選挙とセットになって現れる「フェイクニュース」 モバプリの知っ得![152]


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10月31日は衆議院選挙の投開票日でした。現在の選挙のルールではスマホを使って投票することはできませんが、「選挙運動」をすることは可能です※1。候補者や支持者がSNSを使ってアピール・応援を繰り広げています。スマホで選挙の情報を集められるようになっているということですね。

手軽に選挙に関する情報を集められるメリットがある一方で、選挙に関するデマや嘘がSNSで拡散されるのも増えてきました。

2016年のアメリカ大統領選挙では「フェイクニュース」という言葉が大きな話題となりました。アクセスが稼げてお金儲けできるという理由で、フェイクニュースを大量に作りSNSに投稿する人が現れ、SNS企業もアクセスで稼げるからと放置したとのことでした。今回の衆議院選挙でも、正確さに欠ける情報がたびたび拡散され、スマホやSNSだけで情報収集する難しさも感じます。

今回、日本維新の会の足立康史さんのポスターがおかしいと話題になりました。足立さんのポスターのはずが、吉村大阪府知事の顔写真が載っているとして写真がSNSにアップされ、批判が集まりました。でも、実際はポスターの隣に足立さんが大きく乗ったポスターがある2連ポスターで、その片方だけを取り上げて一部を切り取って見せていたのです。

こういうことが毎回起こるので、SNSだけで情報収集を行う難しさも感じます。選挙に限らす、正しい情報だけを取り込んで全てを正確に判断するのは、今の時代すごく難しいことです。特にSNSでは自分に近い考えの人たちとの交流が増えるため、エコーチェンバー現象が起こりやすく、またSNS・ネット企業も私たちが読んでいるニュースを分析し、同じような意見だけを見せてくるようになります。こうした現象は「フィルターバブル現象」と呼ばれ、いずれも知らず知らずのうちに私たちの情報を偏らせてしまう原因になっています。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

似たような意見を目にして、たとえフェイクニュースでも「みんな言っているから」と信じるようになってしまいます。また、フェイクニュースの怖いところは、出回った情報は人々の頭の中にすりこまれて、訂正された後でも信じ続けてしまう人も出てきてしまうのです。

この現象から抜けだし、情報を完璧に見極める特効薬はありません。なので、毎日の積み重ねで情報を見て判断する力を磨く必要があります。新聞やネットや本など、ネット以外の媒体からも情報を得て、「自分なりに少しずつ考えるのが楽しい」とアップデートし続けることが大切です。

※1 選挙運動は可能…ただし、18歳未満の選挙運動は法律で禁止されています。特定の候補者を当選させる目的で情報を発信することが選挙運動にあたりますので注意が必要です。

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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