「ゲーム課金を甘く見ない」-モバプリの知っ得![121]


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3月、新生活シーズンでスマホデビューをした小中学生も多いと思います。今週はスマホの「課金」※1について解説します。

最近のスマホゲームは、キャラクターを強くする、あるいはカッコいい衣装を入手するために課金が必要なゲームが多いです。ゲームのアプリ自体は無料で提供して多くの人にプレーしてもらい、ゲーム内で課金を行うことで収益化していくシステムとなります。ゲーム会社はより多く課金をしてもらえるよう、ユーザーの行動を分析し、アップデートでゲームシステムを調整して、キャンペーンを展開するなど私たちが課金を行うように誘い出します。特に課金で強さが決まる「ソーシャルゲーム」と呼ばれるジャンルは、課金の上限が事実上ありません。やろうと思えばいくらでも課金ができるシステムとなります。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

またソーシャルゲームの仕組みとして、課金したら必ずキャラクターを強化できるかというとそうでもないのが現状です。ガチャガチャを模したシステムでのアイテム課金が主流となっており、自分が欲しいアイテムが当たるかどうかは運次第。なので、目的のアイテムが手に入るまでいくらでも課金し続けられる仕組みになっており、作りがある種のギャンブル性を持たしています。課金が重要なゲームは、賭博の仕組みを参考にしてユーザーの射幸(しゃこう)心※2をあおります。つまり、子どもたちが手のひらのスマホでパチンコをやっているようなものですね。

保護者のクレジットカードなどを勝手にゲームに登録して数十万円課金した小学生、課金で借金が膨らみ会社のお金を横領して逮捕された人、ゲーム課金の借金から強盗殺人に発展した事件もありました。子どもが簡単に課金できないよう保護者はロック・制限をかける必要があります。

しかし、大人になっても「課金沼」にハマる人はたくさんいるため、制限をかけるだけでなく適切な利用を使いながら学ぶ必要があります。ちゃんと話し合いながら遊ぶ分には、お金の勉強にもなると考えます。「完全に禁止」という極端な意見ではなく、保護者も一緒に新しいゲームの形に慣れていく必要があります。
デジタル化が進む社会において、ゲーム以外でも課金する機会は増えるでしょうが、甘く考えずに適切な利用の線引きを意識してみてください。

 ※1 課金… スマホゲームで有料のアイテムを購入したり、動画サービスで料金の発生するプランに加入することを意味します。課金の方法は携帯電話料金とまとめての支払いやクレジットカード、またコンビニで前払い方式のギフトカードの販売もしています。
 ※2 射幸心… 「幸せになるかもしれない」という人間の要求を表す言葉。ギャンブル・賭博などは「射幸心をあおる」と言われていますが、ソーシャルゲームの「ガチャ」のシステムなども同じように射幸心をあおっていると指摘され続けています。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」3月21日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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