コロナ禍で就活浪人を経験した学生が語る4つの大切なこと ロックダウン世代になった就活生のリアル(23)


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琉球新報Style初となる、学生ライターによる連載が始まります。その名も「ロックダウン世代になった就活生のリアル」。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、インターンや採用試験もオンラインへ移行するなど、就職活動も今までと大きく様変わりしています。そんな新しい日々を手探りで進む学生の皆さんのリアルな感情や、葛藤などを体験記として記していきます。

こんにちは。学生ライターの天久泰成です。実は学生ライターとして記事を書くのは今日で最後になります。なので、今回は私が就活を通して「これは大切だ!」と感じたことをいくつかピックアップして、22卒、23卒以降の学生に何か参考になるものが残せたらと思います。

就活で大切だったこと

私が就職活動で、大切だと感じたものは大きく以下の4つです。

・自分の価値観を言語化する
・トライ&エラーの大切さ
・働く社員のリアルな声から自分が働いているイメージをすること
・客観的な意見をくれる頼れる就活アドバイザー、就活仲間の存在

それでは1つずつ解説していきます。
 

自分の価値観を言語化する

これは自己分析をしている時に感じたことなのですが、自分の価値観をいざ言語化してみようと思ったときに、全然言葉が出てこないことがありました。最近、就活中の友人から、「受ける企業の判断基準が年収だけなんだけど、どう思う?」と聞かれました。これこそ、自分の価値観がまだ言語化できていない状態なのです。

この「年収」と言う言葉一つ取っても、給料の貰い方っていろいろあります。定期的に昇給していくのか、それとも自分の仕事の成果が反映されて給料が決まるのか、若手の時の給料はそこそこだけど、勤続年数次第で昇給幅が大きくなるのか、それとも若手の時から高水準の給料が用意されているのか、中にはボーナスが自社株で支払われる会社なのか、それだと簡単に現金化できないから、現金支給の所を選んだ方がいい…など、考えられることはたくさんあります。

このように考えていくことで、自分の価値観はより具体的になっていくと思います。ここで例に出した「年収」という言葉以外にも、「成長」や「沖縄に貢献したい」など、就活中によく聞く言葉にはまだまだ深堀りが足りていないものがたくさんあります。これらの言葉と向き合うことは自分の価値観を言語化する上で、とても大切だと考えます。

トライ&エラーの大切さ

これは面接での話になるのですが、意識的にトライ&エラーを繰り返すことで、面接の受け答えに関してはかなり成長できました。と言っても、私がトライ&エラーをずっと意識してきたわけではなく、前回の記事でも書いたように、私は途中までこれまでやってきた自己分析や企業研究を積み重ねてきた自信があったので、それらに自分の思いを合わせて伝えるだけという気持ちで面接に臨んでいました。さらに、面接受けたら振り返りをすることもなく、受けっ放しで終わっていました。

ようやく手にした「内定」 絶望的な状況からはい上がるために取り組んだこと
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-1356398.html

 

しかし、第一志望の企業に落ちてから、初めて危機感を持ち、頼れる友人と共に今までの面接の振り返りを行いました。振り返ってみたときに、「自分がこれまで話していた言葉では、説得力もアピール力もない」と指摘され、また一から伝える言葉を練り直しました。それでも面接では緊張してしまい、言いたいことの7割ほどしか言えない時もありました。

「しっかりと伝わるように言葉を自分のものにして面接に臨む→反省と次に向けての改善策を用意する」という、トライ&エラーを意識して行っている人はかなり少ないです。だからこそ、この就活という機会を使ってトライ&エラーを実行していくことを身につけて欲しいなと思っています。

働く社員のリアルな声から自分が働いているイメージをすること

このように書くと、いろんな企業の人事・採用担当者に怒られるかもしれませんが、この点に関しては少しばかり意識して見ていただきたいです。私の22卒の就活は、21卒の時と比べても、その企業で働く人に積極的に声をかけて、いろんな情報を聞き出すことにしていました。結果的にはその企業には落ちてしまいましたが、特にお世話になった方々には「今までお世話になりました」とお礼の連絡をしました。その返事を頂く中で意外なことに、説明会では話してくれなかったことから、実際に働いてみて感じた良いこと・悪いこと、個人的なキャリアプランまで、こと細かに教えてくれたのです。

