コロナ禍の就活を終え気づいた「大切なのは自分を信じ、寄り添うこと」 ロックダウン世代になった就活生のリアル(25)


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琉球新報Style初となる、学生ライターによる連載が始まります。その名も「ロックダウン世代になった就活生のリアル」。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、インターンや採用試験もオンラインへ移行するなど、就職活動も今までと大きく様変わりしています。そんな新しい日々を手探りで進む学生の皆さんのリアルな感情や、葛藤などを体験記として記していきます。

こんにちは。学生ライターの渡久地愛です。

社会人生活が始まり、沖縄を離れて早1か月。朝と夜が肌寒くなり、秋の気配を感じています。沖縄はまだまだ暑いでしょうから、体調にお気をつけくださいね。

さてさて、今回が私の学生ライターとしての最後の記事となります。

1年前に書いたものから順に読み返してみると、感慨深いものがあります。連載の締めとして、新しい環境での毎日や考えていることについて、書いていきたいと思います。
 

沖縄を離れ、県外へ

9月の初め。長かった就活が終わり、ついに社会人として出勤する初めての朝。

私はドキドキとワクワクと少しの不安を抱え、職場へと向かいました。職員の方々に挨拶を済ませ、手続きや説明などを受けていると、あっという間に1日が終わりました。

私は新しくできた部署で広報を担当するのですが、前任者がいないため、まずは研修からスタートしました。研修場所は、私が在籍する職場から片道約2時間のところだったため、朝早く起きて、慣れない土地で慣れない通勤電車に乗り、夜遅く帰ってくるという生活がしばらく続きました。

研修内容は、会社ができた経緯や各部署の方の話を聞く座学に始まり、試食クイズ、環境問題や日本の農業などに関する勉強会、現場の見学など、今まで知らなかったことを幅広く知ることができて、非常に有意義な時間となりました。その後も研修を受けながら、この会社で働いている人たちがどんな思いを持って、どんな目標に向かっているのか、改めて再確認でき、「ここで私ができることを一生懸命やってみよう!」という気持ちになりました。
 

こんな感じで、毎日をこなしていくのに精一杯で、9月前半はあっという間に過ぎていきました。そして最近になってやっと新しい生活に慣れてきたなと感じています。たくさんの人にいろんなことを教えてもらいながら、自分ができることも少しずつ増え、嬉しいことがあったり、嫌なことがあったりな毎日です。例えば、自分がしたことで誰かから感謝される瞬間が最高に嬉しかったり、自由な時間が減ってあまりゆっくりできなかったり、思い描いていた通りの仕事内容ではなかったりすることもしばしば…。でも、就活していた時から考えてみると、今はけっこう幸せだな~と思っています。

就活していたときは、採用がなかなか決まらず自分の将来が真っ暗に思えて、精神的にも不安定になることが多かったです。「今までいろんなことに挑戦しながら、頑張ってきたと思っているけど、実は自分にはそれほど価値がないんじゃないか?社会から必要とされていないんじゃないか?」そんな思いだけが、どんどん大きくなっていました。

振り返って、あの時の自分に言ってあげたいのは、「自分の価値は他人や社会に決められるものではなくて、自分で決めていいんだよ」ということです。自分がどんな人間か、今まで何を考えてどうやって生きてきたか、これからどんなふうに生きていきたいか、全てを一番よく知っているのは自分自身です。自分の人生のほんの一瞬に出会った人や社会に、自分のことを全て伝えるのは本当に難しいし、不可能だと思います。だから、あなたの一部だけを見て判断された時に受けた傷や痛みには、優しく手当をしてすぐに忘れてしまいましょう。

就活を通して、辛いことも嬉しいことも経験した私は、少し成長して強くなったと思います。そして今後もいろんな経験をしながら生きていく中で、高い壁にぶち当たったり、低い壁をひょいっと飛び越えたり、歩いたり走ったり、止まったりしながら、成長していくことでしょう。今はご縁があった会社で頑張ろうという気持ちだけど、今の仕事だけが全てではないと思っているし、新しいことに挑戦したくなったり、違う場所に住んでみたくなったり、これから先も変化が出てくると思います。

だから、嬉しいことも楽しいことも、嫌なことも悲しいことも、今しか味わえない感情や経験を精一杯味わって、生きていきたいと思います。就活で苦しかったこと、就職が決まって嬉しかったこと、今の会社で働いている時間、一人暮らしの時間・・・。どんな時も、長くは続きません。「この瞬間しか味わえない!」ということを思い出して、温かい気持ちで自分を見守りながら、過ごしていけるといいなと思います。そうして生きていたらきっと、人生の最後に思い出す時、全てが愛おしく思えるのではないでしょうか。

就活は、多くの人にとってあまり楽しいものではないと思います。しかし、それを越えた先には、皆さんの思い描く未来へのスタートが待っています。自分としっかり向き合いながら、納得できる道に進めるように応援しています。そしてその後の人生も、たくさん笑って過ごせることを願っています。

今まで私が書いた記事を読んで下さった方々、本当にありがとうございました。

また人生のどこかで、お会いできることを願っています。
 

プロフィール

渡久地愛。信州大学人文学部心理学科4年。好きなことは旅、料理、家庭菜園、Netflixを見ること。2年間の休学を経た現在、一周回って人生迷子。有機農家でのボランティアがきっかけで食に目覚め、何を買うか、何を食べるかにこだわりを持つ。最近のプチ自慢は、ハリセンボンと海辺をお散歩したこと。