インスタグラム凍結騒動 モバプリの知っ得[201]


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先月31日、画像SNSサービス「Instagram(インスタグラム、インスタ)」で不具合が発生しました。この不具合によって多くのユーザーのアカウントが「凍結」される騒ぎとなりました(現在は復旧済み)。SNS配信にはルールがあり、それを破ると凍結などの措置を受けることがあります。

インスタをはじめとしたSNSアカウントに大量の画像や動画、友人たちとやりとりをした記録が残っている人も多いでしょう。大切なアカウントが突然「凍結」と表示されて使えなくなるとビックリすると思います。

今回は不具合とはいえ、一時的にアカウントが凍結されたので、さまざまSNSで取り上げられたことで知って、驚いた方も多かったのではないでしょうか。ツイッターなどで検索をすると同じ状況の人の報告も確認できて「自分だけじゃないんだ」と少しだけ安心できたかもしれません。

SNSでこうしたトラブルに遭遇した際、ひとまず落ち着いて、原因を調べる癖がつくといいのかもしれません。また普段からニュースなどを読み込んで「過去にこうした事があった」という知識があれば、いざ自分がトラブルに遭遇した時に機転がきいて冷静な対処を選べるようになるでしょう。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

スマホアプリやサービスに障害はつきものです。例えばことし7月には、KDDIと沖縄セルラー電話で長時間におよぶ通信障害が発生してスマホが使えず通話できなかったり、メッセージが送れなかったりして仕事に支障が出た人も多かったようです。

またスマホに搭載している電子決済が使えなくなって、支払いができなくなる事態も起こりえます。実は私も先日、よく訪れる飲食店でクレジットカード・電子決済が使えないトラブルが起きました。現金での支払いを求められましたが、いつものように電子決済を使うことだけを想定し、現金をほとんど持っていなかった私は、家族にお願いしてお金を持ってきてもらい、どうにか乗り切りました。その時から最低限の現金は持って、電子決済だけに頼らないようにしています。障害が起きても対応できるよう、予備の選択肢を意識的に用意することも大事だと気付かされました。

どうしても障害は起きてしまいます。いつもと違う、おかしいと思ったときに、自分だけのことなのか、広くいろいろな人に影響が出ているのか、SNSやネットで検索してさまざまな情報源を使って状況を見きわめた上で、どう対処すべきかを切り分ける必要があります。

今回は自分自身が巻き込まれなかった方も、凍結されたというニュースを頭の片隅に置いておけば、似たような症状が発生したときにいろいろな選択肢、可能性を思い浮かべて、対処できる幅も広がるのではないでしょうか。

10月27日には、アメリカの実業家・イーロン・マスク氏がツイッター社を買収しました。これまで、思い切った行動や賛否の分かれる発言で話題の人であったマスク氏がトップに就任したことで、今後ツイッター社自体がSNSとしてどういうふうになっていくのかが議論になっています。

今回のインスタは不具合による凍結騒ぎでしたが、不具合によるものではなくて、SNS運営会社のトップがなんらかの決断をして対応を取ることで、ある日突然ツイッターが使えなくなったり、あるいは言論の自由が奪われるような事態が発生したりするかもしれません。

SNSの使い方を巡っては、インスタに依存して使っていることでアカウントが凍結されて困った状態になる一方で、ツイッターに依存していると買収されて使い方のルールが変わってしまう事態もあり得るんだなと感じたできごとでした。

 

~ 解説 ~

※ アカウントの凍結 … SNSはそれぞれルールを設けており、そのルールを破るとSNSそのものが利用できなくなる「凍結」、問題のある投稿の削除を求める「一時停止」などがあります。車の運転免許でもルールを破ると「免許取り消し」「免許停止」になることがありますが、それらと似た仕組みです。SNSでルールが必要なのは理解できる一方、現在は「凍結」や「一時停止」の基準が曖昧で、嫌がらせ的に集団通報された人が凍結されたり、あるいは差別的な投稿(ヘイトスピーチ)を繰り返すアカウントがなんのペナルティも受けないことなどの問題点も指摘されています。

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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