「インターンすべき?」「良いESってどう書くの?」 就活生が陥る悩みに向き合ってみた  ロックダウン世代になった就活生のリアル(10)


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琉球新報Style初となる、学生ライターによる連載が始まります。その名も「ロックダウン世代になった就活生のリアル」。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、インターンや採用試験もオンラインへ移行するなど、就職活動も今までと大きく様変わりしています。
そんな新しい日々を手探りで進む学生の皆さんのリアルな感情や、葛藤などを体験記として記していきます。

3月になり、いよいよ本格的に就職活動が始まっています。記念すべき10回目の連載を迎える今回は、琉球新報Styleで掲載中の「 持続可能な働き方を求めて@沖縄」執筆者である、レンアイ型Ⓡ採用コンサルタントの小宮仁至さんに、学生ライターたちが抱える就職活動の悩みから働き方にまつわる疑問まで聞いてもらいました!

(写真上段左から)平良真美、嘉手苅友也、野添侑麻、小宮仁至(写真下段左から)天久泰成、渡久地愛

【人物紹介】
天久 泰成(あめく やすなり):琉球大学人文社会学部4年。小学校から大学まで野球を続けた野球小僧。今年の3月で大学は卒業だが、就活の結果に納得がいかずに今年も引き続き挑戦。金融業界を希望している。ローソンのメロンパンが好き。
 
渡久地 愛(とぐち あい):信州大学人文学部心理学科4年。好きなことは旅、料理、家庭菜園、Netflixを見ること。2年間の休学を経た現在、一周回って人生迷子。同じく3月卒業だが、4月からも引き続き就活を続ける。
 
平良 真美(たいら まみ):沖縄国際大学英米言語文化学科3年。海外旅行大好き人間(とくにアジア)。今年から本格的な就活が始まる。メディア関係に興味があって、そこに向けて就活を進めている。
 
小宮 仁至(こみや ひとし):ファンシップ株式会社 代表取締役。広告会社やWEBマーケティング会社を経て、2015年にファンシップ(株)を創業。2016年より「レンアイ型採用メソッド」を提唱し、企業へのセミナーや求職者への採用支援を実施している。1979年生まれ 熊本県出身。
 
【司会進行】
野添 侑麻(のぞえ ゆうま):2019年琉球新報社入社。琉球新報Styleの運営担当。音楽とJリーグと別府温泉を愛する92年生。
 
嘉手苅 友也(かでかる ゆうや):4度の転職、3度の左膝靭帯手術を経て、2021年度琉球新報社に入社。デジタル部門を担当。座右の銘は「死ぬこと以外はかすり傷」だが、結婚してからはバランス重視で生きている。

行動次第で、思わぬ出会いが

小宮:まず、対談を始める前に皆さんに話しておきたいことがあります。皆さんが求人サイトや合同企業説明会などで目にしている会社以外でも、働き手を求めている会社はたくさんあります。例えば、ハローワークに出ている求人って、沖縄県内だけでも2万件以上あるんですよ。ハローワーク以外の無料求人サイトに絞っても、何千社分出ています。更に「人手が欲しいけど、業務が手いっぱいでそもそも募集を出せていない会社」っていうのもあるんです。表に出ている企業だけではなく、そういった企業にも目を向けて就職活動の幅を広げてほしいと思っています。
 
平良:人手が必要な企業って、そんなにあるんですね…!じゃあ、学生はどうやってそんな企業と出会えばいいのでしょうか?
 
小宮:出会うためには「行動を起こす」ことですね。興味のある企業の採用情報が出ていないのであれば、逆にそこに自分からアプローチしてみるとか。例えば、SNSで企業の人とつながりを持ち、連絡してみることで物事が動くケースもあります。また業界同士近いので、関係のある他の会社を紹介してもらえることもあります。「行きたい業界に求人が出ていないから…」と諦めずに、自分からアプローチしたら意外と次につながることもあったりします。
 
野添:
なるほど!SNSが普及している今だからこそできるアプローチなのかもしれませんね!それでは、さっそく最初の質問に参りましょう。平良さんからの質問です。

宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開催された合同企業説明会の様子(2016年撮影)

Q1.インターンって参加した方がいいの?

小宮:僕は希望する職種に関係なく、インターンは幅広く参加したほうがいいと思っています。でも、インターンって、力を入れている企業もあれば、全くノータッチの企業も多いのが事実。そしていざ参加してみても、学生が本当に知りたいであろう「ブラックな仕事内容かどうか」とか「ハラスメントってあるのかな?」といった企業の本質の部分がなかなか見えづらく、表面的な情報しか知ることができなかったっていうパターンもよくあります。
 
インターンをやっていない企業でも、「やりたいけどそこまで手が回っていない」ってところもあるんです。これもさっきと同じで、やっていない企業には直接お願いしてみるのがいいと思います。そのためには「御社のこういうところが見てみたくて参加を希望しています」とか「私にはこういうスキルがあるので、インターン生として役に立てると思います」といった具体的な提案や、自らの売り込みが併せてできたら、企業もあなたを受け入れた後の対応をイメージしやすいので参加できる可能性は高まると思います。

野添:他の皆さんは、インターンに参加した経験はありますか?
 
