小さな子どもは泣いちゃうかも!?こわもての巨大な獅子が鎮座する公園【島ネタCHOSA班】


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八重瀬町友寄にある友寄馬場公園に迫力あるでっかい獅子の滑り台があります。県内にいくつかあるシーサーの滑り台とは違って、獅子というのは珍しいですよね? 気になるので調べてください。

(那覇市 山田たろきち)

獅子の滑り台? いったいどのようなものなのでしょうか? さっそく、友寄馬場公園に行ってみたいと思います!

鎮座する姿に威厳

那覇方面から八重瀬町友寄を目指して国道507号を車で走っていると、右側に友寄馬場公園の看板を発見。そこを右折し、坂道を上っていくと…。なんと! 左側に巨大な獅子が! 駐車場側に向かって鎮座するその姿はとても威厳があります。

獅子舞の獅子をモチーフにした滑り台(友寄馬場公園)

この滑り台について情報を得るため近くの友寄公民館へ足を運ぶと、区長の知念稔さんが快く迎えてくれました。

区長の知念稔さん

聞くところによると、公園は1995年6月に完成。当時は一番大きい滑り台を目指して作られたといわれ、公園の資料には、滑り台の高さが7・13㍍、横幅は9㍍と記載されていました。

「友寄では獅子舞の獅子を大事にしているんですよ。旧暦8月の十五夜にしか出てこない獅子ですが、モニュメントとして常に公園にあることで、子どもたちは友寄の獅子舞を知るきっかけになります。ここで遊んだことが、地域の文化を継承したいという気持ちにつながったらいいなと思いますね」と知念さん。公園の滑り台は友寄に伝わる獅子舞の獅子をモチーフにしたものだったんですね。

八重瀬町では友寄、志多伯、東風平、玻名城の4字が獅子を持ち、それぞれ顔付きも違います。見せてもらった獅子の写真を見比べると、友寄の獅子は顔がいかついです。その特大版が、ドドーンと公園に鎮座しているのですから、小さな子どもは泣いてしまうかもしれません。もちろん、怖い存在ではなく子どもたちを見守ってくれる存在なんですよね。

地元の誇り守り継ぐ

現在の友寄の獅子頭は2代目ですが、初代は1828年に王府お抱えの彫刻師・田名宗経が制作したもの。これは、三線の地謡として首里城に仕えた友寄出身の玉那覇親雲上への功績に対する御拝領として授けられたそうです。しかし戦時に消失してしまい、しばらくの空白期間を経て、糸満市摩文仁の平和祈念像を制作中だった山田真山氏の手で1969年に2代目が誕生したとのこと。

躍動感あふれる友寄の獅子舞

「2代目は昨年50周年を迎え、本格的な舞を卒業しました。木製なので、どうしても少しずつ壊れていきますよね。割れてしまうと美術品的価値もあるもんだから、今後は大事に保管することになりました」と知念さんは話してくれました。

今回の調査では滑り台をきっかけに、友寄に伝わる獅子について知ることができました。これからも地元の誇りとして、守り継がれていくのですね。

* * *

最後にもう一度公園へ行き、巨大な獅子を見ていると、あることに気付きました。そう、滑り台なのにまだ滑ってない! 調査員は周囲を見回し、誰もいないことを確認。素早く獅子の両前脚の間をくぐり、階段を上っていきました。そして…。ぅわ~~! 意外とスピードが出る~。あっという間に獅子のお尻から弾き出された調査員…。「公園で大人が一人で遊んでた」とうわさになりやしないか気になりましたが、無事滑り台体験も終え、帰路についた調査員なのでした。

(2020年10月22日 週刊レキオ掲載)