高校生のアイデアを商品化!完成を目指して日々奮闘中

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オリジナルの商品を開発するのは企業だけではない。県内の高校生も蜂蜜やスイーツ、大人が楽しむ焼酎まで、授業や課外活動の一環として研究開発に取り組む。パンが生焼けになったり、スイーツでは工程の多さや冬限定という弱点をプロに指摘されたり、時に挫折を乗り越えながらも物作りの楽しさを学んでいる。

それぞれ作る物は違っても、思いは一つ。「自分たちが作った商品をいつか多くの人に味わってほしい」。高校生らは今日も工夫と研究を重ねる。


アセロラチョコプリン ★ 北部農林高


アセロラを使ったスイーツ開発に挑む(前列左から反時計回りに)宮城千尋さん、堰口姫向さん、江田小夏さん、稲嶺菜々海さん、長浜境さん、翁長武央さん、安次嶺景達さん、宮城健大さん=6日、名護市の北部農林高校

 プレビュー 甘みと酸味 4層の風味

北部農林高校食品科学科の2年生8人が挑むのは、本部町産のアセロラを使った新たなスイーツの開発だ。「地域に貢献する商品を作りたい」と有志で昨年11月、プロジェクトチームを結成して1年。試行錯誤の末に「アセロラチョコプリン」にたどり着いた。

放課後に集まっては案を出し、ここまでボンボンショコラやシューアイス、クッキーなど10種類を試作した。ボンボンショコラは苦労してつやを出し農家には好評だったが、助言を求めた菓子店に工程の多さや冬限定の点を指摘され商品化を断念。「がっかりした」一同だが、製造販売の厳しさを実感した経験だった。


アセロラチョコプリン

悩んだ末に「プリンなら身近で、これまで試したチョコやクッキーも生かせる」とひらめいたのがアセロラチョコプリンだった。

チョコプリンとホワイトチョコプリンにアセロラの実や皮で作ったソースがかかり茶、白、オレンジの3色が鮮やかな一品だ。プリンの中にはアセロラの種の粉を練り込んだクッキーを丸ごと入れた。底まですくって食べるとプリン2種の甘みとソースの酸味、クッキーのしっとり感と、4層の風味が口の中でマッチする。

開発中で、冷蔵保存するとソースがプリンに染み込んでしまう点などは改善が必要だ。企業向けプレゼンテーションを前に、リーダーの堰口姫向(せきぐちひなた)さん(17)は「助言が欲しい。商品化して多くの人に食べてもらえるとうれしい」と力を込めた。

(岩切美穂)

トマトパン ★ 中部農林高


「いずれはお店で販売できるようなパンを」と意気込む中部農林高校1年の(左から)杉浦実佑さん、仲村渠鈴乃さん、ブラウン萌音さん=1日、うるま市の同校

プレビュー 地域おこしへ奮闘

こねてこねて出来上がったパンは「まるでまんじゅうでしたね」。笑いながら楽しそうに話す中部農林高校プロジェクト部の3人は、トマトパン作りに夢中だ。地域の企業から「規格外トマトを使った商品開発で地域おこしができないか」との声で始まった企画で、力戦奮闘の日々が続く。しょっぱいことも、中が生焼けだったこともあった。それでもめげずに目指すは「チーズやバジルを乗せたらおいしいパン!」

トマト栽培を行う琉球動力のグループ会社リタグリーンから、年間643トンの規格外品のトマトを活用してほしいと相談があった。1年目はタコライスソースを開発。同品は現在、同社が運営するレストランでの提供や、うるま市のふるさと納税の返礼品として利用されている。


開発途中のトマトパン(提供)

本年度、企画を受け継いだのは食品科学科1年生の3人で、トマトピューレを練り込んだパンに挑戦。きっかけは「授業でパン作りを学んだので」と杉浦実佑さん(16)。新型コロナウイルスの影響で休校もあり、試作を始めたのは9月に入ってから。「最適な塩と砂糖、水の分量もまだ分からなくて…」とブラウン萌音さん(16)は苦笑い。味はまあまあだというが、仲村渠鈴乃さん(16)が「トマトが苦手なので、これで好きになれたらうれしいです」と話すと、他の2人が声を上げて笑った。

年内での完成を目標に、地域と連携した売り方などを展開していく予定だ。乞うご期待!

