県内屈指の芸能事務所の新代表は、あの注目若手芸人！

新体制で新たな取り組み続々

芸能事務所「オリジン・コーポレーション」に所属するお笑いコンビ「しんとすけ」の（左から）しんさんと首里のすけさん。右はじゅん選手さん（めーばーカリー）。同期入所の3人は「じゅんとすけ」というユニット名でも活動中。中央の首里のすけさんは今年の元日付けで事務所の代表に就任し、注目を浴びている。＝2月22日、オリジン・コーポレーション事務所（那覇市内）で撮影写真・村山望

１９９４年に発足した「オリジン・コーポレーション」は芸人・タレント・劇団員、約５０人が所属する芸能事務所。こきざみインディアンをはじめとする芸人たちが活躍し、ひーぷーこと真栄平仁さんが結成した「劇団O.Z.E」は２０年以上公演を続けているなど、県内屈指の芸能事務所として知られている。今年の元日、発足以来初の代表交代を行い、芸人の首里のすけさんが就任し、新たな一歩を踏み出した。決意を聞き、相方のしんさんと同期のじゅん選手さんにも話を聞いた。

「面白人事で代表になりました！」と元気な声で迎えてくれた首里のすけさん。

「後任にならないかと前代表から声がかかりました。営業活動や交渉などが嫌で芸人を続けているので、最初は断りましたよ（笑）。でも自分がやりたい事をできる立場になれば楽しいのではないかと考え、引き受けました」とのこと。加えて「代表の肩書きが芸人として武器になる」という思いも強まり、新代表を引き受けたそうだ。

高校三年間同じクラスで現在相方のしんさんは「首里のすけが代表になると聞き驚きましたが、彼は意志が固く行動力がある。高三の時も琉大進学を決めたらツッコミ役を離れ勉強していたので（笑）、今後も変わらないはずです」と太鼓判を押す。

「びっくりしたけど笑いました」と話すのはじゅん選手さん。「首里のすけはリーダーシップがあり、火がつくと動く人。常にポジティブで事務所を良い方向に変えたい思いが強いです。僕もいろいろ相談してきましたし、カウンセリング室があったら専従の先生になっていたかもしれません（笑）」と首里のすけさんの人柄を評し、彼なら大丈夫と納得する。

名所や地元を動画で紹介

首里のすけさんが掲げている新たな取り組みは２つ。まずは、芸人と劇団員を沖縄の観光に役立てていくこと。

「僕たちは沖縄県民に笑ってもらえるネタを作ってきましたが、なかなか仕事につながりません。見てもらう対象を観光客へと広げ、沖縄の歴史や文化を知ってもらうお笑いに取り組みたい」と語る。

那覇市観光協会の街歩きプログラム「那覇まちま～い」とのコラボ動画では各スポットで芸人が登場し、ネタや芸を披露する。またコロナ問題が落ち着いたころには、民謡居酒屋などで観光客に向けたお笑いを披露する計画を進めていくそうだ。

事務所の公式ＹｏｕＴｕｂｅチャンネルでは芸人たちが出身地を紹介する「オンラインおきなわ旅行」を無料公開中で、応援サポーター券を購入するとお土産がもらえる楽しいプログラムもある。

そして２つ目の取り組みは、国連が定める「ＳＤＧｓ（持続可能な開発目標）」を分かりやすく解説する動画コンテンツの製作。ニュースサイト・ＨＵＢ沖縄で公開していくそうだ。

前向きな姿勢で

新体制に期待するじゅん選手さんとしんさんは、自分たちも変わらなければと思っている。

「芸歴９年目でずっとアルバイトをしていて、相方は芸だけで生活できる状況にしたいと以前から話していました。光熱費の支払いなどに追われるとネタを書く頭に切り替えられないので、芸で食べていける体制づくりに期待します。失う物はないので、良くなる可能性を希望にします」（しんさん）

「出演依頼が来ればラッキー感覚の受け身でしたが、今後は事務所から発信する体制に変わる期待があり応えていきます。ネパール出身のらむちゃんと『めーばーカリー』というコンビを組んだので、島言葉や三線を教えていきたいです。１人の時より楽しい挑戦ができそうですよ！」（じゅん選手さん）

「面白い芸人がそろい事務所所属の人間はみんな実力があるので、絶対に何かできると自信を持っています。新しい事を仕掛けていくには良い時期ですし、適当な性格なのでプレッシャーはありません（笑）」と締めくくった首里のすけ代表。芸人活動を続けながらの代表兼任で、彼の若い感性と前向きな姿勢で、県内エンタメ界を大きく変えていきそうだ。

（饒波貴子）