SNSとの適切な距離感 モバプリの知っ得[168]


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ロシア軍は24日、隣国ウクライナへ全面的な侵攻を開始しました。ウクライナの首都キエフなどにミサイル攻撃・爆撃が行われ、多数の死者が出ています。1991年の湾岸戦争はテレビで生中継された初めての戦争でしたが、今回の戦争では、SNSにてウクライナ国内のリアルな映像がシェアされたり、戦争から逃げる人々の生々しい報告が大量に投稿されています。

現地の様子が可視化されることで共感が広がり、ウクライナへ連帯を示す人たちも増えて、世界中で「戦争反対」の声を挙げる動きが多く出ています。戦争についての情報を取り込んで自分で考えて行動をすることは大事なんですが、その一方で臨場感あふれる戦場の様子やそれに伴う反応などを見ていくことで、すごく不安になったり、ストレスを覚える人もいるでしょう。

特に、子どもから大人へと成長する過程の多感な時期である思春期の子どもたちは、心がすごく繊細で、私たち大人が思っている以上に戦争のニュースで精神的なダメージを受ける可能性があります。こうした戦争報道だけではなく、コロナ禍が始まり世の中がどうなるかわからないといったネガティブなニュースがあふれていたり、有名人が自ら命を絶ってしまうニュースなどに何度も触れることで心が疲れることがあります。

こうした時は、思い切ってスマホのSNSアプリを削除して、「いったん距離を取る」という方法も有効です。「SNSを使いこなす」とは、ただ使い続けるだけでなく、時には「使わない」ことを選ぶということも手の一つ。皆さんはこれから先の長い人生、SNSとはうまく付き合っていかなければなりません。ぜひ、「距離を取る」「離れる」などのテクニックを意識して使ってみてください。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

合わせて、今流れてくる戦争の情報の中にはフェイクニュースやデマも多数投稿されています。例えば、違う戦争や事件のショッキングな映像を「今のウクライナの現状」として投稿されるなど、あるいは特定の国のプロパガンダに使われることもあります。またそれらが外国語で出ていた場合、元の情報を取れる人も少なく、正確かどうか判断することが難しくなります。情報があまりにも多いため、心を守るとともに事実の見極めも行わなければいけず、SNSの使い方がより難しくなっています

合わせて、ロシア人に対する偏見や差別が出てくる恐れもあります。戦争について考えることは大事ですが、特定の人たちに対して無自覚な言葉で傷つけることがあります。「自分の思考や発言は、誰かを傷つけていないか」という視点を持ちながら、世の中の問題に対して向き合ってみましょう。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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