ゲームの「ガチャ」は日本だけ? モバプリの知っ得[192]


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8月14日に日経新聞Webに掲載された「スマホゲーム『ガチャ』頼み転機 日本勢、世界展開に壁」という記事が話題になっています。記事の中では世界のスマホゲーム売上ランキングを紹介し、日本以外の国は「バトルパス」「シーズンパス」と呼ばれるチケット制のゲームが主流なのに対し、日本はランダムでアイテムが出てくる「ガチャ」方式のゲームが強い。そのため、海外展開が難しくなるかもしれないという内容でした。

大人の保護者には、自分の子どもはゲームをやっているが、自分はやらないので、子どもがどういう種類のゲームをしているか分からないという保護者の方もいると思います。ゲームという大きいくくりで見てしまいがちですが、いろいろと種類があり、課金の仕方も異なっているので、対応が変わってきます。

海外で主流のチケット制では、1回数百円から千円ていどを払うと、2、3カ月あるシーズン中に特典を受けることができます。ゲームの中でレベルを上げていけて、進級目標が決まっていて、チケットを購入して、アイテムをこつこつ集めていくゲームです。一度ゲームを離れても、シーズンが終わって、また新たなシーズンに入れば、課金してまた戻ることができます。細く長く楽しめるイメージですね。課金の金額もそれほど高くはありません。

一方の日本の「ガチャ」方式とは、ゲーム内の通貨をため、ガチャガチャを回して強力なキャラクターやアイテムを入手します。強くて貴重なアイテムは低確率でしか出現しないため、「絶対にいいアイテムが欲しい」となると、のめり込んでいってしまってどんどん課金してしまいます。チケット制だと千円ほどでも2、3カ月遊べるのですが、ガチャ方式は上限が見えないという特徴が挙げられます。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

こうした仕組みがギャンブルのように「射倖心をあおる」として、法規制される国も出てきています。先ほど紹介した記事では、海外に輸出できなくなり、ガラパゴス化(独自の進化を遂げる)するのではと危惧されていました。

ゲームは気分転換や息抜きができ、友だちとのコミュニケーションツールとしても機能しますが、こうした搾取(さくしゅ)するような構造のゲームもあるため、注意が必要でしょう。

ゲームが駄目なのではなくて、気分転換や友達とのコミュニケーションにもなるものもあります。親子で確認してもらいたいのは、どういうゲームで、課金はいくらぐらいまでとか、回りの人はどう使っているのか、一緒に調べて共通認識を作って、その上で小遣いの中でこのくらいまでなら課金に費やしていいのではと相談しながらやっていくのがいいでしょう。厳しく規制するより、子どもの話を聞きながら、適切なやり方を学んでいくのがいいと思います。

「ガチャ」方式のゲームは、あまり課金することのできないユーザー向けに時間を使ってゲームのお題をクリアすれば、ガチャガチャチケットをプレゼントする設定をもうけています。その場合、お金でなく時間を大量に使うことになります。

「課金していないから大丈夫」と思っても、1日何時間もゲームに没頭してしまい、やるべき事ができなくなって生活が壊れてしまうと元も子もないでしょう。ゲームを楽しみたい方こそ、自分の好きなゲームがどのようなお金の流れで成り立っているのか、調べてみるのもいいでしょう。

~ 解説 ~

※ チケット制 … 数百円から1000円程度の金額を支払うと、2~3ヶ月間特典を受けることができ、オリジナルアイテムがもらえることがあります。ゲームを一度離れても、次のシーズンが始まる時に戻りやすかったり、期間中に一定条件をクリアするとアイテムが確実にもらえるなど、長く楽しめる作りになっています。

 「ガチャ」方式 … 一般的には「ソーシャルゲーム」、略して「ソシャゲ」と呼ばれることが多いです。一度のゲームプレイは5分前後で終了し、日常の空いた時間でサクッと楽しむことができます。その一方、ゲームを進める・強くなるためには、ガチャから出てくるアイテムが重要になるため、「ギャンブルと似ている」と指摘されることも多いです。

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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