牧港川沿いの壁に大きな壁画が出現!きっかけは落書き対策!?【島ネタCHOSA班】


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通勤中に通りがかる浦添市の牧港交差点近くに、最近大きな壁画が描かれています。建物の一角を覆う大きさなんですが、絵の雰囲気はあまり見たことがない不思議な感じでついつい目がいきます。どんな人が描いたんでしょう? 気になるので調べてほしいです。

(浦添市 ドム&レティ)

牧港交差点付近に大きな壁画? よく通るけどそんなものあったかなー?

そう思いながら現地を訪れた調査員。しかしすぐに壁画の描かれた建物を発見しました。県道153号線と並走するように流れる、牧港川沿いの建物にオープンカーを描いた大きな壁画が描かれています。これはインパクトのある作品だ!

湧川オートサービスとドミトリーマチナトの入居する物件に描かれた壁画。県内で活動するペインター、POSTO(ポスト)さんがスプレーペイントのみで仕上げた作品です。下描きをあまりせずに仕上げられており、ポップで暖かみがあります

壁画には建物に入居する会社である「湧川オートサービス」と「ドミトリーマチナト」の社名も書かれていました。それを手がかりに調査員は湧川オートサービスの事務所を訪ねてみることに。

発想の転換

湧川オートサービスは壁画の描かれた建物1階で営業している会社。自動車整備や販売を業務としています。 建物上階のドミトリーも系列会社のようです。

壁画について聞こうとわくわくしながら訪ねてきた調査員を迎え入れてくれたのは、同社の宮城希さん。この壁画を企画した仕掛け人です。

(左から)湧川オートサービスの宮城希さんとポストさん

宮城さんによると、もともと建物の川に面する部分の壁は、無許可の落書きに悩まされていたとのこと。会社の壁に落書きがされているとあまり良い印象を与えないですよね。社内でも問題になっていたところ、社長の湧川弘起さんが斬新なアイデアを出します。

「壁をプロにまかせて、作品を描いてもらえばいいんじゃないか」

時間をかけて描かれた良い作品ならば、上から落書きをすることはためらわれるし、会社のアピールもできる。困りごとを逆に良い方向に活用しようという発想の転換があったのです。

ということで、建物の1階と2階にまたがる壁に作品が描けるアーティストを探す仕事を任されたのが宮城さんでした。

社長も壁画に登場

川沿いの壁画とは別に、建物の表側に描かれた湧川弘起社長のキャラクター。「みんなから『そっくり』と言われています」と本人は照れ笑いしていました

宮城さんは、友人づたいにアーティストを探してみたところ、出身中学の先輩であるペインター、POSTO(ポスト)さんと知り合うことができました。

屋外の壁画を手掛けて10年以上になるというポストさん。「頼まれて来たら、思った以上に大きな壁だった(笑)」と振り返ります。本格的に制作をしたのは今年5月。高い位置でも作業ができるよう、建築用の足場も組んだそうです。

壁画のデザインとして、湧川オートサービスがポストさんに注文したのは「車」「58号線のような道路」「(沖縄らしく)ヤシの木」という3つのテーマを入れること。およそ1カ月かけて完成した作品には、海岸近くの道を夕日に照らされながら走るオープンカーが描かれていました。ポップな色使いでヤシの木もちゃんと入っていますね。

オープンカーには風を受けて気持ちよさそうな女性と運転する男性のキャラクターが乗っています。…あれ、男性のキャラを見ていた宮城さんが笑っていますよ、どうしたんですか? と聞くと「これ、うちの社長そっくりだ(笑)」とのこと。

どうやらポストさん、制作を依頼された際に打ち合わせで対面した湧川社長の特徴を捉え、キャラに描き起こしていたようです。遊び心が効いていますね。

壁画は、牧港交差点で国道58号から県道153号線に入り、伊祖インターチェンジ方面に進路を向けると左手に見えます。近くを通りがかる際は探してみてください。


〈お問い合わせ〉

湧川オートサービス
浦添市牧港4-7-7
電話:098-963-9217

(2021年7月15日 週刊レキオ掲載)