舞台はコザ、地域発信のエンタメ映画製作に挑戦 映画『10ROOMS(テンルームス)

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人生を変えたい人が紡ぐ4つの物語


明日11月18日(金)、県内の映画館で上映がスタートする映画『10ROOMS』。沖縄市のパークアベニュー周辺で繰り広げられる人々の物語を、4つのエピソードで紡ぐオムニバス作品だ。先日開催された試写会には、出演者や関係者が集合した。(右から)岸本司監督、クリスさん、ひがりゅうたさん、玉城満さん、山城智二さん、神山繁プロデューサー=那覇市おもろまち・シネマQ 写真・村山望


沖縄市パークアベニューに実在する「トリップショットホテルズ・コザ」の客室を舞台にした『10ROOMS』は、人生を変えたい人の日常や生きざまを映し出す県産オムニバス・ムービー。沖縄とアメリカが混ざり合ったような街並みや文化、さまざまな人々が行き交う風景など、コザの街の空気感がたっぷりとこめられている。県内の俳優や芸人が多数出演し、日本のエンタメ界で幅広く活躍する加藤雅也さんと尚玄さんも出演。豪華キャストとオリジナリティーあふれるストーリーが魅力の注目作だ。関係者に見どころを聞いた。



「自由に撮らせてもらった作品です」とうれしそうな岸本司監督。4本のエピソードから構成された本作は、登場人物を重ねつつコメディー・ファンタジー・ダークファンタジー・バイオレンスと異なるテイストでそれぞれが展開する。

「どんなシーンにするか最低限のルールはプロデューサーと決めましたが、その範囲で好きにやらせてもらいました。沖縄が凝縮されたようなコザの街で夢を持つ人を主役に商店街の人たちも描いたら、ウチナーンチュの姿が見えてくるのではないか、という思いで脚本を書き撮影しました」と話す岸本監督。エピソード名になっている4つの客室を実際に訪ね、脚本を膨らませていったという。


エピソード2「ARCH」の宮城夏鈴さん

複数のエピソードは多様性の表現にもなるとのこと。

「コザの街はチャンプルーやカオスを感じる、いろんな面があると思います。本作の登場人物も人間のクズ、LGBTQ、過去に引きずられる人や悪人などさまざま。でもみんなそれぞれ、ハッピーになりたいんです。良い物もダメな物も含めた多様性を描きました」

岸本監督は県民はもちろん、県外の人にも見てほしいと願う。「沖縄の言葉は標準語に比べると柔らかく聞こえ癒やされます」と話し、大好きな北野武作品によく出てくる「バカヤロー」を「本作では沖縄言葉にしています」とこっそり教えてくれた。


バラエティーに富んだ出演者


エピソード4「ROCK SIDE」は2人の刑事が主役。加藤雅也さん(左)と尚玄さんが演じる

劇団「笑築過激団」座長で国立劇場おきなわ運営財団の常務理事を務め、俳優活動も続ける玉城満さんは出演者の一人。

「知り尽くしている地元がロケ地の映画です。伝説のボスを演じましたが、試写を見て裏の奥側まで仕切っている役柄だったと気付き驚いた(笑)。ダークな部分も楽しめますので見てください」と話す玉城さんは、「タランティーノ作品を上回っているかも!?」と満足そうな笑顔を見せた。

「濃厚なハードボイルドシーンがありますが、僕が演じた『諦めない男』とのギャップが大きく、登場人物として同じ世界に生きているのか疑問でした」と笑ったのは、多くの沖縄関連作品に出演している山城智二さん。「いろんなキャラクターが出るのがコザらしく、今までの沖縄映画になかったテイストで面白いです」と太鼓判を押した。

お笑いコンビ「ありんくりん」のひがりゅうたさん、クリスさんはそれぞれ重要な役で出演している。せりふの多い映画出演は初で、貴重な経験になったそう。「出演者ですが、すてきな映画で何度も見たい。みなさんも楽しんでください」と二人。俳優としての今後の活躍も期待したい。


県内アーティストの曲を使用


本作のプロデューサーで舞台となったホテルの運営会社取締役を務める神山繁さんは、地元沖縄市を改造する思いでイベントやテレビ番組製作など、多数の取り組みを継続中だ。

「実在の街を映像と音で紹介できる映画は、エンターテインメントの集大成です。観光地アピールの分かりやすい映画を作ると、身内で満足する可能性がある。賛否両論を巻き起こすくらい話題性があり、娯楽として成立させるイメージで本作を製作しました」と神山さん。「タブーがあるとやってみたくなる性格なんですよ」と笑い、アメリカのサスペンスドラマのロケ地が街の活性化につながった過去の観光ブームも念頭にあったと話す。その思いが、本作のバイオレンス・エピソードにつながったようだ。


レトロ空間「DECORA」はエピソード3で登場、主役は中村映里子さん

また神山さんは、本作の音楽にもこだわったと力を込めて語った。

「県内在住アーティスト12組の楽曲を使っています。子どものころに聞いた映画音楽は今でも記憶にありますし、自分の中では映画と音楽はセット。全て沖縄県産の本作、ぜひご鑑賞ください」

鑑賞して撮影場所のパークアベニューを散策すると楽しさが倍増しそうだ。

(饒波貴子)




『10ROOMS』(テンルームス)

2022年/日本
監督・脚本 岸本司/出演:尚玄・加藤雅也・ひがりゅうた・宮城夏鈴・中村映里子・山城智二・クリス・真栄城美鈴・太田享・玉城満ほか

https://10rooms-movie.com

18日(金)からシネマQ、ミハマ7プレックス、シネマプラザハウスで上映
※18日と19日(土)は尚玄さん、26日(土)は加藤雅也さんが舞台あいさつを予定。詳細は公式サイトを参照


(2022年11月17日付 週刊レキオ掲載)




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