優しい甘みとわずかな酸味、スッキリした香りも楽しめる銀バナナ! ぐしちゃん銀バナナ農園


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銀バナナのおいしさ、もっと広げたい

八重瀬町具志頭にある「ぐしちゃん銀バナナ農園」。収穫したての銀バナナを前に農園長の久保栄さん(中)、娘の文乃さん(左)、息子の公人(右)さんが笑顔を見せてくれた。銀バナナはもっちりした食感と甘い味わいが特長の品種 写真・村山望

「銀バナナ」をご存知だろうか? 島バナナにも似ているが、実の食感と甘みに特長がある品種だ。八重瀬町具志頭にある「ぐしちゃん銀バナナ農園」ではそのおいしさを全国に発信しようと、親子3人が栽培・販売に取り組んでいる。久保栄さんと娘の文乃(あやの)さん、息子の公人(きみひと)さんに話を聞いた

銀バナナは東南アジア原産の希少栽培種。実が青いうちは他のバナナに比べて皮が白っぽく、光の加減では銀白色に見えることからその名で呼ばれている。熟した実はもちもちとして密度のある食感が特長。優しい甘味とわずかな酸味、そしてスッキリした香りもある。「ぐしちゃん銀バナナ農園」では一年を通して銀バナナを県内外に出荷している。

時期見極めて収穫

農園長の久保栄さん。自身の父から引き継いだ畑で銀バナナを栽培している。今後は文乃さん、公人さんにノウハウを伝授していきたいそうだ

農家歴は30年以上、本格的に銀バナナ栽培を始めて11年になるという久保栄さん。畑に入ると、まず驚くのは銀バナナの木の大きさだ(※バナナは分類学上は「草」であり、木の幹に見える部分は「偽茎 (ぎけい)」という草の茎が大型化したもの。本記事では便宜上「木」と表現する)。県内各地で見かける島バナナの木と比べると、銀バナナはひと回り以上背が高い。そのため、実の生育状況は畑の中を歩きながら、見上げるようにして確認する。

実が出荷に適した状態かを見極めるのは栄さんの仕事だ。銀バナナは市場や消費者の元に届けられたとき、熟す直前であることがベスト。見極めには熟練の目が必要で、娘の文乃さんも「私たちもまだ勉強中」と話す。

栄さんが収穫にできると判断すると、脚立に上り実のついた茎を切り取る。茎には銀バナナの房が7段(1房あたりの実は10~14本)ついており、全体の重さは7キロ程度。生育条件が良い夏場には9段、約9キロが一本の木から取れることもあるそうだ。収穫した実は、傷つけないよう慎重に下に下ろす。脚立の下で待つ息子、公人さんが受け取れば収穫完了だ。

栄さんの畑では、収穫が終わった木をすぐさま切り倒している。一本の木から実が収穫できるのは一度限り。木の根本からはまた新たな芽が生えてきているので、そこに栄養を回すのだ。

銀バナナ農園の中は日陰になっており、「夏も涼しいよ」と栄さん。切り倒された木や葉は新しい芽の養分として役立っている

追熟を楽しんで

「黄色くなり皮が薄くなった時が食べ頃ですよ」

そう話す栄さん。「ぐしちゃん銀バナナ農園」は、自社ECサイトでの販売にも力を入れており、購入者に対して、銀バナナの追熟方法を伝える説明も欠かさない。

実が黄色くなるまでは、発送時の箱に入れたままに。黄色くなると、房を箱から取り出して、壁などにひもでぶら下げ、皮が薄くなるのを待つ。届いてから食べ頃になるまでの数日間、銀バナナの変化を観察するわくわく感もお楽しみに…。

食べ頃を迎え「まるまると太った」見た目になった銀バナナ
銀バナナ発送用の箱

ECサイトを管理する文乃さんの丁寧な説明と心遣いが光る部分だ。届いてすぐに食べる、のではなく家で追熟を待つという要素は、銀バナナを買った人が得られるプラスアルファの体験でもある。

「県外の購入者の方には、バナナを自宅にぶら下げると『おうちが沖縄の雰囲気になるね!』とよろこんでいただいています」と文乃さんは話す。今後はECサイトでの販路拡大、県外への出荷に加え、スイーツなどの加工品への利用も模索している。

「沖縄のおいしいものの一つとしてもっと広がっていけたら良いなあと思っています」。銀バナナの木の下で親子3人がそう言って笑顔を見せた。

(津波 典泰)


〈ぐしちゃん銀バナナ購入先〉

ぐしちゃん銀バナナ農園

Instagram @gin_877
HP https://ginbanana.com/

アグリハウスこちんだ

沖縄県島尻郡八重瀬町宜次578-1
TEL 098-998-6708

菊みそ加工所 夢工房

沖縄県島尻郡八重瀬町当銘254
TEL 098-998-0219
(銀バナナのシフォンケーキ)

バナナパラダイス おもろまち本店

沖縄県那覇市おもろまち4-8-1
TEL 098-988-3939
(銀バナナのジュース)

OCA OKINAWA 沖縄アウトレットモール あしびなー店

沖縄県豊見城市豊崎 1ー188
TEL 050-3591-6803
(カカオバナナプリン)

(2022年5月5日付 週刊レキオ掲載)