ちまたで話題の「琉球王国トランプ」って知ってる? 遊びながら琉球史も学べる優れもの! 【島ネタCHOSA班】


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1月8日の琉球新報本紙に、琉球王国トランプの記事が載っていましたね。もう少し詳しく知りたいので、CHOSA班でも調べてください!

(那覇市 マジックママさん)

トランプのキングやクイーン、ジャックを琉球王国の人物として描いたトランプが制作されたという記事、調査員も気になっていました。遊びながら歴史も学べて一石二鳥ですよね!

多彩な人物が絵柄に

トランプを制作したのは、学校法人KBC学園地域創生室課長の知念仁志さん。これまで、グラフィックデザイナーとして、自治体や各種施設のシンボルマークやマスコットキャラクター、自然保護を訴えるポスター、かりゆしウエア、琉球ガラスなど、さまざまなデザインを手掛けてきたそう。

知念仁志さん

デザイナーというとなんだか敷居が高く感じますが、知念さんは「お笑いタレントのひーぷーさん(真栄平仁さん)とは同級生で幼なじみです」と、いたずらっぽく笑います。あらら、そうなんですね! なんだか親しみがわいてきました(笑)。

ひとしきり場が和んだところで、トランプを見せてもらいました。まず目を引くのは、キング、クイーン、ジャック、ジョーカーに描かれた琉球史を彩る多彩な人物群。

キングに配されているのは国王のみですが、クイーン、ジャックには歌人・恩納ナビー、武将の護佐丸と阿麻和利、組踊の創始者・玉城朝薫など多彩な人物も含まれます。

ここでちょっと気になるのが2枚のジョーカー。描かれているのは、占い師の木田大時と第二尚氏王統の最高神女・聞得大君。木田大時は、透視能力などを持っていたとされる人物。ジョーカーを霊的な力を持つ人物と解釈しているのですね。なるほど!

描かれた人物については、カードに文字による紹介も書かれているほか、人物紹介を一枚にまとめたシートも添付されており、勉強になります。

絵柄の細部にも意味が

トランプに描かれた人物は、よく見ると、一人一人絵柄が違っており、背景に描き込まれたモチーフも違っています。例えば阿麻和利の絵柄にはクモの巣が描かれていますが、これは阿麻和利がクモの巣をヒントに漁網を考案したとの言い伝えにちなんでいるそう。同様に、描きこまれたモチーフのすべてに意味が込められ、服装も王冠の玉の数など、可能な限り考証を行ったうえで描いているのだとか。絵柄から歴史や意味をひもといていく楽しみもありますね。

また、スペードを王冠、クラブを三線、ハートを花笠、ダイヤを宝刀のデザインにする、トランプの裏面に歴代の26人の王の名を記すなど、細部にも徹底してこだわっています。

トランプの絵札には琉球王国を彩る重要人物が登場。人物紹介と琉球王国三山の系図を裏表1枚にまとめたシートも付いてきます

制作の動機は県民にもっと琉球王国の歴史に親しんでほしいという思いから。制作者の知念さん自身、琉球王国の歴史をあらためて調べ直し、時には史跡や博物館に足を運びながら、約5カ月の期間をかけて制作したそう。

12月に一般向けに発売を開始してからは、「琉球の歴史を学びなおしたい」「子どもや孫へのプレゼントにしたい」という動機からの購入が多いといいます。

「一部の沖縄そば店にも置いてもらっていますが、そばを食べにきた親子が『お父さん、あれほしい』といって購入されたケースもありますよ」

また、絵柄に登場する人物の子孫の方が買いに来られたり、外国人の琉球史研究者からの問い合わせがあったりと、県内外での反響が広がっているそう。「トランプをきっかけに、地元の歴史にも興味を持っていただければうれしいです」と知念さん。

このトランプを使って家族で遊べば、親子の会話も広がりそうですね。その前に、大人の皆さんはこっそり琉球史のおさらいをお忘れなく!


問い合わせ
☎ 090(9781)4385(知念)

(2021年2月25日 週刊レキオ掲載)