天久:参加しました!一週間がっつり参加した経験もあるし、1日インターンで県外の企業にも参加したこともあります。僕は職種にこだわらず、幅広い職種でインターンに参加しました。でも1日インターンだと、学生同士でグループディスカッションして課題発表して終わり、というケースが多く、実際に働いている人の様子や会社の雰囲気は見えなかったのが正直なところです。1週間参加したところは、社員さんに同行しながら業務の流れを体験できて、入社した後の姿をイメージしやすかったですね。
 
野添:僕も学生時代に志望していない業界にインターンに行ったことありますが、思ったより面白くて選択肢が広がりました。業種関係なく参加してみることは大事かなと思います。では、次の質問に参りましょう!今回参加できなかった学生ライターの眞榮城さんからの質問です。
 
Q2.エントリーシートを書く上で、「どれだけ会社にマッチしている人材かをアピールすることが大切」だとよく聞きますが、どのように強調すればいいのでしょうか。
 
小宮:なるほど…。どうアピールすればいいかと言うと、企業によってアピール方法は変わってくると考えます。例えば気になる人をデートに誘うときって、相手の人柄によって誘い方を変える必要がありますよね。就活もそれと同じで、企業によって自分のアピールポイントを変えなきゃいけない。どの社にも共通するエントリーシートを書こうとすると、どうしてもうわべっぽくなってしまうんです。
 
嘉手苅:
僕も去年まで就職活動をしていたんですけど、琉球新報社を受ける前に新報で働いている知り合いに相談した際に、「デジタル戦略に力を入れているよ」という話を聞いて、それなら自分の得意分野とマッチすると思い、エントリーシートではそこを重点的にアピールした経緯がありますね!

小宮:まさしく良いアピールにつなげるとは、そういう事です!嘉手苅さんのように、行きたい会社に知り合いがいない場合でも、その会社のライバル社と比較した際に見えてくる足りない部分を、自分の持つスキルで補えるというアピールにつなげるのも手ですよね。自分が当たり前だと思っているスキルって、人にとっては喉から手が出るほど欲しいものかもしれません。例えば、皆が普通に使えるTikTokやInstagramなどのSNSを使いこなすスキルって、SNS戦略に力を入れたい企業にはうってつけの人材なんですよね。その企業ごとのニーズを見つけるためには、先ほど申し上げたようにいろんな企業と接点を持たないと見えてこない部分でもあるんです。
 
嘉手苅:なるほど。自分がなんでもないと思っていることでも、企業にとっては魅力的に映る場合もあると。そこに気づく意味でも自己分析や企業研究が大切なんでしょう。さて、次の質問も平良さんから頂いたものです。

Q3.エントリーは多くの企業にするべきですか?それともある程度絞ってするべきですか?
 
小宮:うーん。どちらもメリットはありますが、どちらにせよエントリーをするなら「目的を持つこと」が大切だと思います。皆さんが欲しいのは「100社からの内定」ではなく、「希望する会社からの内定」ですよね。そのゴールにたどり着くために、業界のことを調べて基礎知識を付けつつ、面接をこなしていくことが大切。どうしても面接は緊張してしまうので、慣れるためにも優先度が低い企業の面接を先に受けちゃう、というのも作戦の一つ。面接を受けるごとにノウハウが溜まってきて、段々コツが掴めてくると思います。
 
平良:なるほど。エントリーの数というよりは、受ける企業と自分がどういうふうにマッチングする方が大切ということですか?
 
小宮:その通りです!数多くエントリーしたところで、薄い内容のエントリーシートしか書けずに、落ちてもなぜ断られたか理由が分からないと思うんです。しっかりと考え抜いて書いた書類なら、落ちた時でもなぜダメだったかを確認できたら次につながる!
 
嘉手苅:他の皆さんのエントリー状況はどうでしたか?
 
渡久地:幅広い業界を見ていますが、「求める条件を全て満たす会社はない」と思いながらも、それでもなかなかピンとくる会社に出会えずにエントリーまで踏み込めないのが現状です。中途半端な気持ちでエントリーしたところで、向こうにも気持ちが伝わってしまうと思うし、自分もその企業に対してしっかりコミットできない。なので、私は多くの企業にエントリーするのは、そんなにいいことではないかなと思っています。
 
野添:「自分はどんな就活の進め方が合っているんだろう」と判断しながらやっていくのは大変ですが、自分の納得いく就活をするためには必要な道なのだと思います。それでは次の質問に。天久さんからの質問です。

Q4:「小宮さんがおすすめする、周りの就活生と差別化できること(行動)はありますか?」
 
小宮:天久さんは、どういう背景でこの質問に至ったんですか?
 
天久:僕は沖縄県内の金融業界、特に銀行を中心に就活をしています。入社を希望している銀行は上場しているので比較的企業の情報を集めることが容易いんですが、それって志望者は全員分かっていて当たり前のことじゃないですか。そこ以外で他の受験者とどう差をつけたらいいのか悩んでいます。
 
小宮:天久さんなりに差別化するなら、どこだと思っていますか?
 
天久:うーん。数字以外の部分で、実際に働いている人たちはどんな人が多いのか、という部分に注目して、各社ごとで分けて考えてみようかなと思っています。
 
小宮:なるほど。「御社の求めるキャラクターに見合う自分です」というアピールにつなげていこうって案ですね。
 
天久:
そうですね。
 
小宮:その案、すごく良いと思います!銀行って基本的には毎年複数名採用しています。しかし、その中で自分というキャラクターを際立たせてアピールするのではなく、「私は御社の社風に合っている人です」と、相手に求める社員像だと思わせることがコツだと思います。私の知る限りでは金融業界は個性を出せばいいということではなく、社風にマッチするかどうか、というところが大切になってくると思います。
 
天久:
なるほど…。説明会に参加したときにも、社員さんから似たようなことを言っていたのを思い出しました。改めてプランを考え直してみようと思います!

<後半へ続く>