温故知新のものづくり 4人の作家で営む「機織工房しよん」

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伝統の織物を毎日の暮らしに


伝統の織り技法を使って制作された商品。普段使いできる華やかな色合いの小物などがそろう=八重瀬町仲座の「機織工房しよん」 写真・村山望


沖縄に古くから伝わる織り技法で商品を制作している八重瀬町の「機織工房しよん」。工房に隣接する販売スペースには、手織りの商品が数多く並ぶ。どれも色鮮やかでシンプルなデザインが特徴だ。4人の織物作家が目指すのは、使いやすく長持ちするものづくり。それぞれの感性で伝統技法を守りながら、丁寧に織り上げている。



八重瀬町にある古民家に足を踏み入れると、機(はた)を織るリズミカルな音が響く。沖縄の自然を想像させる鮮やかな色彩の商品を作っているのは「機織工房しよん」の喜久村敦子さん(50)、山城恵美子さん(50)、長池朋子さん(49)、牧山昌子さん(39)の4人の織物作家だ。全員が県立芸術大学の織コース出身という共通点を持つ。


4人の織物作家。(左から)長池朋子さん、喜久村敦子さん、牧山昌子さん、山城恵美子さん

しよんが設立されたのは1996年。喜久村さんを含む県立芸術大学の同期生が集まり、おきなわワールド内の工房で活動を始めた。メンバーが4人だったことから、糸が4つという意味を込めて「しよん」と名付けられた。2010年に独立し、12年に現在の拠点である築約60年の民家に移転。メンバーの入れ替えを経て、18年前に現在のメンバーがそろった。

しよんの商品は「沖縄の伝統的な織り技法を使って、デザイン設計から糸の染色、織りに至るまで、すべて個人個人が作っている。明るく鮮やかな色も特徴」と山城さんは話す。織る作業は全体の2割程度。製織時に糸がけば立たないようにするための経糸の糊(のり)付けや織物の長さや幅に合わせて経糸をそろえる「整経(せいけい)」など、長い準備行程を経て作られていく。


工房では機織りなどを見学することができる

温故知新のものづくり


しよんのモットーは温故知新。ロートン織、花織、絣(かすり)など、琉球王朝時代から続く7種類の織り技法を用いて、普段の生活に取り入れやすく、長持ちするものづくりを心掛けている。商品はショールやショルダーバッグ、ポーチ、名刺入れ、財布など、多岐にわたる。一番人気は全員で手掛ける「マース袋」。袋の中には聖地を巡礼する「東御廻り(あがりうまーい)」をした塩が入っている。一人1袋800グラムの塩を3袋担ぎ、14カ所の拝所を巡るという。願いの込もった商品は自身のお守りや贈り物などとして、県内外で好評を得ている。


販売スペースには名刺入れやブックカバー、ポーチ、カメラストラップのほか、さまざまな商品が並ぶ

工房と販売スペースが隣接しているのも特徴で、制作風景の見学や、織物についての質問も気軽にできる。工房をオープンにすることで「新しい意見が聞けたりするのが良いこと」と山城さんは言う。これまでも外部の声からヒント得ることで、新たな商品開発につながってきたという。マース袋や、ショルダーバッグ、新型コロナウイルス禍の中で開発したマスクなどは、そんな中から生まれたものだ。


糸と糸が生み出すハーモニー


地元大阪の展示会で沖縄の織物に出合い、織物を学んだという牧山さんは、「糸と糸が組み合わさって布になるというのがすごいと思う」と織物の魅力を話す。

神奈川出身の長池さんは、それに加え、「糸と糸の間に空気を含んで模様を織り出し、 立体的になっていくのも面白い。その工程で経糸(たていと)と緯糸(よこいと)が重なって色ができていく。その『織色(おりいろ)』を作るのがすごく楽しい」と語る。


主に化学染料で染められた糸。色にも個性が出るという

好きな織物にずっと携わっていきたいという4人。山城さんは「もっときれいに織れたらといつも思う」と向上心は変わらない。喜久村さんは「やることがいっぱいあって長生きしようと思える。夢はおばあちゃんになるまで織り続けること」とほほ笑む。温故知新の精神で、伝統を大切にしながら、織物の新しい魅力を生み出していく。

(坂本永通子)




機織工房しよん

沖縄県島尻郡八重瀬町仲座72
TEL 098-996-1770

営業時間=9:00~17:00
定休日=木曜
https://www.shiyon.info/
 

 



(2021年10月14日付 週刊レキオ掲載)




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