五輪選手への誹謗中傷 モバプリの知っ得![139]


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先月23日、「東京2020オリンピック」が開幕しました。テレビで連日放送しているのでオリンピックを楽しんでいる人も多いでしょう。選手の活躍が報じられる中、敗退した選手に対してSNS上で誹謗中傷のコメントを送る人が増えていることもニュースになっています。誹謗中傷とは「消えろ」「死ね」などの相手を否定する強い言葉のことです。今回、徳間書店の委託編集者の男性が、個人アカウントでテニス選手の大坂なおみ選手への誹謗中傷を行っていたことが発覚し、会社の契約が解除される事案も起きています。

 

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

家族や友達と競技を見ながら、「今のもっと行けただろ!」などと、ワイワイ語り合うのもスポーツの魅力の一つでしょう。しかし、批判の限度を超えた誹謗中傷を、選手に見える・届ける形でSNSに書き込むのはルール違反です。名誉毀損罪、侮辱罪となり、SNSのアカウントを凍結させられる可能性もあります。身内だけで好き勝手言うのと、SNSで言うのは同じ行為に見えて全く違います。そのことを強く意識しないといけません。

日本オリンピック協会は初の試みで、選手のSNSに書き込まれる誹謗中傷を監視するチームを設置していることを明らかにしています。特に今回のオリンピックは新型コロナウイルスの感染が拡大している中で行われ、いろいろな問題が明るみになって辞める人や謝る人がたくさん出てきました。「オリンピックの話題は荒れる」という流れができてしまっています。

批判が集まって炎上状態になると「みんなも言っているから、この人にはこのくらい(ひどいことを)言ってもいいだろう」という気持ちになるかもしれません。しかし「みんなが言っているから自分は黙っておこう」※1 と判断することも大事です。雰囲気に流されず、今どの言葉を使うべきなのかを常に考えていないと、人を深く傷つけるでしょう。

 

※1 「自分は黙っておこう」 … 「消えろ」などの誹謗中傷はいかなる時もアウトですが、「こうした方が良かった」などの批判は基本的にはOKです。ただし、炎上して批判が殺到すると、本来はOKな範囲の批判も、本人を追い詰めることがあります。デコピン1発は「少し痛い」くらいですが、デコピンを連続で10万発受けると頭蓋骨が骨折、あるいは死んでしまうかもしれません。ネットの書き込みでの批判も、「今自分が書くべきことなのか」を考える必要があります。

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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