方がよくなり、転職をする。
副業を解禁して、企業側が怖いのはおそらくこの点。つまり優秀な人材の流出です。私はこの点は心配しておらず、やっぱりチャンスだと捉えています。まず副業したくらいでA社を辞めてB社に行く人材は、遅かれ早かれA社を辞めていた人材でしょう。

レンアイに例えると、Bくんを好きになってしまった彼女を、Aくんが必死に引き留めたとしても、いずれお別れは来るし、何ならB君を好きな状態でのAくんとお付き合いしているその期間は…お互いのためになりませんね。ただ、レンアイと違い、雇用契約においては、お別れしたらそれで終わり、ではありません。一度はA社に勤めたことがある経験は、B社に転職されたとしても企業も働く人も貴重な役割が生まれます。

例えばA社に後任の人材が育つまでは、業務のサポート役として週に1回程度の業務量で契約をしたままにしたり、新たに移ったB社とA社の間でwin-winの取引をコーディネートしたりすることもあるでしょう。
「そんな、辞めていった人材がそんな元いた企業のことなんか考えるか!?」
と思った方は要注意です。そう考えるということはこれまで辞めていった人材が御社のことを良く思っていないということですからね。今の社内環境に問題が山積しているかもしれません。とにかく雇用の流動化も、止められない流れですので、人材流出する側ではなく流入してくる側であれば、雇用の流動化は大チャンスなのです。



チャンス③【働き方のグラデーションが増える】
さて、こうなると「就社」している意識の人が減り、1億総フリーランス時代と言われる時代が近づいています。ただ私は目に見えて、みんなが個人事業主になるとか、起業をするとか、そういうことではないと予測しています。

・C社に勤めるベテラン社員に見えるけど、現在D社でインターンシップして新たなスキルを磨いている人
・フリーランスのように曜日や時間に関係なく仕事しているが、E社専属の仕事を請け負っている人
・前職の会社の社外アドバイザーをとして後輩を育成しつつ、起業して新サービスを開発している人

このように自分のキャリアを自らの責任においてデザインする人が増えていく社会は、パッと見ただけでは、どういう仕事をしているのか、分かりにくい複雑な働き方だとも言えるでしょう。キャリア関連の世界で、「あなたの仕事は何ですか?」と問われて「〇〇商事です」と社名を答える人がいるという、笑い話があります。これまでは社名を言えば、自分がどういう仕事をしているかの説明が事足りていた、ある種、異常なことではないでしょうか?働き方が多様化すれば、そんな自己紹介は通用しなくなります。



もちろんこういうメンバーシップ的働き方が全てなくなるというわけではなく、長期的視野で社員を育成しながら成長する企業もあるでしょう。ただ、それでも時給換算での給与を決めていく働き方は減っていくことは確実です。例えば極端に言うと、これまでは同じ仕事を20分で終わらせても、1時間で終わらせても、収入は変わらなかったのが時給換算の働き方です。なんなら、仕事が遅い人の方が残業代がついて、収入が高かったり…ね。これでは、労働生産性なんて上がるはずもありません。社員にサボられても生き残れる企業などそもそもありません。

でもこれからの時代は違います。働き方が人それぞれに多様化するということはどういうことか?
それは働く個人個人が会社や国に依存せず、むしろ上手に活用する時代です。
「自分がやりたいこと」「他人に貢献できること」「社会が求めること」の中で、個人個人が、自らの責任で、仕事と働き方を選択し、常に改善と変化を繰り返していくということ。
コロナ禍において、いずれは開くはずだったパンドラの箱がやや前倒して開いた今、VUCAな時代を自分の追い風に変えて、働き方も雇用の仕方も改善と変化を繰り返しましょう!



執筆者プロフィル 小宮 仁至(こみや・ひとし)
ファンシップ株式会社 代表取締役

http://www.funship.jp/

「レンアイ型採用メソッド」「レンアイ型就転職コンサルタント」として、商工会議所など公的機関でのセミナーを随時開催し、2016年以降1000社以上が受講。就・転職者向けセミナーや個別相談300件以上、中小零細企業向けの採用コンサルティングでは個別相談企業300件以上、契約企業で6カ月以内の採用成功率は87%。沖縄県商工会議所連合会エキスパートバンク登録専門家、沖縄県産業振興公社登録専門家。1979年生まれ 熊本県出身 2002年より沖縄移住。うちな〜婿歴11年の2児の父。



WSJ特設サイト

前の記事ジャカルタから来たバンドマンとの...
次の記事おやつにもおつまみにも!パリパリ...