(新垣若菜)

百花蜜 ★ 南部農林高


ミツバチが巣を作った綿布を持つ(前列左から反時計周りに)宇根功真さん、宇江城輝星さん、伊禮汰一さん、大城茅月さん。左後方にあるのは巣箱=5日、豊見城市の南部農林高校

 プレビュー 天然100%の蜂蜜

県内の農業高校で唯一、養蜂に取り組む豊見城市の県立南部農林高校。校内には六つの木製の巣箱が設置され、それぞれの箱で5000~6000匹のミツバチが蜜作りにいそしむ。生物資源科・植物資源コース・ミツバチ課題研究班の金城進教諭と共に養蜂に取り組むのは大城茅月(ちづき)さん(17)、伊禮汰一さん(18)、宇江城輝星(きら)さん(17)、宇根功真(こうま)さん(17)の3年生4人だ。

那覇市の新垣養蜂園が同校で出前講座をしたことがきっかけで、2019年4月、共同研究として養蜂がスタートした。4人は1、2週間に1回のペースで巣箱を開け蜜の状態を確認する。長靴を履き、顔をネットで覆った帽子に作業着を着て全身を防護する。


天然100%の「百花蜜」。12月の「花まつり」で販売予定

ミツバチを落ち着かせるため、おがくずを燃やし煙を燻煙(くんえん)器でミツバチに当てる。巣箱からミツバチが巣を作る綿布(めんぷ)を取り出し、卵の状態や女王蜂の居場所を確かめる。この一連の作業が4人の役目だ。「慣れてくると女王蜂の居場所が分かるようになる」(大城さん)、「雨の日はミツバチの機嫌が悪い。天候も気にしながら管理している」(宇江城さん)と話し、徐々に“養蜂家”としての自信を付けていく。

一定量の蜜がたまったら採蜜し、遠心分離機などを経て南農オリジナルの天然100%のはちみつ「百花蜜(ひゃっかみつ)」が完成する。12月の南農の「花まつり」で1瓶50グラム800円(税込み)で販売する予定。4人は「地域の人たちに、南農のおいしい蜂蜜を味わってほしい」とPRした。

(照屋大哲)

焼酎造り ★ 八重山農林高


焼酎造りプロジェクトの(左から)中野夏海さん、内原七海さん、屋宜奏風さんと大嶺隆教諭=5日、石垣市の八重山農林高校

プレビュー 地元素材使用し研究

白濁した液体が入ったペットボトルのふたを開けると、芳醇(ほうじゅん)な“大人”の匂いがふわっと香る。八重山農林高校は、島産素材を使った焼酎造りのプロジェクトを進める。原料となるのは同校で栽培する米(銘柄はひとめぼれ)と紅芋(沖夢紫(おきゆめむらさき))、キャッサバだ。試験製造しか認められていないため同校産焼酎としての販売はできないが、地元事業者による地元素材の焼酎造りにつなげようと研究を続ける。


蒸留装置を使い、キャッサバのもろみからアルコールを回収する生徒=1月、八重山農林高校

6次産業化を学ぶ取り組みの一環で、同校アグリフード科の大嶺隆教諭(51)が中心となり、2019年5月に焼酎・泡盛を製造する製造免許を取得。現在はアグリフード科3年生5人が、こうじ造りから蒸留までを手掛ける。焼酎になるのはこうじ造りから約1カ月。新型コロナウイルスの影響を受けながらも、これまで2度、蒸留までこぎつけた。三つの焼酎にはそれぞれ特徴があるが、生徒の屋宜奏風さん(17)らのお薦めは「一番柔らかい香りがする」という沖夢紫の焼酎だ。味も試した大嶺教諭も「沖夢紫の焼酎は今でもすぐ商品化してほしいぐらい」と太鼓判を押す。

課題は原料に対してどれくらいのアルコールが取れるかを示す「収得率」。まだ市販化の水準には遠く、内原七海さん(18)は「温度管理や原料と水の割合などを継続して試験しないといけない」と話す。

未成年のため、今は口にすることができない八重農産焼酎。中野夏海さん(18)は「2年後が楽しみ」と、味わえる日を心待ちにしている。

(大嶺雅俊)






商品化の日楽しみに

今回紹介された商品は、どれも入手しづらい貴重な商品ばかりです。どんな味がするのか想像で楽しむしかできないのが残念ですが、北部農林のアセロラチョコプリンは、障がい者の就労支援施設で今後製造・商品化に向けて話を進めるそうです。いつか私たちも手に取ることができるかもしれません。

各地の農林高校の学園祭ともなれば、農産物、花卉(かき)園芸、さらにはハムやソーセージまで多種多様の商品が並び、1時間ほどで完売するほど人気の学校もあると聞きます。新型コロナウイルスの影響で、中止や延期もあるようですが、機会があれば足を運んでみてはいかがでしょうか。

(亜)


(2020年10月11日 琉球新報掲載)


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