改めて意識したいネット上に溢れる著作権法違反の数々[135]


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

先月23日、YouTubeに「ファスト映画」をアップロードしていた男女3人が逮捕されました。ファスト映画の摘発は国内初です。ファスト映画とは、映画会社に無断で映像を使い、結末までのストーリーを10分程度にまとめた解説動画です。「時間がないけど映画の内容は知りたい」という人たちに人気だったようです。しかし、他人の著作物を無許可で利用すると「著作権法違反」で今回のように逮捕されることがあります。

 

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

著作権法違反によるトラブルはインターネット上で、これまでも繰り返されてきました。漫画が無料で読めるサイト「漫画村」、音楽が無料でダウンロードできるアプリ「ミュージックFM」などが問題になったほか、昨年は出版社が「絵本の読み聞かせ動画(※1)をYouTubeにアップロードしないで」と声明を出しましたし、さかのぼるとニュース記事を動画に書き起こす「テキスト動画」も問題になりましたね。

しかし、著作権法はグレーゾーンも多いのが事実です。例えばSNSを利用している人が、タレントや漫画のキャラをアイコンにしているのをよく見かけます。これは権利者が訴えたら著作権法違反になるのですが、やっていけばきりがないということと、著作者が「ファンとして応援してくれるのであれば…」という両者間の「阿吽の呼吸」のような信頼関係で成り立っている側面があります。ですが、アカウントが公式アカウントと勘違いされたり、権利者への不利益が起こると、訴えられる可能性もあります。

そんな中でも、YouTubeで著作権的にOKかNGなのか見極めるのは難しいのが現状です。企業やアーティストの公式アカウント、チャンネルの制作者が撮影・制作している動画などは問題ないですが、それ以外の動画は「この人が撮影したものか」「人が作ったものを勝手に載せていないか」など、チャンネルの概要や連動するSNSなどから判断しなければなりません。

映画、音楽、本、漫画などが勝手に無料で楽しめる状況ができると、作っている人たちに適切なお金が入らなくなり、次の作品が作れなくなります。結果的に自分が楽しめるものが減り、次世代に残すこともできなくなります。違法アップロード動画を視聴しても罰せられませんが、違法行為に加担することになるので気を付けましょう。

 

※1「絵本の読み聞かせ動画」… 159回にて解説。詳しく読みたいかたはこちらから

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1120212.html

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/