変わる料金プラン モバプリの知っ得[180]


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楽天モバイルは先月13日、スマホ向け新料金プランを発表しました。これまでは月間通信容量1GBまでは無料で使うことができましたが、新料金プランでは「通信容量3GB1,078円から」と変更となります。従来はゼロ円で使えていたのが廃止されて、一番安くても1,078円からとなり、実質的な値上げだとして、新料金プラン発表後、SNS上では楽天モバイルへの批判が多く投稿されることとなりました。

通常、料金プランの変更はよくあることですが、変更以前に申し込んだユーザーはそのままの料金を維持する例が多いですね。今回は既存のユーザーもプラン変更の7月から料金が変わることになり、既存のユーザーも影響を受けます(キャンペーンなので最大4カ月の猶予がありますが、実質プランが変わることになります)。

これまでも料金プランやポイント付与などの特典が変更となり、ユーザーにとって使い勝手が悪くなることを「改悪(かいあく)」と呼び、これまでもさまざまな企業が「ネット炎上」してきました。今回はゼロ円から料金発生に変更することへの反発も強いと思われます。いくつかの要素が重なって反発も広がっているのだと思います。

楽天モバイルは、ドコモ・au・ソフトバンクの携帯電話会社に負けないよう「無料で使える」ことを強みに頑張ってきましたが、企業としてお金を稼がないとサービスを続けることができないため、今回は実質的な料金プランの値上げに踏み切ったものと思われます。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

過去には、「無制限で使うことができる」をウリにしたモバイルWi-Fiルーターの会社が、「無制限で続けることができない」と変更したため解約が殺到したこともありました。似た話は繰り返し発生しています。

さらに広げると、グーグルがクラウドで写真を預かるグーグルフォトの利用料は無制限でしたが、昨年廃止して、預けられるデータの量に制限を設けました。これは単純値上げとも違いました。

要因としては、大手企業が格安でサービスを開始して、ユーザーを囲いきってから値上げをするというパターンがあります。ベンチャー企業としてはそれに対抗しようと、無理な料金設定でスタートして頑張ってきたけれど無理でした―となるケースもあります。楽天モバイルの件は、携帯大手3社に勝つために無理なキャンペーンを展開したのですが、結果的にはかなわず駄目だったパターンなのかと思います。

他の会社と比較して、あまりにも条件が良すぎるサービスなどは「いつか終わってしまう、続かない」【※1】という気持ちで見ていた方が、あとからガッカリしなくてすむのかもしれません。

今年の4月から成人年齢が引き下げられ、18歳から保護者の同意なく契約ができるようになりました。契約ごとにどういうルールになっていて、どういう結末を迎えるのだろうかと、先のことはわかりませんが、いろいろなことを観察して、その動向を見定める嗅覚のようなものを意識的に養うことも大事だと思います。楽天モバイルは自分の携帯ではないから関係ないや、ではなく、今のうちからニュースに接していろいろな情報を吸収し、契約する際の参考にしていきたいものです。

~ 解説 ~

※1 いつか終わってしまう、続かない … スマホの料金プランに限らず、私たちが愛用しているモノ・サービスの企業がどのようにお金を稼いで会社を動かしているかを知るメリットはたくさんあります。

例えば、詐欺・詐欺に近いビジネスをしている人たちは「絶対に儲かる」「成功する」などの甘い言葉で私たちを勧誘してきますが、他の企業の状況を知ることで「この話は怪しすぎる」と警戒することができるからです。
 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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