秋冬の澄んだ夜空を見上げてみよう!星空観察のすすめ【島ネタCHOSA班】


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コロナ禍もあり、密にならないレジャーをと考えた結果、星空の観察がいいなと思いつきました。沖縄の星の見どころってなんでしょう? 初心者にもわかりやすい星座や観察方法を知りたいです。

(宜野湾市 スコーピオレディー)

星空観察とはロマンチックですね。沖縄は市街地から少し離れるだけで、星がよく見える場所に簡単にたどり着けます。なので、星座や惑星について知識を身に付ければ、さまざまな楽しみ方ができそうです。調査員もこの機会に星について知ってみたい!

ということで、今回は、国立天文台石垣島天文台・元所長の宮地竹史さんに沖縄の夜空についてお話を伺うことにしました。現在も石垣島在住の宮地さん。今夏に沖縄の星空についての書籍『四季の星空ガイド 沖縄の美ら星』も出版したばかりです。

日本一たくさんの星を

宮地竹史さん

「沖縄は南十字星など、本土では見られない星や星座が見られ、天の川は日本一長大に見られるんですよ」

宮地さんによると、本県の夜空の特徴は、なんといっても観察可能な星の数。北回帰線(北緯23・7度、太陽が地球上で最も北に来る位置)のすぐ北側にある沖縄の島々は、本土と比べると南側の空がよく広く開けているので、1等星は21個全てを見ることがきます。また国際天文学連合が定める「88星座」のうち、84星座を観察できるそう(一部だけが見られるものも含みます)。

また、宮地さんによれば、沖縄上空はジェット気流(偏西風)の影響が小さいため、星がよりクリアに見える条件にも恵まれているんですって。

秋冬の見どころ

これから年末にかけて、初心者でも観察できる天体イベントは何がありますか? 宮地さんに聞いてみました。

まずは今晩! 10月29日は「十三夜」にあたります。お月見をすることで有名な「中秋の名月」とセットで語られる「後の月」を観察しましょう。「二夜の月」を眺めると幸せになれるという言い伝えもあるそうですよ。

11月17日は「しし座流星群」がピークを迎えます。この日の前後も新月にも近く、月明かりの影響が少ないので、例年よりも好条件なのだとか。また12月14日前後には「ふたご座流星群」も楽しめます。

こちらは今年8月のペルセウス座流星群のときの流星。天の川の中を流れ星が通過しています。「まるで『銀河鉄道の夜』の超特急のようです」と、宮地さん。(石垣島名蔵で撮影)提供写真

宮地さんおすすめの流星群観察の方法は、屋外の安全な場所にマットなどを敷き、横になって観察すること。首が疲れないので長時間の観察ができるそうです。「空の一点に集中せず、ぼんやり全体を眺めるくらいがおすすめです」とも教えてくれました。寝っ転がりながら夜空を見るなんて、とっても心地良さそうですね(笑)。

年末にかけては、太陽の周りを公転する惑星たちも見ごろです。火星が赤く明るく輝く他、木星と土星は日ごとに接近していくのだとか。宮地さんは「1週間単位で比較すると大きく動いていることがわかりますよ」と話します。また、明け方の空には、「暁けの明星」こと金星が明るく輝きます。早起きして楽しむのも良いですね。

今年も残すところ約2カ月。忙しい日々の中でも、夜空の星々を見上げれば、ほっと一息つけ、沖縄の豊かな自然を身近に感じることができるはず。ぜひ、宮地さんの教えてくれた天体イベントをご覧になってみてください。寒くなってくるので、外に出る際は、あったかい格好をするのも忘れずに。
 


『四季の星空ガイド 沖縄の美ら星』
 著:宮地竹史
 発行:琉球プロジェクト
 1800円+税 発売中

(2020年10月29日 週刊レキオ掲載)