ハートのまち 南城市の図書館の取り組みに心ほっこり【島ネタCHOSA班】


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南城市の広報誌に「ハート図書館」という取り組みが小さく記載されていました。南城市民ではありませんが、気になったので調査してください。 

(那覇市 本好き女子)

それ、調査員も見た覚えがあります。南城市の広報誌「NANJO」ですよね。確か、市内の複数店舗で本を貸し出す取り組みのことだったはず。それでは、さっそく調査開始です!

11カ所で展開

やってきました南城市知念安座真。目の前の海に癒やされながら訪ねた先は、広報誌で紹介されていた「あざま共同売店」です。「ハート図書館」の取り組みは同店店主の藤原明美さんが始めました。   

“図書館”といっても建物ではなく「貸し出し本コーナー」を設けている、ということなんですね。ここには調査員が普段あまり読まない“沖縄本”を含め、いろいろなジャンルの本が箱の中に入っていました。

ハート図書館を立ち上げた「あざま共同売店」の藤原さん 問い合わせ:098-987-6122(火曜定休)

藤原さんは、以前から観光客に本の貸し出しをしていたそうです。「久高島へ行く観光客がここに来られて『向こうで何しようかな~』なんて話していたので、じゃあ私が読んだ本だけど持っていく? といって貸したのが始まりです」

その後、藤原さんは「ハート図書館」を立ち上げ、市内の店舗に声を掛けました。現在は10店舗に加え、南城市役所も参加し全11カ所で貸し出し中。今後も増える予定だそうです。借りるときのルールを聞くと―。

「本は誰でも借りることができて、返すときは『ハート図書館』の加盟店ならどこでもOK。返却期限はなし」とのこと。思わず期限なしですか!? と驚く調査員。

「細かい取り決めは各店舗さんにおまかせしています。でもだいたい決まりはないです(笑)」と藤原さん。このゆる~い感じがいいですね。  

「特に観光客には南城市を周遊してほしいという思いがあります。ただ単に、ここに来て次はあっちへというのではなく、できればもっとゆっくり過ごしてほしいです。その過ごし方の一環に本があったらいいだろうな~と思っていました」

好きな本を持ってのんびりおでかけ…。いいですね~。

『ボブがくれた世界』などボブシリーズが面白いと教えてくれました

本と旅をする

さて、今度は他の「ハート図書館」に行ってみたいと思います。まず訪れたのは「リラクゼーションサロン enishi-okinawa(エニシ・オキナワ)」。代表セラピストの仲村春香さんは「藤原さんから話を聞いてリラクゼーションサロンにぴったりだと思い、すぐ参加しました。開店当初から、体ケアに関する書籍や雑誌をお客さまにお貸ししていましたし、トリートメントの一環として本に触れてほしいという思いもありましたので」と話してくれました。

「enishi-okinawa」の仲村さんは廃墟好き。『世界のすごい廃墟』という本を見ながら一緒に盛り上がりました!

次に訪れたのは南城市役所の「ハート図書館」。まだ始まったばかりの初々しさが感じられます。企画部情報推進課の高坂清加(さやか)さんは「ここにある本を読んでくれる人が一人でも増え、良い本に出合ってもらえたらうれしいです」と笑顔を見せます。企画部政策調整室主査・前城尊志(たかし)さんは「大変いい取り組み。本を借りて読んだ後は違う場所で返して、ぜひ“本との旅”をしてほしいですね」とのこと。読者の皆さんも、利用してみてはいかがですか?

南城市役所の前城さん(右)と高坂さん。「本を片手に南城市内を周遊するNバスにも乗ってほしい」とPR

(2022年2月10日 週刊レキオ掲載)