今帰仁グスクの歴史を追体験できるゲームって!?【島ネタCHOSA班】


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歴史を追体験できるゲームが登場したそうです。なんでも「MR」という最先端のシステムを使っているそうなのですが…。MRって何かということも含めて、調べてもらえませんか?

(那覇市 琉球浪漫)

おっ、琉球史を題材にしたゲームですか。歴史を身近に感じるにはよさそうですね。ともあれ、そのゲームを実際に体験してみましょう。

プレー時の様子。プレーヤーの視界には敵が映し出され、剣の動きと連動したコントローラーを振って敵を倒していきます

ゴーグル装着しプレー

プレー時には専用のゴーグルを装着し、手にコントローラーを握ります

というわけで、調査員は一路、今帰仁村歴史文化センターへ。館長の玉城靖さんと今帰仁村教育委員会社会教育課文化財係の島袋直哉さんが出迎えてくれました。

ゲーム内容は、プレーヤーが最後の北山王・攀安知(はんあんち)となり、迫りくる中山の尚巴志連合軍と戦っていくという、沖縄で伝えられている歴史上の出来事をモチーフとしたもの。

ゲームを行う部屋に入ると…。半円形のステージのような空間がしつらえられ、壁にはCGで再現された兵士たちの画像が。

が、空間にはゲーム機もモニターもありません。不思議に思う調査員に、島袋さんが「これを頭に装着してください」とゴーグルを差し出してくれました。そして右手には棒状のコントローラー。これを振り回すことで、剣を動かすとのこと。

あ、これってもしかしてゴーグルにゲームの映像を映し出して遊ぶVR(仮想現実)ゲームですか?それなら体験したことがあります!と少しホッとした調査員に、玉城館長は「VRと似ていますが、少し違います」とコメント。

何が違うかというと…。MRゴーグルは向こう側が透けて見えるのが特徴だそう。確かに、部屋の壁面が透けて見えます。でも、これだとゲームの映像が見えないんじゃ…?

目前の空間に敵が出現

しかし、ここからがMRの本領。ゲームが始まると…、なんと、実際の空間に重なるようにして、敵の中山連合軍の兵士が出現!

立体的に見え、本当にその場にいるようです。これはかなりリアル!!

そう。MRとは「ミックスド・リアリティー(複合現実)」の略。現実の空間に仮想空間の映像を複合(ミックス)させる技術なのです!うーん、すごい。

右手のコントローラーと剣の動きが連動しており、剣を振って敵を倒すのが使命。敵は息つく暇もなく次々現れるので、なかなかハード。時折現れる人質の女性は傷つけてはいけないなどのゲーム性もあり、思わず熱中。実際のプレイ時間は5分ばかりですが、運動不足の調査員は途中で少し息が切れる始末(笑)。

プレーヤーの視界。写真を貼った壁の前に、敵が立体映像で出現します
  玉城靖館長(右)と島袋直哉さん

     *     *     *

このゲーム「MR ザ・バトル・オブ・今帰仁」は今年4月公開。博物館施設へのMRゲームの常設は全国でも初の試みだそう。

ゲームは、コロナ禍収束後の誘客を推進するコンテンツの制作事業として開発。もともとあったVRのシステムをベースに、キャラクターを琉球の兵士や女性にアレンジして制作することで、開発費用が抑えられた、と玉城館長。

キャラクターなどのCG制作にあたっては、できるだけ史実に基づくよう留意したと言います。実際、人質として登場する女性は手にハジチが施されているなどの工夫も。またコントローラーも、攀安知が携えた宝剣・千代金丸の柄を模し3Dプリンターで制作したとのこと。

ゲーム料金は1回500円。今帰仁城跡公式HPから要予約(平日のみ)。なおゴーグルの性質上、対象は14歳以上、1組2人まで。眼鏡は外す必要があるとのこと。

「ゲーム上で伝承のストーリーを体験して、今帰仁の歴史を知るきっかけにしてほしい」と玉城館長はアピールします。皆さんも、ぜひMRゲームで今帰仁城跡の歴史をリアルに体感してくださいね。


問い合わせ
TEL 0980‐56‐5767
(今帰仁村歴史文化センター)
 

(2022年7月14日 週刊レキオ掲載)