出前アプリの割引クーポンの不正使用で逮捕!?  モバプリの知っ得[162]


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宅配注文サイトの出前館の割引クーポンをだまし取ったとして、28歳の男が「電子計算機使用詐欺罪」※1で逮捕されました。出前館では初めて利用する際に数千円の割引クーポンがもらえますが、2020年12月から2021年7月までの間で90回、合計13万円分のクーポンをだまし取ったとのことです。

こうした初回限定サービスのクーポン配布は多くの会社が行っています。大体ルールとして1人1回までの初回サービスとなっていますが、メールアドレスを複数作って登録したり、電話番号やクレジットカードを複数持っている人はあたかも別人のように何回も使えるようになっています。しかし、度を越えると今回のように逮捕される可能性があります。ちなみに似たような事例は結構あり、2016年には那覇市内のゲストハウス経営の男らが宿泊予約サイトへの新規登録を繰り返し、不正にポイントを1000万円以上だまし取っていたとして同罪で逮捕されています。
 

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

今回逮捕された男は「他の人もやっているから大丈夫だと思った」と供述しているそうです。実際にSNSで検索してみると、同じような手口で何度も割引を受けている人が出てきます。今回の逮捕の報道で驚きや焦りをにじませている人もいました。SNSではこうした犯罪につながるような手口が当たり前のように書き込まれており、罪の意識が薄くなったり、罪として認識できない状況になります。

SNSは自分に似た考えの人と交流できるように、自分の興味のある特定の話題がをおすすめしてきます。しかし、その内容に違法性がないかどうかSNS側は精査しておらず、結果的にお得情報を調べただけなのに、不正な手段の方法が出てきて、「皆やってるから大丈夫」と勘違いしてしまう可能性もあります。こうした利用者にとってSNSが情報にフィルターをかけて有益な情報ばかりが優先され、その他の情報から遮断された状態に陥ってしまう状況を「フィルターバブル」と呼びます。

他には、ポイントをお得に貯める「ポイ活」が流行っていますが、「転売を上手く使う方法」など過激な情報も探せばすぐに出てきます。今回の事件は、新規登録を繰り返し割引クーポンを不正に取得した詐欺事件であると同時に、SNSの情報の偏りが逮捕された男の感覚をまひさせてしまった事件でもあるのかもしれません。

※1 電子計算機使用詐欺罪 … 通常の「詐欺事件」は人をだました場合に適用されます。そして人以外(機械やシステム)からだまし取った場合は電子計算機使用詐欺罪にあたります。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

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【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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