今一度考えたい「転売行為」について モバプリの知っ得![140]


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先月23日、雑誌『月刊ホビージャパン』編集者が、自身のTwitterで転売を肯定するようなツイートを行い批判が集まりました。「転売」とは、数量限定のレアな商品を一度購入し、フリマサイトなどで値段を上乗せして売る行為のことです。この編集者は投稿の翌日に退職処分 ※1 となりました。

SNSへの不適切な投稿で、会社が謝罪したり社員が処分されたりする事案はあるのですが、「転売」についての発言で、ここまでスピーディーに会社の対応が進んだ例はありません。それだけホビー業界の転売が強く問題視されていることの表れかもしれません。

万引きや暴力などと違い、「転売行為がなぜダメなのか」は分かりにくいかもしれません。新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた昨年2月ごろ、マスクや消毒液などが店頭から消え、フリマアプリやオークションサイトなどで非常に高値で売買されました。そうした動きが問題視され、昨年は期間限定でマスクなどの転売が法律で規制されました。

 

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

「転売」は商品をフリマアプリなどで元の値段よりも高く売り、差額で儲ける行為です。中でも、より高値が付く限定商品などの転売が目立ちます。転売が横行すると欲しいものを適切な値段で買うことができなくなります。人気ゲーム機のプレイステーション5は発売直後から品薄で、購入するためにはお店の抽選に当選しなければいけません。しかしフリマアプリには倍近い値段で転売されています。こうして不当に価格を釣り上げる人が出てくると、業界にお金が落ちなくなり、業界が衰退してしまいます。

フリマアプリが手軽になったからこそ、不要になったものを売ったりして個人間の売買のハードルが下がっています。そこで「限定品を買って転売するといくらくらい儲かるのだろう…」と魔が差すこともあるかもしれません。

そんな誰もが「転売」に手を染める可能性がある中で、最近では「簡単にお金を稼ぐ方法」として転売の方法を有料で教える人も出てきています。改めて、転売がどういった行為であるのか、なぜいけないのかを考えてみましょう。

※1 編集者の退職処分 … Twitterの投稿がきっかけで、本人は退職処分。さらには局長・編集長・副編集長が降格処分となりました。転売の是非を考えるとともに、Twitterの投稿一つで仕事を失う可能性がある…ということを考える出来事となりました。

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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