「これって就活うつ?」就活でメンタルがやられた時に心がけたいこと ロックダウン世代になった就活生のリアル(13)


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琉球新報Style初となる、学生ライターによる連載が始まります。その名も「ロックダウン世代になった就活生のリアル」。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、インターンや採用試験もオンラインへ移行するなど、就職活動も今までと大きく様変わりしています。そんな新しい日々を手探りで進む学生の皆さんのリアルな感情や、葛藤などを体験記として記していきます。

こんにちは。学生ライターの渡久地愛です。
先月ついに大学を卒業し、”学生ライター”ではなくなったのですが、学び生きる者としてマイペースに過ごしている今日この頃です。

前回は、「就活真っただ中、北海道でWWOOFをしたら価値観が大きく変わった」という内容の記事を書きました。その後のストーリー的には「WWOOFでの経験を就活に活かして、4月から社会人生活スタート!おめでとう〜!」となれば、かっこいいなと思っていたのですが、現実はそう甘くなく理想は叶いませんでした…。これこそ、コロナ禍の学生のリアル!!(笑)

思いに任せて一歩踏み出したら 働き方や生き方に対する価値観が大きく変わった話
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-1266456.html

落ち込んだことも上手くいかなかったことも記事のネタにして、少しでも誰かの心がホワっと和んでくれたらという思いを込めて、今回は書いていきたいと思います。 

北海道から沖縄に戻った私のリアル

昨年の10月、北海道でのWWOOF体験から沖縄に戻った私は、卒業論文の執筆とアルバイトをしながら就職活動を続けていました。興味のある企業や、秋冬採用を行っている企業のオンライン説明会、県内企業の説明会などに参加しながら情報を集めていました。

WWOOFでの経験を通して価値観が大きく変わった私は「自分が得意、または興味のある分野」と、「地球や社会に本質的な意味で良い影響を与えることができそうな分野」という2点が重なる仕事ができたらいいな、と考えるようになっていました。また、以前は全く興味のなかった職種も視野に入るようになり、ますます選択肢が多くなって選べないという状況が続きました。

家族には、「自分で起業するなり、事業を始めるという道も考えてみたら」とも言われましたが、特別やりたいことがあるわけでもないし、自分で何かを一から始める勇気もなく、「4月からは社会人としてやっていきたい!」という気持ちだけが強くなり、悶々(もんもん)とした日々を過ごしていました。

上手くいったと思ったら…

そんな状況でも時計の針が止まることはなく、「そろそろ決めないと4月から社会人デビューできない!」と奮起した私は、あまり考え過ぎずに興味を持った企業は全部受けてみようと、さまざまな分野の企業にエントリーし始めました。時間をかけて思いも込めながら、エントリーシートを書いていると、自分が働いている姿が思い浮かび、わくわくした気持ちで楽しくなりました。しかし、どれも書類選考は通って面接に進んだのですが、採用まではいかず、ものすごく落ち込みました。

「自分が採用されなかった理由は何だったんだろう…自分に足りない部分があったのだろうか…」といったことが頭の中をかけめぐり、自分が働ける場所はどこにもないんじゃないかと、ものすごく不安になりました。いつもなら根拠のない自信があったのに、メンタルが不安定になり、いつもは軽く受け流せるような人からかけられる言葉でさらに傷つき、自己嫌悪に陥るというループがしばらく続きました。

でも、そんな状態も落ちるところまで落ち切ったら、あとは自然と上がっていくものですね。しばらくすると、「採用されなかったのは、もっと自分にマッチするところがあるからだ!」と、前向きに思えるようになりました。そう考えたら、不安な気持ちは消えて何でも来いとい意識を切り替えることができました。

自分を修める時間、大切に

そんな不安定な時期が過ぎて、私は「就活」とともに「修活」もきちんとしないといけないと思うようになりました。「修活」とは、その時にひらめいた造語で、「自己を修める」という意味です。

自分を修める方法を知らないまま就活を始めた私は、さまざまな情報を集めたり、何枚もエントリーシートを書いたりすることに時間と意識をとられ、いつの間にか自分自身が置いてけぼりになっているような感覚をたびたび感じていました。

私は、社会人として立派に働くことよりもはるかに大切なことは、「自分の幸せや健康」であると考えています。働く時間は、人生の中でかなり多くを占めるので、どう働くか、何をするかというのはとても重要で慎重になってしまいがちですが、あまりにも慎重になりすぎると心身が摩耗してしまって、本末転倒になることに気づきました。

新しく何かに挑戦しようとする時に気持ちが不安定になるのは、多くの人が経験することだと思います。人生の中で避けては通れないことだからこそ、何をしたら心が回復するのか、どう考えたら心が楽になるのかという自分を修める方法を知っていたら、どんなことがあってもきっと大丈夫です。

頑張ることに疲れた時には、少し立ち止まって、自分を楽しませたり喜ばせたり、「よくやっているよ、自分!」と褒めたりしましょう。いろんなことが起きている今、生きているだけで本当に偉いのです!そう思って自分に対して、とことん優しくなりましょう。しばらくしたら、前に進むエネルギーが出てきます。

前に進むエネルギーが貯まった私は、修活とともに就活を続けています。妥協できるところはして、譲れないところはきちんと守って、自分の思い描く未来に近づけるように、進んだり戻ったりを繰り返しながら、自分のペースで歩いていきます。

就活も修活も、長い人生の一部。今の自分の幸せも忘れず、マクトゥシチョ〜ケ〜ド〜 ナンクルナイサ〜。(何事も一生懸命頑張っていれば、人生なんとかなるものさ。)

プロフィール 
渡久地愛。
信州大学人文学部心理学科4年。好きなことは旅、料理、家庭菜園、Netflixを見ること。2年間の休学を経た現在、一周回って人生迷子。有機農家でのボランティアがきっかけで食に目覚め、何を買うか、何を食べるかにこだわりを持つ。最近のプチ自慢は、ハリセンボンと海辺をお散歩したこと。