コザのシャッターアート 落書き対策にも!?【島ネタCHOSA班】


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

先日、久しぶりにコザに行きました。商店街を歩いていると、シャッターアートを幾つか見かけました。一緒に行った友人が、落書き対策として行っている店があるといっていました。ぜひ調査してください。

(那覇市 シャッタ・アップさん)
 

 親川呉服店のシャッターアート。

コザのシャッターアートですか。調査員も取材で訪れた時に目にしましたが、最近少し増えてきたような気がします。しかも、落書き対策として導入した店舗もあるとは興味深いです。

さっそく、シャッターが閉まっていそうな朝の時間帯に沖縄市中央の商店街を訪れてみました。ゲート通りや、一番街、中央パークアベニューを歩いてみると、シャッターアートを幾つか発見。レトロで国際色豊かなコザの雰囲気に彩りを添えています。原色で描かれたサイケデリックなものから、ソフトタッチなもの、和のテイストで描かれたものなど、個性もさまざま。お店のPRとしてプロがデザインしたものや、クラウドファンディングのリターン(特典)として企業のロゴを描いている店舗もあります。

逆転の発想で被害を防止

親川 雅矢さん

何人かに話を聞いた結果、おやかわ呉服店が落書き対策としてシャッターアートを最初に始めた店舗だろうとの情報をゲット。さっそく話を聞きに伺いました。

出迎えてくれたのは「おやかわ呉服店」の3代目・親川雅矢さん。一番街商店街青年会長やコザ商店街連合会事務局長なども務めていて、商店街の活性化にも取り組んでいます。

同店のシャッターには、和傘の下でくつろぐカエルの絵が大きく描かれています。その横のシャッターには、着物を着た女性の姿も。どちらも呉服店のイメージとマッチしています。

「もともと商店街のお店のシャッターや壁などへの落書きがひどかった」と話す親川さん。他の通り会が落書きされた場所を塗りつぶしているという話を聞き、「だったら堂々と描かせてしまおうと考えた」といいます。

カエルの絵が完成したのは2020年。専門学校インターナショナルデザインアカデミー(IDA)が学生の作品を町中で展示・販売するイベントDESIGN COMP( デザインコンプ)」の一環で制作されたそう。「和」のテーマでデザインを依頼し、選ばれた作品が1年の学生によるカエルの絵。学校の仲間も協力し、約1週間かけて仕上げたそう。他の店からも描いてほしいという声が上がっていたといいます。

翌年には、IDAの学生の卒業制作として同店の残りのシャッターを着物姿の女性の絵で埋めてもらったそう。気になるのはその後の被害ですが。

「(グラフィティ(落書き)を描く人は)、基本的に人が描いたものの上には描かないという暗黙のルールがあるらしいと聞いた」と親川さん。以前はシャッターへの落書き被害にも遭っていた同店。アートを施してからは落書きされていないとのこと!

親川呉服店のシャッターアート。和の雰囲気が店のイメージにぴったり

活性化のきっかけに

親川さんは「(シャッターアートが)人を呼ぶきっかけになれば」と期待します。日中営業している店舗と夜から営業を始める飲食店とが混在している商店街は、全店が開いている時間がないといいます。「この町はシャッターに絵が描かれても違和感がないし、相性がいいと思う。日中シャッターが下りているところでも絵があるとイメージは良くなる。全部のシャッターがこうなってくれればうれしい」と話す親川さん。

現在、ゲート通りでも落書き被害などの対策のため、シャッターに絵を施す企画をしていると聞きました。コザゲート通り会に問い合わせたところ、今月からまずは6店舗を対象に導入を始めるそうです。フォトスポットとしても活性化を狙っているといいます。ディープなコザの新しいスポットとしても注目です。

パークアベニューにある古着&コーヒーショップ「PEACEFUL VALLEY.」のシャッターも存在感大!
一番街にある居酒屋「でんすけ商店コザ」のシャッター。レトロな雰囲気が新鮮です

(2022年11月3日 週刊レキオ掲載)