通信障害からの学び モバプリの知っ得[187]


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今月2日未明から5日にかけて、au(KDDI)で大規模な通信障害が発生しました。この間、通話やデータ通信ができない状態が続き、不便を感じた方も多いのではないでしょうか。どの通信会社もまれに通信障害が発生してしまうことはこれまでもありましたが、ここまで長い時間通信障害が発生するのは前代未聞です。

通信障害が発生すると、電話やデータ通信だけでなく、QRコードを使った決済も利用できなくなります。宅配便の配送管理システムが止まったり、銀行のATM(現金自動預け払い機)が使えなくなったりもしました。さらに今後、データ通信を活用して車の自動運転などが一般化した際、通信障害で事故が発生しないか…。データ通信が世の中に浸透し、インフラ化することで通信障害の影響はますます広がっていきそうです。

通信障害は、大災害の際にも発生します。設備が壊れたり、安否確認で瞬間的に電話の発着信が増えて回線がパンクしたりするんですね。

もちろん通信会社には再発防止策はしっかりとってほしいと思う一方で、ユーザーとしてどのような対策がとれるのかも考えていく必要があると思います。

そのため、普段から「通信障害が発生したら何と何が使えなくなる」「その対応としてこれを活用する」など、防災の一環として確認することをお勧めします。「家から近い公衆電話の場所を確認しておく」、「フリーWi-Fiが使えるお店をリストアップする」などから始めるといいかもしれません。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

こうした通信障害は起こらないにこしたことはないのですが、どの携帯電話でも起きてしまう事故です。今回はauでしたが、次にどの通信会社で障害が起きるのかを予測するのは難しい。

そうしたときに役立つのが「冗長化」です。万一に備えてバックアップで回線を2つ持っておくことです。そうすれば一方の回線が使えなくても、もう一方の回線に切り替えて通話やデータ通信に使うことができます。

最新のスマホでは1つのスマホで2つの番号を登録できるものも出ています。スマホの機種によりますが、2台持ち歩くのではなく、1つのスマホで完結できるようにもなっています。

でも2回線を持とうとするとスマホの料金も倍増してしまうのでは、と思う方もいらっしゃるでしょう。最近では格安スマホもたくさん出てきて、1カ月使わなければゼロ円で済むコースや、500円や900円のSIMカードも出ています。

回線会社を変えて同じスマホに入れて持っておくと、料金も倍にならずに負担感なくバックアップできるのではないでしょうか。私の回りでは比較的前から当たり前のように対応していますが、一般的にはハードルが高いと思う人が多いかもしれません。通信障害でなくても、地下駐車場など通信会社によって電波が入りにくい場所があって、そういうときにも回線が切り替えられるのは便利です。

今後、通信で5Gが普及して、いろいろな場面に通信が入ってきてスマホとも連動するというような世の中になってくれば、通信できないことがさらに大きな痛手となってきそうです。それに備える意味でも「冗長化」で通信障害にあっても自分で別回線に切り替えられれば、リスクを減らすことができるのではないでしょうか。

~ 解説 ~

※ インフラ化 … 社会や生活にとって不可欠なサービス・仕組みのことを「インフラ」と呼びます。電気・ガス・水道などは代表的なインフラです。携帯電話会社の通信は、スマホや携帯電話だけでなく様々なサービスで利活用されているインフラです。今回は、ヤマト運輸の配送状況を確認するシステムが止まったほか、大垣共立銀行のATMの一部が使えなくなりました。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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