当時は「絶対この企業に入る!」と盲目的になっている状態でしたので、良い面ばかりに目がいっていたことに気づきました。そんな時に実際に働く社員のリアルな声は盲目的になっている状態から目を覚ますきっかけになり、フラットな目線で考えられるようにしてくれました。今思えば、たかだか1時間程度の企業説明会で得た情報だけで、そこから自分の働く姿を想像するにはあまりにも範囲が狭すぎて、見えてきたのは全体の1割程度だと思います。

そういったことを踏まえると、実際に働いている社員のリアルな日常や業務に感じていることを聞ける機会(インターンシップや座談会)には、積極的に参加したほうがいいと考えます。逆にこの狭い沖縄の中であれば、自分のゼミやサークルの先輩、就活仲間の先輩が志望する企業に勤めている場合もあり、社員の人も意外と役立つことをポロッと話してくれる可能性もあるので、身近に志望業界・志望企業で働いている人がいる方は是非話を聞いてみてはいかがでしょうか。

客観的な意見をくれる頼れる就活アドバイザー、就活仲間の存在。

就活において、いつでも客観的な意見をくれる頼れる就活アドバイザー、就活仲間の存在は大変貴重な存在です。就活では最終的に内定を決めるのは企業であって、もっと言えば、働き始めて給料に反映されるような評価を下すのは上司、つまり他人なのです。就活では、「他人の目に自分はどう写っているのか」という視点が特に大切になってきます。それに対し、自分だけではどうしても主観的な視点は排除できません。だからこそ、就活アドバイザーや就活仲間がいることによって、「客観的」に自分という人間を教えてくれます。私の就職活動においては、そこがとても大事だと感じました。就活アドバイザーや就活仲間は頼れる存在であり、彼らの力を借りない手はありません。

ほとんどの人は大学在学中に就職活動を行うと思いますが、そこで活用して欲しいのが、大学のキャリアセンターです。その理由として、想像以上に就活についての情報の蓄積があるんです。過去の就活生の内定報告書から、時事ネタを知るために新聞は県内外の主要紙が揃っていて、インターンや求人情報も溢れるようにあります。私が頼りにしていた就活アドバイザーの方は大学のキャリアセンターにいる元パワフルサポートの専任コーディネーター  の方です。第一志望を落ちた私が言うもの少し説得力に欠ける部分がありますが、県内外の有名企業に内定者を輩出している実績は県内一だと思います。それだけ求めることも高く、質問も考えさせられるようなものばかりで、非常に鍛えられました。(大変お世話になりました)

このような方は意外にも身近に存在しますし、「就活って何をやったらいいか、わからないよ!」という方はまずは、大学のキャリアセンターに足を運ぶことをお勧めします。

納得いく就活を

ここまで長々と語ってきましたが、結局大切なのは自分が納得した上で、その企業で働くことだと考えます。納得するポイントを作るのは自分自身なのですが、価値観を言語化する大切さのところでも述べたように、一人で考えるのには限界があります。なので、就活していく中で、企業の採用担当や実際に働いている社員、キャリアセンターのアドバイザー、就活仲間とコミュニケーションを取り、他者の考え方に触れることで自分の価値観を固めていくほうがいいと思います。是非、現在就活中の方々にとって何か参考になれば、嬉しいです。ありがとうございました。


現在、うりずん+インターンシップを担当されています。

プロフィール 
天久泰成。
琉球大学法文学部(現人文社会学部)4年。小中高大学まで野球を続けた野球小僧。かっこいい言葉、面白い言葉など「言葉」が響きやすい人間。誰かのきっかけになる「言葉」を発信できる大人になれるよう日々模索中。ローソンのメロンパンが好き。