使い方を間違えて高額請求!? モバプリの知っ得[191]


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今月12日、「息子が友だちとスマホで通話しながらゲームをしていたら、2ヶ月で電話代28万円の請求が来た」というツイッターの投稿が話題になっています。投稿した保護者の方は「LINEなどの無料通話だと思っていた」とのことで、ちょっとした確認ミス・勘違いで高額請求が発生しており、これを見た方は「明日は我が身」とひやっとされた方も多いのではないでしょうか。高額請求になる仕組みは携帯電話会社の方のシステムで防止してほしいなとも思います。こうした報告をきっかけに、設定や使い方を確認するのもいいでしょう。

LINEやFacetime、Discordなどのアプリを介する音声通話は通信を使って声のやり取りをするため、無料で利用できます。その一方、「090-」「098-」などの電話番号を使った通話は、電話回線を使うため、どの携帯電話会社でも原則30秒22円の料金が発生します。

つまり、1分44円、1時間通話をすると2,640円の通話料金が発生するということです。40時間で10万円余…と上限なく、かければかけるほどどんどん料金は上がっていくことになっています。

どちらも同じようなことをしているのに、接続する仕組みが違うから料金も大きく異なる。意外とややこしいシステムですね。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

こうした悲劇を防ぐためにも、スマホを使い始める際は家族でルールや使い方を確認し、しっかりと学ぶ必要があります。携帯電話各社が「かけ放題」というサービスを提供しているので、電話回線で通話をすることが多い方はそのサービスを設定しておいた方いいと思います。

一例として業界最大手のNTTドコモでみると、1870円でかけ放題のプランを提供していて、それに契約していれば、何時間通話していても1870円だけ。ほかにも5分まで無料や10分まで無料といったプランもあるほか、ナビダイヤルなど一部かけ放題にカウントされない電話番号もあるので、親子同士で確認しておいた方がいいでしょうね。

LINEやFacetimeなどネット電話のサービスは通信を使って通話するので、通信量はかさみますが、金額そのものは発生しない仕組みになっています。料金を気にする方は、こちらの通話方法もうまく使えば料金節約にもなります。

保護者がネット電話を使っていると思い込んでいたら、実は普通の電話回線を使っていて、かけ放題に入っていなかったために高額請求になったパターンですが、毎月の携帯電話料金の明細を細かく確認していれば、最初の1カ月で発見して対応できたはずですね。ですが、最近は紙の請求書がなくて、能動的に自分から見にいかないといけない状況です。携帯電話料金に限らずクレジットカード明細もそうです。自分から見にいくことは不正利用を防ぐ上でも大切なことだと思います。

今回のケースでは、相手の保護者の方が弱冠気づいていた向きもあって、投稿者のお子さんにかけ直させていたようです。高額請求になると分かっていたかどうかは判断しようがありませんが、しっかり確認をとって基本的知識ももちろん大切ですが、「たぶんそうだろう」と思い込んでチェックするのを怠ると、悲劇のような高額請求が来てしまうことになります。

学びとしては、お子さんがスマホを使う場合は、基本的な使い方を確認したりルールを決めたりしたら、保護者が確認することが大切です。ITに詳しい方やLINEが搭乗した経緯など一連の経緯を見てきた人にとっては、電話回線を使ったらお金がかかるのは当たり前でしょ、ということになりがちですが、今の小学生は生まれたときからLINEはあって、通話は無料でできるものという感覚に陥ってしまいがちです。

相手が何が分からないのかが分からないことになりやすく、家庭内でスマホの使い方をレクチャーするのも難しくなっていることもあるかもしれませんが、冒頭のようなトラブルに触れたときに、あらためて振り返ることの必要性を感じます。

今回は「通話料」の話でしたが、ゲームの課金や通信の設定など押さえておくべきポイントは他にもたくさんあります。またこうした知識があると、自分を守れるだけでなく、「その使い方、高額な料金が発生するかも…」と友人を守ることができるかもしれませんね。

~ 解説 ~

※ 高額請求が発生する … 通信の定額制サービスが無かった20年近く前は、通信を使いすぎると高額請求となり、「パケット代(通信代)の支払いで死ねる」という意味の「パケ死」というスラングも誕生しました。定額制サービスが登場後は少し落ち着きましたが、定額制非対応の海外で使いすぎたユーザーに高額請求が届くなど定期的に問題になっています。

 原則30秒22円の料金が発生します … 仕事などで電話番号を使った通話が多い人向けに、携帯電話会社は「通話定額」のオプションサービスを用意しています。例えばNTTdocomoのスマホ向け料金プランでは、1,870円/月を支払うと一ヶ月通話し放題となります。

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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