時代に求められ 沖縄が作ったバンド「DIAMANTES」


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これからも paso a paso

今年9月に結成30周年を迎えたDIAMANTES(ディアマンテス)。沖縄を代表するラテンロックバンドとして、日本国内はもちろん海外でもライブを行うなど活動を続ける。「今までもこれからも一歩一歩進む」と語るメンバーのアルベルト城間さん(ボーカル・ギター・パーカッション/左)、トム仲宗根さん(ベース)にバンドの軌跡を振り返ってもらった=宜野湾市内のスタジオで 写真:喜瀬守昭

1991年に5人のメンバーで結成、ラテンのリズムに沖縄・ペルーなどのエッセンスを掛け合わせた独自の音楽性「オキナワ・ラティーナ」を発信するDIAMANTES(ディアマンテス)。情熱あふれるメロディーとアルベルト城間さんの圧倒的な歌唱力で、30年にわたり聞く人を魅了し元気づけてきた。周年記念のアルバムを9月にリリースし11月にはライブを控える今、現メンバーのアルベルトさんとトム仲宗根さんに思いを聞いた。

「30周年を迎えられ感謝。支えてくれるみなさんのおかげです」と声をそろえる、アルベルトさんとトムさん。2人の解説付きで過去のライブ映像を公開し、グッズを制作するなど楽しいアイデアで記念イヤーを祝っている。

トム仲宗根さん

「活動していれば30年という時間は経過します。でも続けるのは本当に大変。出会いと別れ、笑いと涙を積み重ねて今になりました」(トムさん)

「サポートメンバーにスタッフ、歌を聞いてくれる方がいて30年を迎えました。去年からコロナ禍で人前で歌うことが難しくなりましたが、何とか活動をつなぎ、人と環境に恵まれていると実感しています」(アルベルトさん)

結成後間もなく人気に火が付いたディアマンテスだが、きっかけはビールのCM曲「ガンバッテヤンド」のヒットから。93年にメジャーデビューを果たし、拠点にしていた沖縄市のライブハウスは入店希望客が列をつくり人数制限で入れない人であふれていた。

「遊び場所が他になかったんじゃない!?」と茶目っ気たっぷりに笑うアルベルトさんは、「ラテンの音楽性と、サッカーのJリーグ設立でスポーツに熱くなる世間のムードに合っていたと思えます」と話す。口コミで評判が広がり、アルバム制作を持ちかけられ慌てて曲作りをするなど、状況が目まぐるしく変わったそうだ。「時代に求められ沖縄が作ったバンドがディアマンテスだと思っています」と語る。

メンバー5人で本格始動

アルベルト城間さん

 2人の出会いは結成数年前、知り合いの紹介だった。

 「中学時代からバンド活動をして専門学校の音楽仲間から『ペルーから来た青年とバンドを組まないか』と連絡があり、合流したんです。初対面のアルベルトは、今より老けて見えました」と笑うトムさん。

 当時のアルベルトさんはペルーから東京に渡った後に沖縄に来て、2年が過ぎたころ。宜野湾市内のライブハウスに住み込み生活をし、週に一回歌っていたという。トムさんらが加わりライブを続ける中、恩納村のホテルから出演オファーが届いた。その時にメンバーが5人になり、ディアマンテスの原型ができたそうだ。91年9月にはギター担当のターボさんがライブハウスを開業、専属バンドとしての活動がスタート。以降の活躍は、多くの人が知るところ。沖縄の音楽シーンに欠かせない存在となった。

1991年・結成当時のメンバー(提供写真)

歩きながら人生を重ね歌詞に

最新アルバム「paso a paso」は6年ぶりの新作で16曲が収録され、イクマあきらさんや仲田まさえさんなど、ディアマンテス30年のバンド活動の中で出会えたさまざまなジャンルのアーティストが参加し、聴き応えたっぷりの作品となっている。

「タイトル曲は僕が挑戦したウオーキングがきっかけで完成しました。辺戸岬から喜屋武岬まで歩きましたが、その道のりが人生に重なったんです」とトムさん。道中に浮かんだ思いを歌詞にして、曲を作ってほしいとアルベルトさんに送った。

「歌詞を見るとディアマンテスの軌跡を感じ、つらい時代を抜け出すために少しずつ歩んでいこう、というメッセージも伝わると思います」とアルベルトさんは語る。

1991年9月20日、拠点のライブハウス「Pati」オープンライブ(提供写真)

最後にレキオ読者へメッセージ。「30周年ライブの準備をしています。観客のみなさんが目の前にいてくれることが一番の望み。30年間一歩一歩歩んできましたが、この先も一歩一歩進んでいきます」(トムさん)

「ライブではニューアルバムの曲や代表曲を披露します。僕たちにできるのは音楽を続けること。みなさまの応援に感謝していますし、これからもよろしくお願いします」(アルベルトさん)

バンド名が意味するダイヤモンドのように音楽界で輝くディアマンテス。素晴らしい歌と演奏で今後も楽しませてくれるだろう。

(饒波貴子)

※「paso a paso」(パソ ア パソ)はスペイン語で「一歩一歩」という意味


<ライブ情報>

DIAMANTES
30th Anniversary Live
 ~paso a paso~

日時:11月7日(日)17時30分開演
会場:ミュージックタウン音市場(沖縄市上地)

問い合わせ:ピーエムエージェンシー
TEL 098-898-1331

http://www.diamantes.jp
 

アニバーサリーアルバム「paso a paso」発売中!(発売・販売元:HIGH WAVE)

(2021年10月28日付 週刊レキオ掲載)