愛・苦悩・狂気の不思議な魅力に引き込まれる「あやしい絵展」


社会
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日本の女性画家の先駆者といわれる島成園の《無題》(大阪市立美術館)には、顔にあざのある妖しき女性が

話題のスポットやエンタメに本誌記者が“おでかけ”し、その魅力を紹介するこの企画。今週は、ぽかぽか春の陽気に誘われ行ってきた「あやしい絵展」という意味深な展覧会です。

■「あやしい絵展」5月16日(日)まで東京国立近代美術館1階企画展ギャラリーにて開催

本展は、江戸末期から昭和戦前にかけて制作された“あやしい、怪しい、妖しい”表現がなされた作品160点が全3章で紹介されています。

1章は幕末~明治の作品。鎖国から一転して西洋文化が押し寄せてきたこの時代は、美術界にも新しい表現法や技術がもたらされました。会場内の入口付近にあった生人形《白瀧姫》は、リアリティある造形が怖くも妖しくもあり、さっそくあやしさを体感。

2章は明治~大正の作品で、さらに細かく5つのパートに分かれており、ボリュームたっぷりです。個人の内面を掘り下げたものが多く、愛、苦悩、一途、狂気といったワードが登場します。湿り気を持つ作品が多数。

顔にあざのある女性や、貧困層に生きる人々の退廃的な様子と、わかりやすい「美」とは対極の妖しい美しさを持つ絵画などがありました。

そして3章は大正末期~昭和へ。関東大震災後の社会の疲弊からか、エロ、グロ、ナンセンスなものを扱った出版物がブームとなったそうでアンニュイな表情をした女性の絵画が印象的でした。

快活な美とは違うけれど、後ろ髪引かれる作品の数々で不可思議な世界が堪能できました。この日は着物姿の観覧者もちらほら。おめかしして美術展が心おきなく楽しめる時期が早く来ますように!

「女性自身」2021年4月13日号 掲載

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